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うつ病の原因とされるモノアミン仮説とは? うつ病が発症する仕組みと原因を解説!

うつ病の原因と言われているモノアミン仮説。現在の精神科や心療内科の薬物治療では、このモノアミン仮説を元に治療を行っています。

この仮説が正しければ、薬を飲めばほとんどの人達がうつ病から回復するはずですよね。しかし、薬を飲んでいても良くなるどころか悪くなっていくことが多いのです。

うつ病の原因は、本当にモノアミン仮説だけなのでしょうか?

今回は、モノアミン仮説が一体どのような仮説なのかについてや、モノアミン仮説以外のうつ病の原因、モノアミン濃度が低下してしまう原因について詳しく解説します。

目次

モノアミン仮説って何?

現在、うつ病の原因として最も言われているのが、「モノアミン仮説」です。

モノアミン仮説とは、脳の神経伝達物質の分泌異常が精神疾患と深く関わっているのではないかとされる憶測です。

モノアミンとはドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質の総称です。このうち、ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンは精神疾患と密接な関連があると言われており、うつ病や不安障害、統合失調症に関する仮説が提案されています。

いずれの仮説も、薬を用いて脳の神経伝達物質の濃度を増やしたり、効果を無くしたりしたことで症状がよくなったことから、脳内のモノアミンの異常を推定しています。

うつ病のモノアミン仮説

脳科学辞典によると、うつ病には以下のようなモノアミン仮説が提案されています。内容が複雑なので簡単にまとめましたが、一言で言うと「脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリンやセロトニンといったモノアミンが躁病(そうびょう)では多すぎ、うつ病では少なすぎる」というものです。

セロトニン仮説

うつ病患者で脳脊髄液中のセロトニンの代謝物の低下が見られることや、セロトニンの材料であるトリプトファンをモノアミン酸化酵素阻害剤に併用すると抗うつ作用が増強することなどから、うつ病患者の脳ではセロトニン神経伝達の機能低下が起きているという仮説が提案されています。

ドーパミン仮説

初期の頃よりドーパミンとノルアドレナリンの低下がうつ病の可能性の1つと言われていました。

これは、パーキンソン病の治療薬がうつ病治療に有効であることなどから、うつ病では脳内ドーパミン機能が低下し、その機能低下が修正されることによりうつ病症状が改善するという仮説が提案されています。

ノルアドレナリン仮説

1956年、スイスの精神科医Kuhnはイミプラミンをうつ病患者に用い、イミプラミンが抗うつ作用を持つことを見出しました。

後に、イミプラミンには強力なノルアドレナリン再取り込み阻害作用があることが確認され、この作用から考えて、うつ病では中枢ノルアドレナリン機能が低下しているという仮説が提案されました。

しかし、うつ病患者の脳内でノルアドレナリン機能が低下しているのかどうかについては、まだ確認されていません。

双極性障害のモノアミン仮説

双極性障害とは、気分が落ち込むうつ症状と、気分が上がりすぎる躁病(そうびょう)を交互に繰り返してしまう病気です。

双極性障害ではうつ病でも躁病でもドーパミン機能の異常が薬理学的に推定されており、躁病ではドーパミン機能の高ぶりすぎが、うつ病ではドーパミン機能の低下が推定されています。

うつ病の原因は、本当にモノアミンの分泌異常なのか?

少し難しい解説が続きましたが、ここまでがちまたでよく言われているうつ病や精神疾患の原因です。

そして、現在の精神科や心療内科はこの仮説を元に、モノアミンの濃度をあげたり、効果を阻害したりする薬を処方して治療を行っています。

モノアミン仮説が本当なら、これらの精神薬はうつ病や精神疾患に効果が期待できるはずですよね。しかし、「精神薬を服用してうつ症状が治った!」という人はあまりきいたことがありません。

もしかしたら、あなたも抗うつ薬や安定剤などの精神薬を服用していて、ほとんど効果を感じていないかもしれません。

うつぬきやの管理人も10年ほど様々な精神薬を服用していましたが、一向に良くなることはありませんでした。

ここで疑問に思うのが、うつ病の原因は本当にモノアミンなのか?ということですよね。

精神科は、当てずっぽうで薬を処方している

うつ病の原因とされているモノアミン(セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン)ですが、実際の所、あなたのどのモノアミンに異常をきたしているのかは分かりません。

それなのに、精神科や心療内科では、検査もせずに当てずっぽうで、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)など、これらモノアミンの濃度を上げる薬を処方しています。

