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食事とうつ病の関係性とは? うつになる食事とならない食事の違い

うつ消しごはん食べてうつヌケなどの書籍が登場したことによって、うつ病は食事と深い関係があると言うことが認知されるようになってきました。

しかし、抗うつ剤や安定剤などの薬物治療が一般的な中、食事でうつ病が治るなんてにわかには信じがたいですよね。

なぜ、食事とうつ病がこれほどまでに取り上げられるようになってきたのでしょうか。

今回は、食事とうつ病の関係についてや、うつに良いとされる食事とうつを悪化させる食事について詳しく解説していきます。

目次

うつ病と食事内容には関係がある?

うつ病は、「心の風邪」「脳の病気」などと言われ、その原因は脳の神経伝達物質の1つである「セロトニンの分泌不足」などとも言われてます。

または、家族関係や職場でのストレスなど、環境やストレスも大きく関係していると言われています。

このような原因不明の病とも言われているうつ病ですが、近年の研究によって普段の食生活や栄養バランスがうつ病と深い関係があることが分かってきました。

このような事は、海外では認知度が高まりつつありますが、日本ではまだまだ認知度が低く、治療方法も薬物治療が一般的です。

一部のクリニックでは、サプリメントや点滴、食事指導を用いた栄養療法を実践しているところも増えており、うつ病治療の新しいアプローチとして注目されています。

うつ病にいいと言われている食事とは?

うつ病には、野菜を中心とした和食や、肉が少なく魚が多い地中海料理がいいと言われているなど、その主張は様々です。

ここでは、クリニックなども実践している、分子整合栄養医学に基づいた内容をご紹介します。

肉料理はうつ病にもっとも良い食事

うつ病は、「心の風邪」「脳の病気」と言われていたり、「セロトニンの分泌不足」などとも言われていますよね。

セロトニンは脳の神経伝達物質の一種で、分泌されると幸福感を感じることから、「幸せホルモン」などとも言われています。

このセロトニンは、「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸から合成出来るため、一部ではトリプトファンが多く含まれているバナナや牛乳の摂取を推奨している記事もあります。

また、セロトニン以外にも、やる気を出す作用があるドーパミンや、気分を落ち着ける作用があるGABA(ギャバ)など、様々な脳の神経伝達物質がうつ病と深い関係がある事が分かっています。

これらセロトニンやドーパミン、GABA等は、チロシンやトリプトファン、フェニルアラニンと呼ばれる必須アミノ酸から合成され、これらは体内では合成出来ないために食事から摂取することが欠かせません。

実は、これらアミノ酸がまんべんなく含まれているものが、肉や卵などのタンパク質なのです。つまり、タンパク質などの肉料理は脳の神経伝達物質の材料になるため、うつ病には良いと言えるのです。

例えば、昭和女子大学 生活科学部の教授らが行った研究では、うつ病とタンパク質の関係について次のように解説しています。

タンパク質と脳の栄養〜うつ病とタンパク摂取〜

タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、身体をつくる役割も果たしている。タンパク質の機能は多岐にわたるが、皮膚や腱などを構成するコラーゲンのような構造タンパクと細胞の生存のために必要な機能を担う機能性のタンパク質に分類される。脳の栄養にはブドウ糖が最も重要とされていたが、タンパク質摂取も脳機能に決定的な影響を与えていることが分かったのは最近である。

 

1960年代に南米のグアテマラ共和国で、 サプリメントとしてタンパク質を十分に与え た場合に成長にどのような結果をもたらすかが研究された。するとサプリメントを与えられた子供たちは身長が1~2センチメートル高かっただけでなく、認知機能も向上していることが分かったのである。 重要なのは、このようなタンパク質のサプリメントを与えられた子供たちは思春期になって就学の機会が多くなり、さらに男子の場合には収入も増していたことである。

 

これらの発見はMRI(磁気共鳴テスト)における脳波の測定でも確かめられている。つまり、タンパク質は脳の健常な発達に不可欠なのである。このように脳についてもタンパク質が多くの機能を担っており、特徴的なことはタンパク質の構成成分であるアミノ酸が神経の情報伝達に重要な役割をしているということである。

https://www.alic.go.jp/content/000141085.pdf

このように、脳機能とタンパク質には密接な関係があり、十分なタンパク質を摂取することで学力や認知機能、はたまた収入まで増加するという研究結果が出ています。

つまり、うつ病には肉や卵などのタンパク質を摂取することが、うつヌケするための最大の鍵であると言えるのです。

魚を食べるとうつ病リスクが低減

肉料理に続き、魚もうつ病には良い食べ物です。

魚介を多く食べる人は、そうでない人と比べて、うつ病の発症率がおよそ半分に減ることが、国立がん研究センターや慶応大学などの調査で分かりました。青魚に多く含まれる「n-3系脂肪酸」による予防効果が考えられるとされています。

