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牛肉はうつ病の救世主! 肉がうつ症状に効果がある理由とは?

「うつけしごはん」などの書籍によって、うつには肉などのタンパク質が良いということが一般にも認知されるようになってきました。

タンパク質には、豚肉や鶏肉など他にもありますが、なぜ牛肉は他の肉に比べて良いとされているのでしょうか?

今回は、牛肉を食べることによって、うつ症状にどのような影響があるのか? や、太ったりコレステロールがあがって死亡リスクが上がらないかなど、牛肉を食べることによって体内でどんな影響があるのかについてを詳しく解説します。

目次

牛肉を食べるとなぜうつ病に良いの?

ネットの記事などを見ても、「牛肉はうつに良い」と言われていますよね。その主な理由としては、脳の神経伝達物質の1つである「セロトニン」の材料になる「トリプトファン」が多く含まれているからとされています。

セロトニンとは、気持ちを落ち着かせたり幸せを感じたりするホルモンと言われ、脳の神経伝達物質では重要な役割を持っています。

ご存じの通り、うつ病の人はセロトニンの分泌量が減っており、これが原因でやる気が起きなかったり、不安やイライラが起こってしまうと考えられています。

牛肉を食べることによって、トリプトファンを補給することができ、うつ症状が改善すると言われているのです。

しかし、トリプトファンの不足がセロトニンの不足だとすると、牛肉以外の食べ物でトリプトファンが多く含まれているものを食べれば、同じような効果を期待できるはずですよね。

牛肉以外で、トリプトファンが多く含まれている食べ物として、バナナ、ピーナッツ、ヨーグルトなどがあります。他にも、以下の食品にも多く含まれています。

トリプトファン含有量が多い食べ物(可食部100gあたり)

白米 82mg
玄米 94mg
パスタ(乾麺) 140mg
そば(乾麺) 170mg
250mg
カツオ 310mg
マグロ赤身 270mg
豚ロース 280mg
鶏むね肉 270mg
木綿豆腐 98mg
豆乳 53mg

これらは確かにトリプトファンが含まれていますが、牛肉に比べると、うつには効果が無いと言えるでしょう。

なぜ、牛肉に含まれているトリプトファンと、牛肉以外のトリプトファンは効果が無いのでしょうか?それは、うつ病はトリプトファンだけを摂取しても脳の神経伝達物質のバランスが整わないからです。

トリプトファンだけ摂取してもうつ症状は改善しない

上述したように、トリプトファンは日常食べているものに多く含まれています。ですので、基本的にトリプトファンが不足することはありません。

牛肉だけが異常に取り上げられていますが、牛肉を食べなくても十分な量のトリプトファンを摂取しているのです。

それでは、なぜトリプトファンを日常的に摂取しているにも関わらず、うつ症状が発症してしまうのでしょうか。

それは、うつの原因はセロトニンだけではないからです。

脳の神経伝達物質は、興奮系のドーパミン、抑制系のGABAがあります。この2つのバランスを調節しているのがセロトニンです。

シーソーで例えると下図のように、支点の役割を担っています。

うつ症状を発症している方は、セロトニンだけでなく、ドーパミンやGABAの分泌量も減っています。ですので、セロトニンだけを補っても、肝心のシーソーのバランスが整いません。

うつ症状を改善するには、これらの神経伝達物質の材料となる栄養素をまんべんなく摂取することが重要です。

この神経伝達物質の材料となるのが、牛肉などの「タンパク質」なのです。なぜ、タンパク質と脳の神経伝達物質が関係あるのでしょうか。

それは、肉を摂取すると、胃酸などで分解されてアミノ酸になり、このアミノ酸が脳の神経伝達物質の材料になるからです。

下図は、タンパク質が脳の神経伝達物質に分解、合成されるまでの過程を表したものです。

 

https://www.orthomolecular.jp/nutrition/protein/

タンパク質(プロテイン)を摂取すると、いくつかの工程を経てアミノ酸に分解されます。脳神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。

このアミノ酸は、ビタミンやミネラルを元に、神経伝達物質である「ドーパミン」「セロトニン」「GABA」に合成され、消費されていきます。

この合成の時には、補酵素としてビタミンやミネラル等が必要になります。

例えば、L-トリプトファンから5-HTPに合成する時には、葉酸、鉄、ナイアシンが必要になります。上述した「トリプトファンが多く含まれている食べ物」の栄養素を見てみると、そのほとんどに鉄分が入っていません。

