一人暮らしの状態でうつ病になっちゃったけど、普段の食事はどうしたら良いのだろうか・・・。
ただでさえ助けてくれる人も居ないのに、全て自分1人でやらなければならない状態でうつ病になってしまうと、特に困るのが食生活です。
なるべく体に負担をかけないためにも、火や包丁を使わずに食べられて、しかもうつが治ると言われている食生活を心がけたいですよね。
そこで今回は、うつの原因の1つとされている質的栄養失調についてと、一人暮らしでも出来るうつヌケ食事術、なるべく避けるべき食べ物をご紹介します。
目次
うつ病は質的栄養失調が原因だった!? 一人暮らしに潜むうつ病リスク
朝食はパンとコーヒー、昼食はいつもの外食、夕食はコンビニのお弁当・・・、一人暮らしをしている方は、仕事の忙しさや自炊の面倒くささから、ついついこのような食生活になってしまいがちですよね。
体に良くないと分かっていつつも、カップラーメンで手早く済ませてしまったり、スーパーのお惣菜に頼ったりして、なかなか健康的な食生活が出来ていないのではないでしょうか。
しかも、一人暮らしの状態でうつ病になってしまうと、ますます食糧事情が深刻になります。
買い物にも行けないし、作って食べる気も起きません。もちろん、食器を洗って片付けるなんてもってのほかです。
こうなってしまうと、パンやカップラーメンなどの火や包丁を全く使わないで済む食べ物に偏ってしまいます。
実は、このような偏った食生活が、うつ症状を更に重くし、薬を効かなくさせている原因となっていたのです。
うつ病の原因としてよく言われていることは、脳の神経伝達物質である「セロトニンの分泌不足」や「心の風邪」「怠け病」などがありますよね。
このような、「脳の病気」と思われているうつ病ですが、食生活の違いや食べ物の影響で発症することがあります。
その主な原因が、「質的内容失調」と「血糖コントロール障害」、「悪い油の取り過ぎ」です。
一人暮らしの食生活では、パンや白米、ラーメンやお惣菜、ジャンクフードに偏りがちになります。このような食生活こそが、うつ病の原因であり、うつが治らない原因だったのです。
「質的」な栄養失調でうつは発病する!
食生活が原因のうつ病として最も可能性が高いのが、「質的な栄養失調」です。
質的栄養失調とは、お腹いっぱいに食べていても、脳の神経伝達物質の合成や分泌に必要な栄養素が足りなくなってしまう新型栄養失調のことです。
現代社会の食生活は、パンや白米、うどんやラーメンなどの炭水化物に偏った食生活をしています。
このような炭水化物に偏った食生活では、脳の神経伝達物質の合成に必要なタンパク質やビタミン・ミネラルが欠乏し、心の安定に必要なセロトニンやドーパミン等の分泌量が低下してうつ症状が引き起こされてしまうのです。
脳に必要な栄養素と言えば、「ブドウ糖」や魚に多く含まれている「DHA・EPA」などが有名ですが、これら栄養素よりも、もっと重要な栄養素が実は「タンパク質」なのです。
なぜ、タンパク質がうつ症状や脳機能と関係しているのでしょうか?
それは、タンパク質を分解してできた「アミノ酸」が、セロトニンやドーパミン等の脳の神経伝達物質の材料になるからです。
次の図は、タンパク質を分解してできたアミノ酸から、脳の神経伝達物質までに合成される過程を表した物です。
タンパク質を摂取すると、胃酸によって様々なアミノ酸に分解されます。
そのうち、脳の神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。
これらのアミノ酸は、ビタミンやミネラルの力を借りて、セロトニンやドーパミン等の様々な脳の神経伝達物質に合成され、消費されていきます。
よく、うつ病の原因はセロトニンの分泌不足や、ドーパミン・ノルアドレナリンの分泌不足などと言われていますよね。
実は、これら脳の神経伝達物質はタンパク質を元に作られていたのです。
ですので、パンや白米、うどんやラーメンなどの炭水化物が多い食生活では、タンパク質やビタミン・ミネラルが不足し、心の安定に必要な脳の神経伝達物質の分泌が低下するのは当然と言えます。
このような食生活や質的栄養失調によって、うつ症状は引き起こされていたのです。
火や包丁を使わない、一人暮らしのうつにオススメな食べ物
質の悪い食生活がうつ病の原因になる事が分かったとして、一人暮らしではどのような食生活に改善すれば良いのでしょうか。