魚介類を1日111g食べるグループでうつ病のリスクが低下

1,181人のうち、95人が精神科医によってうつ病と診断されました。今回の研究では、対象者をアンケート調査結果から算出した魚介類(さけ・ます、かつお・まぐろ、あじ・いわし、しらす、タラコといった魚卵、ウナギ、イカ、タコ、エビ、アサリ・シジミといった貝類、かまぼこといった加工食品、干物、など19質問項目を使用)と、n-3系脂肪酸の摂取量で4つのグループに分け、最も摂取量が少ないグループに比べた時の、その他のグループでのうつ病のリスクを調べました。その結果、1日に57g(中央値)魚介類を食べるグループと比較して、1日に111g(中央値)魚介類を食べるグループでうつ病リスクの低下がみられました。同様にn-3系脂肪酸摂取とうつ病との関連では、エイコサペンタエン酸(EPA)を1日に200mg(中央値)摂取するグループと比較して、1日307mg(中央値)摂取するグループ、また、ドコサペンタエン酸(DPA)を1日に67mg(中央値)摂取するグループと比較して、1日123mg(中央値)摂取するグループでうつ病リスクの低下がみられました(図)。他のn-3系脂肪酸とうつ病との明らかな関連は見られませんでした。魚介類およびドコサペンタエン酸(DPA)とうつ病の関連は、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、うつ病の既往で統計学的に調整しても変化はありませんでした。

今回の検討から魚介類・n-3系脂肪酸摂取とうつ病には、とればとるほどリスクが下がる、というような関連ではなく、ある量でリスクが下がり、それ以上とると影響がみられなくなることが示されました。中年期の魚介類・n-3系脂肪酸摂取が精神科医による高齢期のうつ病診断と関連していたというのは世界初の結果であり、魚摂取と精神科医による診断ではないうつ病との関連をまとめたメタアナリシスの結果を支持するものでした。ある量以上をとると影響が見られなくなる理由は不明ですが、魚介類摂取量が多い人は野菜摂取量が多く、また、炒めて調理している傾向が強いことも報告されていることから、n-6系不飽和脂肪酸(サラダ油に含まれ、炎症を惹起する)の摂取量が増えたことで、n-3系脂肪酸の予防的効果が打ち消されたのかもしれません。

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7983.html

このように、魚に含まれている油の一種である、DHA・EPAがうつ症状と何らかの関係性がある事が分かっています。

分子整合栄養医学の観点でも、魚油に含まれているオメガ3系脂肪酸と、サラダ油に含まれているオメガ6系脂肪酸のバランスが、うつ症状の改善に関係しているとされています。

野菜サラダや発酵食品、キノコ類、貝類

肉や魚などのタンパク質は、脳の神経伝達物質の材料となるアミノ酸が豊富に含まれていますが、このアミノ酸を脳の神経伝達物質に合成するためには、様々なビタミンやミネラルが欠かせません。

また、レタスやキャベツ、海藻などは食物繊維やミネラルが多く、腸内環境を整えてくれる作用があります。この他、ぬか漬けや味噌等の発酵食品も、腸内環境を整えてくれます。

腸内環境が悪いと、それが脳にも悪影響を及ぼす「脳腸相間」がある事から、うつ病の方には積極的に摂取して頂きたい食べ物です。

それから、一部のうつ病の方には、冬にだけうつ病になる季節性情動障害(冬期うつ)などを発症している方もいます。このような方は、日照不足によるビタミンD合成不足が可能性としてあげられますので、ビタミンDが多く含まれているキノコなどを多く食べるようにしましょう。

このような事をまとめると、次のような食べ物もうつ病にはいいと言えるでしょう。

このような食べ物を、肉や魚と一緒に食べることで、更に相乗効果を期待できます。

うつ病に悪い食事内容

うつ病に良いとされる食事が分かったところで、逆にうつ病に悪影響を与える食事はどのような物なのでしょうか。ここからは、うつ症状を引き起こす恐れがある食事を解説していきます。

