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うつとパニック障害に効く食事は? 分子整合栄養医学に基づくオススメの食事を解説!

うつ病は心の風邪とも呼ばれ、100人中15人の割合で発症すると言われています。また、パニック障害については、100人に2~4人は発病の可能性があるとも言われ、うつ病に次ぐポピュラーな病気です。

中には、うつ病とパニック障害を同時に発病している方もおり、その日常生活は困難を極めます。

現在はこれらの病気の治療は薬物治療が一般的ですが、うつ病とパニック障害の薬をあわせると、一日に何十錠と処方されている人も少なくありません。

出来れば、このような精神薬に頼りたくないですよね。食事やサプリメントなどで改善出来る可能性があるなら、是非試してみたいところです。

今回は、うつやパニック障害の原因と、これらの改善が期待できる食事について詳しく解説します。

目次

うつ・パニックはなぜ起こる?

うつ病は心の病気とか、脳の病気などと言われていますよね。また、パニック障害は精神疾患として、脳の病気だと位置づけられています。

うつ病にかかってしまうと、気分が落ち込んだり、やる気が起きなくなったり、希死念慮が引き起こされたりします。

パニック障害は、何の前触れもなく突然に息切れ、めまい、動悸などのパニック発作を引き起こし、心電図や呼吸器には特に異常が見られないのが特徴です。

このような症状は、心の問題や脳の病気として片付けられてしまいがちですが、そもそもなぜ、このようなうつやパニックの症状が引き起こされるのでしょうか。

一般的に言われているこれらの原因は、過剰なストレスや、脳の神経伝達物質の1つであるセロトニンの分泌低下によって引き起こされると言われています。

また、パニック障害についても、過剰なストレスが原因であったり、脳の神経伝達物質の1つであるノルアドレナリンの量が過剰だったりすることが原因と言われています。

しかし、最近になって、これら脳の神経伝達物質の過不足が、脳の異常などでは無く、食生活や生活習慣が原因の「質的栄養失調」が原因であるという見方が強まってきました。

実は、これら脳の神経伝達物質は、私達が食べた物を材料にして作られています。つまり、長年苦しんだうつやパニック症状は、単に食生活が悪かった事で引き起こされているだけかもしれないのです。

ですので、うつやパニックを治したいときは、精神薬を飲むよりも、まずは食事を整えてあげる事が重要になります。

次では、うつ、パニック障害の原因となる、質的栄養失調がどのような食生活で引き起こされるのか、質的栄養失調にならないためには、どのような食事をすれば良いのかを詳しく解説します

うつ・パニックの主な原因は質的栄養失調!

前述のように、うつやパニックには「質的栄養失調」が深く関係しています。

質的栄養失調とは、お腹いっぱいに食べていても体や脳に必要な栄養素が足りなくなってしまっている状態の事です。

現代では、パンや白米、ラーメンやうどんなど、炭水化物に偏った食生活をしています。このような食生活では、脳に必要なタンパク質やビタミン・ミネラルが不足し、脳の神経伝達物質が作られなくなってしまいます。

また、ダイエットを目的としたヘルシーな食生活でも、質的栄養失調になってしまいます。

ヘルシーな食生活では、カロリーを控えようと肉や油を排除し、野菜や果物に偏りがちになります。このような食生活では、脳に必要な栄養素が足りなくなり、うつやパニックを引き起こしてしまうのです。

繰り返しますが、脳の神経伝達物質は、私達が食べた物を材料にして作られています。これらの材料が十分に調っていれば、脳の神経伝達物質がバランス良く分泌され、心も体も安定した生活を送ることが出来ます。

しかし、炭水化物やヘルシーな食生活に偏った状態では、心の安定に必要なセロトニンやGABAなどの材料が不足し、うつやパニックを引き起こしてしまうのです。

心の安定にはタンパク質が必要だった!