うつ病に良いとされる食べ物や食事については、「和食」や「地中海料理」などと言われていますが、このような凝った料理は時間もお金も無い一人暮らしの食生活としては不向きですよね。
しかも、うつ症状で朝も起きられない状態なのに、食事の準備をする事はなおのこと無理でしょう。
出来れば、火も使わず、包丁も使わない簡単な食べ物や調理方法で、なるべく負担にならない食事をしたい物です。
そこで、うつぬきやの管理人も実践している、一人暮らしにオススメな食べ物をご紹介します。
これらの食べ物は、脳に必要なタンパク質や脂質が多く含まれているので、普段の食生活に取り入れることでうつ症状の緩和が期待できます。
サバ缶
最も手間がかからず、蓋を開ければすぐに食べられるサバ缶は、一人暮らしの食生活に是非取り入れたい一品です。
サバには、脳に良いとされるDHA・EPAが豊富に含まれているほか、タンパク源としても優秀な食べ物です。
サバ缶を食べるときは、中に入っている汁も飲み干すようにして下さい。この汁にはDHA・EPAが豊富に溶け出していますので、これを捨ててしまうと大事な栄養素が無駄になってしまいます。
一缶100円から150円程で購入できますので、保存食として常備しておくか、毎朝の朝食にしても良いでしょう。
ハンバーグ・お惣菜
最近は、コンビニなどでも一人暮らし用のお惣菜や冷凍食品が多く売られるようになってきました。その中でも、ハンバーグはオススメです。
ハンバーグは牛肉や豚肉が使われているので、タンパク質の補給にはうってつけです。おそらく最も美味しく食べられるタンパク源は、ハンバーグだと言っても過言ではありません。しかも、レンチンするだけですぐに食べられます。
ハンバーグに使われている肉はミンチにされているので、消化吸収も良く、胃にあまり負担がかかりません。
さらに、トマトソースやデミグラスソース、和風ソースなど味にも種類があるので、飽きずに続けることが出来ます。
コンビニやスーパーなどで、何を食べようか迷ったときは、ハンバーグを選んでみて下さい。
ゆで卵・温泉卵
卵は、完全栄養食とも言われ、タンパク質や脂質、ビタミンがバランス良く含まれています。うつ症状がある人は、是非食べて頂きたい食べ物の1つです。
スーパーやコンビニでは、予めゆで卵や温泉卵に加工してある商品が販売されていますので、お湯を沸かしてゆでる気力がない方は、このようなものを選んで食べてみて下さい。
もし出来るのであれば、スーパーで売っている10個入りパックを自分でゆでてストックしておくのもオススメです。自分でゆでれば、200円程度で10個食べられるので、かなりコストパフォーマンスが高いです。
この場合は、沸騰したお湯に6分程度ゆでる、「半熟」状態にしておきましょう。卵は、生や固ゆでよりも半熟の状態が最も吸収が良いと言われています。
お好みで5分や7分に調節して、食べやすい固さを見つけてみて下さい。
サラダチキン
一時期ブームにもなりましたが、封を開ければそのままかじりつけるサラダチキン類もオススメです。手軽にタンパク質を補給することが出来ます。
サラダチキンは主に鶏の胸肉を使っているので、脂質が少なく淡泊な味わいですが、写真のように色々な味付けがされているものが増えてきました。その日の気分によって味を変えることで、飽きずに食べ続けることが出来ます。
刺身
火も包丁も使わずに手軽に食べられる物としては、刺身もオススメです。
刺身なら、予め切ってある物がスーパーで売られていますので、買ってきたらそのまま食べることが出来ます。
刺身の中でも特にオススメなのが、カツオやマグロなどの赤身の刺身です。これらの刺身には、タンパク質やDHA・EPAが豊富に含まれているだけで無く、脳の神経伝達物質の合成に必要な鉄分も多く含まれています。
鉄分が不足するとうつ症状やパニック症状が引き起こされることから、うつ症状がある方には積極的に食べて頂きたい食べ物の1つです。
ステーキ・焼き肉
もし、火を使えるなら肉を焼いて食べるのもオススメです。
肉にはタンパク質や脂質が含まれているので、脳の神経伝達物質の材料となるアミノ酸や、体を動かすためのエネルギー源となる脂質が多く摂取出来ます。
特に、牛のモモ肉などの赤身肉には、脳の神経伝達物質の合成に必要な鉄分や亜鉛が豊富に含まれているので、うつヌケしたいなら必ず食べて頂きたい食べ物です。
鍋
もし、包丁で切ったり火が使えるのであれば、1人鍋はいかがでしょうか。包丁を使いたくない場合は、使い捨てのアルミ鍋と切られた食材がセットになった物がスーパーで売られていますので、このような物を選ぶのも手です。