このような薬を飲んで効果を感じれば良いのですが、恐らくほとんどの方が効果を感じていないはずです。

なぜなら、これらの精神薬は、3分の1の人に効かないということが、製薬会社のホームページでは明確に記載されているからです。

国内のうつ病の患者数は約100万人いるとされるが、セロトニンやノルアドレナリンの働きを補う既存の抗うつ薬の治療では、約1/3の患者さんで十分に効果が得られないといわれている。

https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2013/20130614_01.html

実際のところ、あなたのうつ病の原因がモノアミンだとしても、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンのどれがどのくらい濃度が低くなっているのかは、精密検査でもしてみなければ分かりません。

それなのに、効くかどうかも分からない薬を、とにかく当てずっぽうで処方しているのです。薬が効かなければ他の薬へとっかえひっかえ変えていき、「薬が効かないのは薬があっていないせいだ」などと言って人体実験のように薬を飲ませているだけなのです。

こんなことを続けていても治るはずがありませんよね。薬の副作用や離脱症状で、人生をめちゃくちゃにされてしまいます。

ではどうすればいいのかというと、実は、うつ症状の原因は以下のようにモノアミン以外にも沢山あります。

これらに当てはまる場合は、精神科の薬を飲むよりも、先に疾病を治療する方がうつ症状がよくなることがあります。

うつ病の原因は、モノアミンの分泌異常以外にも様々

うつ病の原因は、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの分泌不足と言われている以外にも、以下のような原因からうつ症状が現れることが分かっています。

  • 質的な栄養失調
  • ストレスによる腸内環境の悪化
  • 鉄分不足
  • 薬の副作用
  • ピロリ菌の感染
  • 腸カンジダの感染
  • 糖質の取り過ぎ(糖尿病、血糖調節障害)
  • 腸の不調
  • 脳の慢性炎症
  • ホルモン障害
  • 更年期障害とPMS(月経前症候群)
  • アジソン病、クッシング症候群、ストレスによる副腎疲労
  • 甲状腺機能障害
  • 認知症(アルツハイマー)
  • 妊娠、産後うつ

これは、脳の神経伝達物質に限らず、質的な栄養失調であったり、ホルモンバランスの乱れであったり、細菌に感染していたりするなど、多岐にわたります。

ですので、ご自身のうつ症状の原因が、セロトニンやノルアドレナリンなどのモノアミン分泌異常以外の可能性もあることを疑った方がよいでしょう。

これらうつ症状の具体的な原因については、うつ病が発症する原因とは? メカニズムと要因を解説で詳しく解説していますので参考にして下さい。

モノアミンの分泌異常は、質的栄養失調が原因

うつ病の原因として言われているモノアミン仮説ですが、あながち間違っているというわけではありません。これは、SSRIやSNRIなどのモノアミンを調節する薬が効く人がいることからも、間違いないと思われます。

しかし、具体的に「なぜモノアミンの分泌量が減ってしまうのか?」について詳しく解説されていません。この分泌量が減ってしまう主な原因が、質的な栄養失調なのです。

質的な栄養失調とは、食事内容がパンや白米、うどんやラーメンなどの炭水化物に偏りすぎていて、お腹いっぱい食べているにも関わらず、脳や体の健康に必要なビタミンやミネラル、タンパク質が不足してしまうことです。

タンパク質やビタミンが不足すると、神経伝達物質の材料になるアミノ酸が不足し、脳の活動が低下します。

さらに、炭水化物ばかりを摂取していると、食事のたびに血糖値が乱高下します。この乱高下を穏やかにするために、すい臓からインスリンが分泌されたり、副腎からアドレナリンが分泌されます。

アドレナリンは神経伝達物質の1つで、興奮作用や緊張作用があります。アドレナリンが多量に分泌すると、イライラしたり、キレやすくなったります。食生活が悪い人や、炭水化物を多量に摂取している人はキレやすいというのも、これが原因です。

うつ病の改善には、炭水化物や甘い物などを制限する糖質制限に加え、肉や魚を多く摂取する生活習慣に変える事が非常に重要です。

セロトニンの材料、トリプトファンを摂ったらうつは治る?

よく、「うつの人はトリプトファンが多く含まれている食べ物がいい」と言われていますよね。トリプトファンとは、脳の神経伝達物質であるセロトニンの材料となる栄養素です。

セロトニンは、感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に深く関係する三大神経伝達物質の1つです。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、分泌されるとリラックスしたり幸せを感じたりする事から、メンタルに良いとされ、近年注目を集めています。

うつ症状があるひとは、このセロトニンの分泌量が減っていて、これが原因でうつ症状が発症していると言われています。

ですので、トリプトファンが多い食べ物を食べれば、体の中でセロトニンに変換され、うつ症状に効果があると言われているのです。

このトリプトファンが多く含まれている食べ物としては、牛乳、ピーナッツ、バナナ、ヨーグルトなどがありますよね。これらを食べたら、本当にうつ症状が改善するのでしょうか?