では、心の安定に必要なセロトニンやパニック障害で問題となるノルアドレナリンなどは、どのような栄養を材料にして作られているのでしょうか。

その正体が、実は「タンパク質」なのです。タンパク質は、胃酸によって「アミノ酸」に分解されます。このアミノ酸が、セロトニンやドーパミン等の脳の神経伝達物質の材料になるのです。

うつやパニックに効果的な食事について解説する前に、このあたりの仕組みを詳しく解説しておきましょう。

次の図は、タンパク質を分解してできたアミノ酸から、脳の神経伝達物質までに合成される過程を表した物です。

https://www.orthomolecular.jp/nutrition/protein/

タンパク質を摂取すると、胃酸によって様々なアミノ酸に分解されます。

そのうち、脳の神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。

これらのアミノ酸は、ビタミンやミネラルの力を借りて、セロトニンやノルアドレナリン等の様々な脳の神経伝達物質に合成され、消費されていきます。

よく、うつ病やパニック障害の原因は、セロトニンの分泌不足やドーパミン・ノルアドレナリンの分泌異常などと言われていますよね。実は、これら脳の神経伝達物質はタンパク質を元に作られていたのです。

例えば、表右側のL-トリプトファンからセロトニンに合成されるまでの過程を見てみて下さい。

L-トリプトファンから5-HTPに合成するためには、葉酸やFe(鉄)、ナイアシンの力を借りて合成していますね。

また、5-HTPからセロトニンに合成するためには、ビタミンB6の力を借りる必要があります。

このように、私達が食べたタンパク質は、様々なビタミンやミネラルの力を借りて脳の神経伝達物質に変わっていますが、パンや白米、ラーメンやうどんなどの炭水化物やヘルシーな食事に偏っていると、これらの材料が不足し、脳の神経伝達物質が正常に作られなくなってしまいます。

このような食生活や質的栄養失調が原因で、うつやパニックを発症してしまっていたのです。

うつ、パニックの克服には、脳の神経伝達物質のバランスが鍵!

パニック障害などは、ノルアドレナリンなどの過剰な分泌が原因と言われていますが、これらを中和するためのセロトニンやGABAが、バランス良く分泌されていないことが原因です。

脳の神経伝達物質の役割には、大きく分けて興奮系のドーパミン・ノルアドレナリンと抑制系のGABAがあります。この2つのバランスを調節しているのがセロトニンです。

シーソーで例えると下図のように、支点の役割を担っています。

このシーソーのように、3つのバランスが取れているときが最も調子が良くなる時です。これがどちらかに傾くと、自律神経のバランスが崩れ、イライラしたり不安になったりと、心身に様々な不調が現れます。

自律神経には、「交感神経」「副交感神経」があり、交感神経は心拍数を上げたり気分を興奮させたりする、いわばアクセル役です。これは主に、ドーパミンやアドレナリンなどの興奮系の神経伝達物質が多く分泌されたときに交感神経が優位になります。

対して副交感神経は、リラックスしたり眠くなったりと、いわばブレーキのような役割をしています。これは、GABAやセロトニンなどの抑制系の神経伝達物質が多く分泌されたときに副交感神経が優位になります。

この交感神経と副交感神経は下図のようにヤジロベーのような関係になっています。

https://health.suntory.co.jp/professor/vol10/

このヤジロベーのバランスがどちらかに傾くと、自律神経が乱れてしまい、心身に不調が現れやすくなります。どちらもバランスがとれていて、1:1になっている時が最も調子が良く、理想とされています。

このシーソーのバランスを取っているのが、「セロトニン」になるのです。

そして、うつ症状を発症している方は、セロトニンだけでなくドーパミンやGABAの分泌量も減っています。

また、パニック症状があるひとは、興奮系のグルタミン酸から、抑制系のGABAにスムーズに変換できなくなってしまっていることも原因です。

このように、脳の神経伝達物質は、互いにバランスを取るように分泌されることが理想です。

つまり、うつ症状やパニック障害を改善するには、特定の神経伝達物質に拘らず、これらの材料となる栄養素をまんべんなく摂取することが重要だといえるでしょう。

その為には、タンパク質多めの食事に加え、これらの合成に必要なビタミンやミネラル等もまんべんなく摂取するようにしましょう。

特に、女性の場合は月経や出産があるので、鉄不足がうつやパニックの原因になります。

女性は鉄不足がうつやパニックの原因に

女性の場合は、タンパク質不足に加えて鉄分不足も深刻です。

鉄は、脳の神経伝達物質の合成に必要な栄養素なので、鉄分が不足することでドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンの合成が滞ってしまい、うつやパニックの原因となるのです。