鍋なら、具材を煮込むだけで食べられるので一人暮らしにうってつけのメニューでしょう。肉と野菜、キノコなどがバランスよく食べられるので、タンパク質と脂質、食物繊維が同時に摂取する事が出来ます。
注意点としては、〆のラーメンやうどんなどは控えて下さい。これらは炭水化物なので、食べると体内で糖質に変わります。糖質は血糖コントロール障害を引き起こしますので、うつの方は炭水化物をなるべく控えることが正解です。
1人鍋をするときは、白菜や肉、キノコなどを多めに入れて、鍋の具だけでお腹いっぱいにするようにしましょう。
海藻サラダ
前述しているオススメの食べ物では、タンパク質が多い食べ物ばかりですが、これと同じく重要なのが食物繊維です。
食物繊維は、消化を良くしたり、便の状態を良くしてくれる事から、積極的に食べて頂きたい食べ物の1つです。
タンパク質ばかりに偏った食事をしていると、便秘になったり腸内環境が悪くなったりしてしまうことから、これが脳にも影響を及ぼしてうつ症状を発症する原因にもなります。これを脳腸相間(のうちょうそうかん)ともいいます。
一人暮らしだとなかなか1人分のサラダを作る事は難しいと思いますので、スーパーやコンビニなどで売られているサラダなどを活用しても良いでしょう。
この際は、ワカメなどの海藻が入っている海藻サラダがオススメです。他のサラダに比べて食物繊維やミネラルが多く含まれています。
逆に、ポテトサラダやマカロニサラダなどの炭水化物が多いものは避けて下さい。血糖値に影響を及ぼし、うつ症状の原因にもなり得ます。
是非、前述したタンパク質多めの食べ物に加え、海藻サラダなども追加してバランス良く食べてみて下さい。
これはなるべく避けて!うつになる食べ物
ここまでは一人暮らしにオススメな食べ物をご紹介してきましたが、逆にオススメしない食べ物を解説します。
一人暮らしだと、時間やお金を節約する観点から、炭水化物やジャンクフードが多い食生活になりがちです。
これらは血糖コントロール障害を招き、ビタミンやミネラルも不足することから、心の安定に必要なセロトニンや、やる気を出すドーパミンなどの分泌量が著しく減ってしまいます。
次で紹介する食べ物は、うつ症状を治すためにも出来るだけ避けるようにして下さい。
白米・丼物
一人暮らしと言えば「自炊」、自炊と言えば「米が炊けること」ですよね。米は日本人の主食でもあり、安くて量も食べられるので、一人暮らしの強い見方です。
でも、白米はうつ症状がある人にあまりオススメできる食べ物ではありません。その理由が、炭水化物による血糖コントロール障害を引き起こしてしまうからです。
米を食べると、体内でブドウ糖などの糖質に変わります。白米はこの糖質に変わる速度が速いために、摂取すると急激に血糖値が上昇してしまいます。
このような血糖値の急激な上昇は、インスリンというホルモンによって血糖値の急降下を招き、これが精神状態にも悪影響を与えてしまうのです。
ですので、基本的には前述したオススメの食べ物でお腹いっぱいにするか、もし食べるなら玄米を食べるようにして下さい。
パン・菓子パン
米と同じく、パンもうつ症状がある方には避けて頂きたい食べ物です。
パンも炭水化物ですので、食べると血糖値の乱高下を引き起こします。また、小麦に含まれている「グルテン」は依存性があり、分解されにくい構造をしているために腸を傷つけてしまいます。
傷ついた腸は、小さな穴が空いて「リーキーガット症候群」を引き起こします。リーキーガット症候群が起きると、腸に空いた穴から栄養が血管に漏れ出てしまい、それが脳や精神状態にも悪影響を与えてしまうのです。
一人暮らしの方は、朝食はパンだけという方も多いと思いますが、出来ることならパン食は避けるようにして下さい。
もしどうしてもパンが食べたい場合は、全粒粉入りのパンにして、菓子パンや食パンなどは避けて下さい。
カップ麺・インスタント麺
米とパンに続いて、一人暮らしでどうしても多くなってしまうのが、インスタントラーメンです。
災害時や、どうしても食べる物が無いときなどは仕方が無いですが、日常的に食べるのだけは止めましょう。
インスタントラーメンは、そのほとんどが小麦などの炭水化物になります。これは米やパンと同じく、血糖コントロール障害を引き起こし、更にはリーキーガット症候群を引き起こす原因にもなります。
また、ビタミンやミネラル、タンパク質などがほとんど無いため、質的な栄養失調を引き起こし、心の安定に必要な脳の神経伝達物質が作られなくなってしまいます。