鉄分が足りなければ、どれだけ食べたところでトリプトファンがセロトニンに合成されることはなく、そのまま体外に排泄されてしまいます。

このように、特定の栄養だけを摂取しても、他の栄養素が足りなければ脳の神経伝達物質を合成することが出来ないのです。

うつ症状には赤身肉がオススメ

脳の神経伝達物質を合成するには、タンパク質の他に葉酸や鉄、ナイアシンなどが必要になる事は上記で解説しました。

この栄養素のうち、鉄分が大量に含まれているのが「牛肉の赤身」です。赤身の肉は、他にも正常な細胞を作るために必要な亜鉛やビタミンB12を大量に含んでいます。

赤身に含まれている鉄分は、「ヘム鉄」といわれ、吸収されやすい鉄分になります。逆に、ホウレンソウなどの植物に含まれている鉄分は「非ヘム鉄」といわれ、そのままでは吸収されづらい鉄分になります。

ですので、鉄分補給には動物性の肉から摂る方が効果的です。

赤身の肉には葉酸やナイアシンなどのビタミンB群が足りないですが、これらが多く含まれている「レバー」を一緒に食べることでバランスが整います。

レバーにもタンパク質や鉄分、ビタミンB群が多く含まれているので、うつには効果的ですよ。

もしレバーが苦手な方は、サプリで摂取することも出来ます。何のサプリが良いかについては、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのサプリを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。

肉の脂肪には幸福を感じる物質に変化する

お肉が好きな方は、赤身よりも霜降りのジューシーな部位のほうが好みかもしれませんね。そのような方は脂身のある部位を食べても構いません。

肉の脂身には、幸福を感じる「アナンダマイド」という物質に変化し、リラックス効果や記憶力増進など、心身に様々なメリットがあると言われています。

牛肉や豚肉の脂肪には植物油にはほとんど含まれていない、必須脂肪酸の1つであるアラキドン酸が含まれています。アラキドン酸の一部は脳内で「アナンダマイド(アナンダミド)」という物質に変化しますが、この物質は別名「至福物質」とも呼ばれ、幸福感や高揚感をもたらすことが知られています。このメカニズムによって、私たちは肉を食べたときに「幸せだなあ」と感じるのです。

ただし、アナンダマイドの原料となるアラキドン酸を摂取するためには、脂肪を適度に含んだ肉を食べる必要があります。「とろけるような霜降り肉を食べると、たまらなく幸せな気分になる」という人が多いのも、この辺に理由がありそうです。

また、アナンダマイドには、リラックス効果や記憶力増進など、心身にさまざまな良好な効果をもたらす可能性があるともいわれており、今後の研究が期待されています

https://www.ebarafoods.com/sp/meat/health/c24.html

牛肉を食べると太らない? コレステロールは大丈夫?

肉を食べるのはうつ症状にいいと分かっても、肉に含まれている脂肪やタンパク質によって太らないか心配・・・というかたも多いと思います。

または、肉を食べるとコレステロールが上昇し、死亡リスクが上がってしまうと思われる方もいらっしゃるかもしれません。

結論から言うと、肥満やメタボリックシンドロームの原因はタンパク質や脂質ではなく、炭水化物などの糖質が原因です。

糖質を摂取すると、「インスリン」という飢餓に備えるためのホルモンを分泌し、脂肪に変えて体内に貯蔵しようとします。これが原因で皮下脂肪が付き、肥満になるのです。

ですので、タンパク質や脂質を多く摂っても、皮下脂肪が増えることはありません。筋肉が付いたり質が改善して体重が増えたりするかもしれませんが、そのぶん基礎代謝が上がります。

筋肉は必要に応じてアミノ酸に分解され、体の様々な機能で利用されます。質の良い筋肉がつけば、そのぶんだけ質の良いアミノ酸の貯蔵量が増える事に繋がり、健康を維持することが出来るのです。

コレステロールはあなたのうつを救う

肉を食べても太らないのは分かったけど、コレステロールが気になる・・・という方もいますよね。

コレステロールが高いと動脈硬化や心筋梗塞などの病気の元になるとされ、コレステロールは下げるようにお医者さんから指導される場合もあります。

しかし、最近の研究によって、コレステロールは「悪ではない」という見方が強まってきました。今まで下げるように気をつけていたコレステロールが原因でうつ病が発症するとも言われています。

低コレステロールはうつ病を招きやすい

若い女性を対象にした調査から、血清コレステロール値が160mg/q以下の群で「他人に会いたくない」「人前に出たくない」などの感情を点数で示した不安尺度や抑うつ尺度が高い傾向にあることが報告されています。
また、お年寄りでコレステロール値が低い人のほうがうつ状態になりやすいことも知られています。
さらに、コレステロール値と死亡率の関係を調べた欧米の代表的な6つの研究を分析した結果から、コレステロール値が低くなるほど自殺や事故死が増えることがわかりました。
ここでの自殺増加の原因は、うつ病を介してではないかと考えられています。

http://jbeef.jp/daizukan/encyclopaedia/article.html?encyclopaedia_article_id=659

コレステロールはこのほかにも、ストレス耐性ホルモンに変わったり、女性ホルモンや男性ホルモンの材料として使われています。

ホルモンバランスの改善にはコレステロールが重要!