脳の神経伝達物質を合成するのに必要な栄養素については先ほども解説しましたが、ここでもう一度見てみて下さい。脳の神経伝達物質を合成する初期段階には、必ず鉄(Fe)が必要です。

https://www.orthomolecular.jp/nutrition/fe/

例えば、L−フェニルアラニンからノルアドレナリンに合成する際の初期段階である、L-チロシンに合成するためには、葉酸と鉄、ナイアシンの力を借りる必要があります。また、L−チロシンからL-ドーパに合成する際の初期段階にも鉄が必要になっていますね。

このように、脳の神経伝達物質を合成する際には、鉄分が重要な役割を果たしています。この鉄分が足りなくなってしまうと、心の安定に必要なセロトニンや、やる気アップのドーパミンなどの分泌量が低下してしまい、うつやパニックの原因になってしまうのです。

特に、女性は毎月月経があるので、血液と一緒に鉄分やタンパク質が流れ出てしまいます。適切に鉄分を補給していかないと、必ず鉄不足に陥ってしまいます。

また、妊娠や出産を経験すると、赤ちゃんに栄養を持って行かれてしまうので、極度の栄養欠乏に陥ります。産後うつなどは、このような栄養欠乏が1つの原因なのです。

ですので、女性の場合は男性よりも栄養の消費が多いので、普段の食生活や栄養補給は積極的に行う必要があります。

「でも、鉄分と言えばホウレン草やシリアルに多く含まれているから、普段の食事で不足するなんてあり得ないでしょ」

そう思う方も多いかもしれません。

確かに、鉄分は野菜や果物にも多く含まれているので、肉を食べなくても不足することはないと思いがちですよね。

実は、鉄分を体内で有効利用したり体の様々な箇所に運ぶには、タンパク質が欠かせません。このタンパク質が足りないと、鉄とタンパク質が結びつかず、そのまま体外へ排泄されてしまうからです。

例えば、貧血の指標として「ヘモグロビン」「赤血球」などと言う言葉を聞いたことがあると思います。これらは鉄をタンパク質でコーティングしているため、安全に酸素を運んだり鉄分を貯えたりすることが出来ます。

このように、鉄分を有効利用するためには肉などのタンパク質が非常に重要です。ホウレン草やシリアルなどの食品には確かに鉄分が含まれているものの、肝心なタンパク質が不足しているために、いくら摂取しても知らず知らずのうちに質的栄養失調になってしまうのです。

また、鉄には体内に吸収されやすい鉄と、吸収されにくい鉄があります。

ホウレン草やシリアルに含まれている鉄分は、「非ヘム鉄」と言って吸収されにくい鉄分になります。このような鉄分では吸収率が悪いので、タンパク質と一緒に摂取していても鉄不足に陥ってしまう可能性があります。

逆に、レバーや赤身肉に多く含まれている「ヘム鉄」はそのままの状態で吸収出来るため、非ヘム鉄よりも吸収率が良いという特徴があります。

女性の場合は、毎月月経によって鉄分とタンパク質が流れ出てしまうため、鉄分やタンパク質はこのような動物性食品から摂取することが望ましいと言えるでしょう。

鉄分の種類、ヘム鉄と非ヘム鉄の違い

鉄分には、動物性のヘム鉄と植物性の非ヘム鉄があります。

レバーなどに含まれているのはヘム鉄で、吸収が良いという特徴があります。また、ほうれん草などに含まれているのは非ヘム鉄で、吸収率が悪いという特徴があります。

まずは、このヘム鉄と非ヘム鉄の違いと、吸収率を理解しておきましょう。

ヘム鉄

ヘム鉄は、動物性由来の鉄分です。吸収されにくい鉄をタンパク質でコーティングすることにより、非ヘム鉄よりも吸収率が高くなっているのが特徴です。

ヘム鉄の特徴

非ヘム鉄

非ヘム鉄は、何もコーティングされていない鉄そのものです。ほうれん草などの植物に多く含まれています。
貧血と診断された場合の鉄剤も、この非ヘム鉄が処方されます。
他の鉄にくらべ、吸収率が著しく悪く、胃の不快感や吐き気などの症状が出やすいのが特徴です。

非ヘム鉄の特徴

うつ・パニック障害に効く食事とは?