このような食生活では、いくら精神薬を飲んでも脳の神経伝達物質の材料が足りないので、一向に良くなることはありません。
どうしてもというとき以外は、このようなインスタント食品は避けるようにしましょう。
ジャンクフード
一人暮らしで多くなりがちなのが、外食によるジャンクフードです。
ジャンクフードと言えばハンバーガーやポテトなどを想像すると思いますが、牛丼やカツ丼などの安くて早くて旨い食べ物にも注意です。
これらの食べ物は、炭水化物が多く、更に質の悪い油で調理された物ばかりですので、血糖コントロール障害や質的栄養失調の原因になります。
また、リノール酸が多い油で調理されている物を食べ続けると、炎症促進作用が働きすぎて脳にも炎症を引き起こす恐れがあります。
脳の炎症はうつ症状を引き起こすことから、なるべくこのような油の摂取は控えていくことが望ましいでしょう。
どうしてもという場合を除き、なるべく外食はハンバーグやステーキなどの良質なタンパク質が摂取出来るお店を選ぶようにして下さい。
一人暮らしでも出来るうつぬき食事メニュー
ここまでは、火も包丁もなるべく使わない一人暮らし向けの食べ物と、なるべく避けるべき食べ物を解説してきました。
では、このような食べた方がいい食べ物と、避けるべき食べ物を考慮したら、日常ではどのような食生活をすればいいのでしょうか。具体的なメニューの例をあげてみましょう。
基本的には、食べる物が限られているので、そんなに難しいものではありません。次のようなパターンになると思います。
- キノコの味噌汁(インスタントも可)
- 海藻サラダ(作っても良し、買っても良し)
- 肉類(ハンバーグ、サラダチキンなど)
例えば、朝はサバ缶を食べたり、封を開ければすぐに食べられるサラダチキンを食べるなど、手軽な物を食べても良いですね。
昼は好きな物を食べるとして、夜はハンバーグや刺身などでお腹いっぱいにするなどすれば、そこまで飽きずに続けられると思います。
ただ、注意点としては同じタンパク質を続けて食べないようにして下さい。同じタンパク質をずっと食べ続けると、腸に炎症が起きてアレルギー症状を引き起こす恐れがあります。
今日はサバ缶を食べたから、明日は温玉にするとか、サラダチキンにするとか、ローテーションして食べるようにして下さい。
足りない栄養はサプリメントで!
ここまではうつ病で一人暮らしをしている方にオススメの食事を紹介してきましたが、実際の所、この食生活ではビタミンやミネラルが全く足りません。
本来であれば、ビタミンやミネラルが多く含まれているウナギやカキ、レバーなども食べるべきですが、一人暮らしでこれらの食材を調理して食べることはほとんど無いと思います。
ビタミンやミネラルが不足していると、いくらタンパク質を食べても脳の神経伝達物質の合成に必要な栄養が足りないために、心の安定に必要なセロトニンなどが分泌されません。
ですので、足りない栄養素はサプリメントを有効活用しましょう。
具体的にどのサプリメントを飲めば良いのかについては、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのiHarbサプリを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。
うつ病で一人暮らし…1人でも出来る食事療法は?まとめ
以上が、一人暮らしの食生活で陥ってしまう質的栄養失調とうつ病の関係と、うつヌケするために食べるべき物、避けるべき物を解説しました。
ここまでの流れをまとめると・・・
- うつ病の主な原因は、質的栄養失調
- 一人暮らしだと質的栄養失調になりやすい
- うつヌケしたいなら、タンパク質多めの食事を
- タンパク質は、心の安定に必要なセロトニンなどの材料になる
- 一人暮らしなら、サバ缶やハンバーグ、サラダチキン、鍋などがオススメ
- 白米やパン、ラーメンはほとんど栄養が無いので避ける!
という感じです。
最初から白米やパン、ラーメンなどを断つのは難しいと思いますが、徐々にでもいいのでタンパク質多めの食事に切り替えていきましょう。
タンパク質やビタミン・ミネラルが足りないと、いくら薬を飲んでも脳の神経伝達物質の材料が足りないために、セロトニンやドーパミン等が分泌されません。
これだと、いつまでたってもうつ症状が良くなりませんので、普段の食生活はなるべく気をつけるようにして下さい。