狩りの本能をつかさどり、やる気の元となる「テストステロン」や、女性の若々しさの源となる「エストロゲン」「プロゲステロン」は、コレステロールを原料に作られています。

何かと問題視されているコレステロールですが、血中のコレステロールの4分の3は、おもに肝臓で合成されています。コレステロール値を下げようと肉や卵を控えている方も多いかもしれませんが、肉や卵を控えてもコレステロールが下がるというわけではありません。

これは、タンパク質や脂質以外にも、糖質によってコレステロールが作られるからです。その代謝経路を図にしたものが以下です。

 

私達の体では、糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素からアセチルCoAに合成され、主に脳や体を動かすエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)の材料として使われています。

そして、アセチル CoAのもう一つの役割が、コレステロールの原料となることです。このコレステロールは、性ホルモン、ストレスホルモンなどの重要なホルモン合成の出発点となっています。

コレステロールを材料にして作られるホルモンには、ストレス耐性や血糖値の維持に不可欠なコルチゾールのほか、テストステロンやプロゲステロンなどの性ホルモンも含まれます。

ホルモンバランスが乱れている女性や男性の多くは、タンパク質や脂質を摂取するとカロリーオーバーで太るという意識があり、肉や魚、脂肪分を避ける食生活をしがちです。

これはむしろ間違いで、美容やダイエット、更年期障害、月経前症候群、ストレス耐性の向上にはタンパク質と脂質を多く摂取する方が正解なのです。

ちなみに、アセチルCoAに最も少ない反応で合成できるのが「脂質」です。糖質は血糖値スパイクやインスリンの分泌から避けた方が良く、タンパク質はできるだけエネルギー源にならないようにする事が重要です。つまり、エネルギー源はできるだけ脂質から得るようにするのが理想です。

このように、肉に含まれているタンパク質や脂質は、筋肉を作る以外にも、体内のホルモンバランスを整えたり、ストレス耐性を上げたりする重要な栄養素です。

コレステロールは悪者扱いされていますが、分子整合栄養医学の観点から見ると非常に重要な物質である事が分かります。

現代の食生活はパンや白米、ラーメンやうどんなどの炭水化物に偏りがちで、タンパク質や脂質が足りていません。

うつを改善、予防するためにも、肉を積極的に食べるようにしましょう。

牛肉はうつ病の救世主!肉がうつ症状に効果がある理由とは?まとめ

以上が牛肉がうつ症状の改善や予防に重要な食べ物である理由でした!

ここまでの流れをまとめると・・・

  • 牛肉には、脳の神経伝達物質の材料がバランス良く含まれている
  • 脳の神経伝達物質を整えるには、タンパク質とビタミン、ミネラルが必要
  • 赤身肉には鉄分が多く含まれている
  • ビタミンB群はレバーを食べるのがオススメ
  • 肉や卵を控えてもコレステロールは下がらない
  • コレステロールは、むしろホルモンバランスを整えたりストレス耐性を上げるのに必要

という感じです。

牛肉に限らず、豚肉や鶏肉、魚でも同様の効果を期待できるので、積極的に食べるようにしましょう。

もし、うつが辛くて買い物に行けない・・・という方は、肉を食べる代わりに「プロテインを飲む」のもオススメです。

プロテインはボディービルダーが飲む飲み物だというイメージがありますが、タンパク質の補給として運動をしていない人が飲んでも全く問題ありません。

むしろ、肉だけで必要なタンパク質を摂ろうとすると、一日に300gくらい食べる必要があるので、継続するのが非常に大変です。

米などの炭水化物をを抜いて肉だけでお腹いっぱいにするには家計的にも大変ですし、毎日食べていると飽きてしまいます。

ですので、バランスよく食べて足りない分はプロテインを飲んで補うというのが現実的な手段と言えるでしょう。

しかし、一口にプロテインと言っても、ホエイプロテインやソイプロテインなど、様々な種類がメーカーから発売されています。一体どの商品を飲んだら良いのか分かりづらいですよね。

どのプロテインを飲んだらいいのかについては、プロテインはうつ病に効果的? 分子栄養医学の観点からオススメのプロテインを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。

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