前述したように、脳の神経伝達物質を合成するには、タンパク質の他に葉酸や鉄、ナイアシンなどのビタミンやミネラルが必要になります。

これらのうち、タンパク質やビタミン、鉄分が大量に含まれているのが「牛肉の赤身」です。赤身の肉は、他にも正常な細胞を作るために必要な亜鉛ビタミンB12を大量に含んでいます。

赤身に含まれている鉄分は、「ヘム鉄」といわれ、吸収されやすい鉄分になります。ですので、鉄分補給には動物性の肉から摂る方が効果的です。

赤身の肉には葉酸ナイアシンなどのビタミンB群が足りないですが、これらが多く含まれている「レバー」を一緒に食べることでバランスが整います。

レバーにもタンパク質や鉄分、ビタミンB群が多く含まれているので、うつヌケやパニックの予防に効果的と言えるでしょう。

また、肉には動物性脂肪である飽和脂肪酸が豊富に含まれています。このような脂質は、体を動かすためのエネルギー源になったり、エストロゲンやプロゲステロンなど、女性に必要なホルモンなどの材料になります。

肉は太るという意識からか、避けてしまいがちの食べ物ですが、うつやパニックを治すには欠かせない食べ物です。毎日、出来るだけステーキや焼き肉、焼き鳥などの肉類を食べるようにして下さい。

また、手軽で栄養満点の料理としてオススメなのが、「鍋」です。

鍋には、野菜や肉などを煮るだけで食べられるので、うつやパニックがある人でも料理の負担がありません。

鍋つゆには様々な種類が販売されており、チゲ鍋からカレー鍋、ちゃんこ鍋など好みの味に出来るのも利点です。キノコや豆腐、白菜など様々な食材を色々煮て食べてみて下さい。

特に、鍋の具材としては牡蠣鍋がオススメです。牡蠣にはタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、「海のミルク」とも言われる食材です。

牡蠣には亜鉛が多く含まれていることで有名ですが、この亜鉛も脳の神経伝達物質の分泌に欠かせない栄養素の1つです。

最近の研究結果では、興奮系の神経伝達物質であるグルタミン酸と、抑制系の神経伝達物質であるGABAの正常な分泌に亜鉛が関係していることが分かってきました。

亜鉛が不足することにより、適切に抑制系のGABAの分泌が出来なくなり、興奮系のグルタミン酸の濃度が高まりすぎてしまって、パニック症状が引き起こされます。

ですので、うつやパニックを治したいときは、タンパク質に加えて、鉄や亜鉛などのミネラルや、ビタミンなどの補酵素もまんべんなく摂取するようにしましょう。

うつとパニック障害に効く食事は?まとめ!

以上が、うつやパニックの原因と、オススメの食事内容でした。

ここまでの流れをまとめると・・・

  • うつやパニックは、質的栄養失調が主な原因
  • 質的栄養失調は、炭水化物やヘルシーな食事内容に偏っていると陥ってしまう
  • 心の安定には、タンパク質とビタミン・ミネラルが重要!
  • 脳の神経伝達物質は、バランス良く分泌させることが鍵!
  • 女性は、鉄分不足がうつ、パニックの原因になる
  • 鉄分の補給は、動物性の鉄分であるヘム鉄がオススメ
  • うつ、パニックの克服には肉料理と鍋料理がオススメ!
  • 特に、赤身の肉、赤身の刺身、レバー、牡蠣はタンパク質とビタミン・ミネラルが豊富

という感じになります。

今まで、肉や卵を避けることが健康的だと思っていた方や、炭水化物が多めの食事をしていた方にとってはショッキングな内容だったのではないでしょうか。

私達の食生活は、思っていた以上に質の悪い食べ物を日常的に食べています。また、タンパク質やビタミン・ミネラル等の栄養素を深く考えずに食事をしています。

このような生活習慣や食生活が、うつやパニック障害の原因となっていたのです。ですので、今日からでも良いのでタンパク質多めの食事や、鉄分を多く摂取出来る食生活に変えるようにしましょう。

また、今回はうつやパニック障害の克服に効果的な食事を解説しましたが、実際にこれらの食事だけでは、改善するための栄養素が全て補えるわけではありません。

足りない栄養素は、サプリメントなどで補ってあげる事もオススメです。

具体的にどのサプリメントを飲めば良いのかについては、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのiHarbサプリを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。

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