うつ症状は前述したように、タンパク質とビタミン、ミネラルの不足や欠乏によって起こりやすくなります。

ですので、炭水化物過多やジャンクフードの取り過ぎ、タンパク質や脂質が不足するヘルシーな食生活は、うつ病にかかりやすくなると言えるでしょう。

炭水化物の取り過ぎ

うつ病を悪化させないために、特に気をつけたいのが炭水化物の取り過ぎです。

炭水化物には、主に白米やパン、うどんやラーメン、パスタ、芋類などがありますが、これらは摂取すると体内でぶどう糖に変換されるため、急激な血糖値の上昇を招きます。

上昇した血糖値は、インスリンというホルモンによって下降していきますが、急激な血糖値の上昇は急激なインスリンの分泌を促し、今度は低血糖に陥ってしまいます。

低血糖は意識喪失などの命に関わるために、体は防御反応としてアドレナリンやグルカゴン、コルチゾールなどの血糖を上げるホルモンを大量に分泌します。

これらは、脳を興奮させる作用がある事から、炭水化物の取り過ぎはメンタルに悪影響を与えてしまうのです。

特に、かさ増しや節約のために日常的によく食べる機会が多い物ですので、取り過ぎがますます危惧されます。

炭水化物には、主に白米や小麦粉などの精製された物と、玄米や全粒粉などの精製されていない物があります。

精製された物は体内ですぐにぶどう糖に変換されてしまうため、血糖値の急激な上昇と急降下を招くので注意しましょう。

逆に、玄米や全粒粉などはゆっくり消化されるため、精製された物よりも比較的緩やかに吸収されます。もし、炭水化物を食べるなら、精製されていない物を選んで食べるようにしましょう。

甘い物、スイーツの取り過ぎ

炭水化物に続いて、お菓子やスイーツなどの甘い物の取り過ぎも注意が必要です。

特に、清涼飲料水や飴などのお菓子には精製された砂糖が大量に使用されています。これらを摂取すると、急激な血糖値の上昇と急降下を招き、それが精神状態にも悪影響を及ぼします。

日常的にお菓子などを食べている場合は、血糖コントロール障害から糖尿病にまで発展しかねません。

また、砂糖では無く人工甘味料が使われている物にも注意が必要です。人工甘味料の中には、摂取すると砂糖と同じく血糖値が上昇する物もあります。

カロリーや糖類が0となっていても、体に悪い物には変わりありませんので、なるべく摂取するのを控えて下さい。

もし口が寂しくなったときや、小腹が空いたときは、カカオが多く含まれているハイカカオチョコレートや、ポップコーン、おしゃぶり昆布などの甘くない物を食べるようにしましょう。

ジャンクフードの取り過ぎ

続いて、ジャンクフードの取り過ぎもうつを引き起こします。これは、主に悪い油が多く含まれていたり、炭水化物が多く含まれているからです。

例えば、ハンバーガーやホットドッグ、コロッケやフライドポテトなどは、炭水化物に加えて慢性炎症の原因となるリノール酸が多く含まれた油や、トランス脂肪酸が多く含まれている悪い油で調理されている物がほとんどです。

手軽に食べられるのが利点ですが、体に悪い物が多いので避けるようにして下さい。

また、トンカツなどの揚げ物にも注意が必要です。トンカツは豚肉が使われているので一見体に良さそうに思えますが、その衣に使われているのはパン粉であり、精製された小麦粉です。

さらに、大豆油やコーン油などのリノール酸が多く含まれた油で揚げられている場合がほとんどですし、砂糖が使われているソースをかけて食べてしまうと、更に糖質が多くなります。

ですので、トンカツといえど血糖値の乱高下を招きます。このような揚げ物を食べる時は、少し衣を剥がして食べるなどの工夫もするようにしましょう。

ヘルシーな食生活

野菜や果物中心など、ヘルシーな食事を心がけている方も、注意が必要です。

野菜や果物などは一見体に良さそうに思えますが、野菜や果物にも果糖やデンプンなどの糖質が多く含まれている物が沢山あります。

特に、果物の食べ過ぎには注意して下さい。果物は、昔に比べて糖度が高くなるように品種改良がされた物ばかりです。

果物は自然の物という認識が強いですが、実際はかなり人工的に作られており、トマトやジャガイモ、サツマイモなどの芋類や一部の野菜も糖度が高くなるように品種改良されています。これらにも果糖やデンプンなどの糖質が多く含まれているので注意して下さい。

このような糖度が高い果物や野菜を食べるだけでも、精製された糖質を食べるのと同じぐらい血糖値の乱高下を招きます。

健康的な食生活だと思っていても、実際はかなり体に負担をかけていますので、なるべく避けるようにしましょう。

加えて、野菜中心だとどうしてもタンパク質が不足しがちになります。

ヘルシーな食生活を心がけているなら、タンパク源は大豆などの豆類が中心になりますが、これらだけで十分なタンパク質を摂取する事はなかなか難しいです。

タンパク質の摂取基準は、体重と同じグラム数か1.5倍のグラム数と言われているので、60Kgの方なら60gに相当します。

これを大豆だけで摂取しようとしたら、毎日200g以上の大豆を摂取しなければなりません。

しかも、大豆には大豆油というリノール酸が多い脂質が多く含まれています。ですので、長期的に摂取し続けるのはあまりいいとは言えないでしょう。

ですので、タンパク源としては、脂質が精製されてそぎ落とされているソイプロテインから摂取する方が理想と言えます。普段の食生活に、ソイプロテインなどのタンパク源を足すようにして下さい。

うつヌケするためにはどんな食事をすればいい?

以上のタンパク質と脂質、炭水化物を考慮して、うつぬきやがベターと思われる献立を考えてみます。ただ、この献立で全ての栄養が摂取出来るわけではないので、足りない栄養素はサプリメントなどで補う必要があります。

基本的には、炭水化物や糖質を抜き、良質なタンパク質と脂質を摂取することを心がけるようにしましょう。

このような食生活を続けるだけで、うつの予防や改善どころか、病気のほとんどの原因を無くすことが可能です。

「あなたの体は食べたものから出来ている」と言われるように、現在の体調不良や病気は、あなたが食べたものが原因で引き起こされています。ということは、今日からの食事を変えれば、未来の自分を変えることが出来るのです。

以下のメニューはうつぬきやの管理人が分子整合栄養医学の観点から考えたものですが、それほど難しい食生活ではありません。これに近い食生活を毎日続けて、健康な体を手に入れましょう。

朝食のメニュー例

昼食のメニュー例

※例としてメニューを載せておきますが、昼食は自由で良いと思います。

間食をしたくなったら、甘いものやポテトチップスをさけ、塩バターポップコーンにしておきましょう。ポップコーンは食物繊維が多く、腸内環境の改善に繋がります。バターは動物性の脂質の補給としてダイエットにも健康にも効果的です。

夕食のメニュー例

食事とうつの関係性とは? うつになる食事とならない食事の違いまとめ

以上が、食事とうつ病の関係性と、うつ病になる食事、ならない食事の違いでした。

ここまでの流れをまとめると・・・

  • 食事内容や栄養素は、脳機能と密接な関係があり、うつ病と深い関係がある
  • 和食や地中海料理など、うつ病に良いとされる料理があるが、実際には栄養のバランスが重要
  • 特に、脳の神経伝達物質の材料になる肉料理はうつヌケに重要
  • 魚料理も、タンパク質やDHA・EPAが含まれているのでうつ病には良い
  • うつ病には、ビタミンやミネラルも重要
  • 牡蠣や海苔、海藻や野菜、レバーやウナギなどにビタミンやミネラルが多く含まれている
  • この他、食物繊維や乳酸菌もうつ病には効果的
  • 逆に、炭水化物や糖質の取り過ぎはうつ症状を悪化させる
  • ジャンクフードやヘルシーな食事では、必要な栄養素が補えない
  • うつ病に良いとされる食事をバランスよく食べることがうつヌケの鍵

という感じです。

このような食事とうつ病の関係は、「質的栄養失調」という言葉が出てきたように、深い関係があります。

質的栄養失調とは、お腹いっぱいに食べていても、その食事内容が炭水化物やジャンクフードに偏っていて、脳や体に必要な栄養が足りていない状態の事です。

このような食事の質的に栄養が不足していると、脳の神経伝達物質の分泌が減ってしまい、うつ症状やパニック症状を引き起こしてしまうのです。

このことから、うつ病には薬物療法よりも食事療法の方が効果的だと言えるでしょう。

また、うつ病には質的栄養失調に限らず、内分泌疾患や細菌などの感染によって引き起こされる場合があります。

このようなうつ病の原因について詳しくは、うつ病が発症する原因とは? メカニズムと要因を解説に載せてありますので、参考にしてみて下さい。

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