分子整合栄養医学の観点から見ると、トリプトファンを摂取しただけではうつ症状はよくならないと言えるでしょう。

トリプトファンだけ摂取してもうつ症状は改善しない

トリプトファンは、特定の食べ物にしか含まれていないような気がしますが、実際は私達が普段食べているものに多く含まれています。

ですので、基本的にトリプトファンが不足することはありません。

実際に普段食べているものにどのくらいのトリプトファンが含まれているのかは、以下の表にまとめました。

トリプトファン含有量が多い食べ物(可食部100gあたり)

白米 82mg
玄米 94mg
パスタ(乾麺) 140mg
そば(乾麺) 170mg
250mg
カツオ 310mg
マグロ赤身 270mg
豚ロース 280mg
鶏むね肉 270mg
木綿豆腐 98mg
豆乳 53mg
バナナ 15mg
牛乳 82mg
ピーナッツ 27mg
ヨーグルト 42mg

バナナ、牛乳、ピーナッツ、ヨーグルトに比べると、私達が日常的に食べている白米や豆腐、パスタやそばのほうが、トリプトファンは多く含まれていますね。

特に多いのが、魚や肉などの動物性タンパク質です。表では、どれも200mgを超えており、多いものでは300mg以上含まれています。

生活する上で必要なトリプトファンの一般的な摂取量の目安は、体重1kg当たり2mg程度と言われています。これは、体重が50kgの場合はおよそ100mg程度にあたります。

上の表は可食部100g当たりのトリプトファンの量ですから、普通に考えて一日に100g以上は余裕で食べていますよね。つまり、パスタやそば、白米などを200g程度食べれば、一日に必要なトリプトファンは十分に摂取出来ているのです。

それでは、なぜトリプトファンを日常的に摂取しているにも関わらず、うつ症状が発症してしまうのでしょうか?

それは、上述したように、うつの原因はセロトニンだけではないからです。

全てのモノアミンバランスを整える事が重要!

脳の神経伝達物質は、興奮系のドーパミン、抑制系のGABAがあります。この2つのバランスを調節しているのがセロトニンです。

シーソーで例えると下図のように、支点の役割を担っています。

うつ症状を発症している方は、セロトニンだけでなく、ドーパミンやGABAの分泌量も減っています。ですので、セロトニンだけを補っても、肝心のシーソーのバランスが整いません。

うつ症状を改善するには、これらの神経伝達物質の材料となる栄養素をまんべんなく摂取することが重要です。

この神経伝達物質の材料となるのが、牛肉などの「タンパク質」なのです。なぜ、タンパク質と脳の神経伝達物質が関係あるのでしょうか。

それは、肉を摂取すると、胃酸などで分解されてアミノ酸になり、このアミノ酸が脳の神経伝達物質の材料になるからです。

脳の神経伝達物質の材料をまんべんなく摂取することが鍵

下図は、タンパク質が脳の神経伝達物質に分解、合成されるまでの過程を表したものです。

 

https://www.orthomolecular.jp/nutrition/protein/

タンパク質(プロテイン)を摂取すると、いくつかの工程を経てアミノ酸に分解されます。脳神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。

このアミノ酸は、ビタミンやミネラルを元に、神経伝達物質である「ドーパミン」「セロトニン」「GABA」に合成され、消費されていきます。

これらの神経伝達物質は、互いにバランスを取りながら分泌されるので、どれか特定のアミノ酸を大量に摂取したとしても、特定の神経伝達物質が大量に分泌されるわけではありません。

ですので、トリプトファンだけを摂取するのではなく、脳の神経伝達物質の材料となるアミノ酸をバランス良く含んだタンパク質を摂取することが重要になるのです。

そして、アミノ酸から神経伝達物質に合成する時には、補酵素としてビタミンやミネラル等が必要になりますので、これらも同時に摂取するように心がけましょう。

例えば、L-トリプトファンから5-HTPに合成する時には、葉酸、鉄、ナイアシンが必要になります。上述した「トリプトファンが多く含まれている食べ物」の栄養素を見てみると、そのほとんどに鉄分が入っていません。

鉄分が足りなければ、どれだけ食べたところでアミノ酸が神経伝達物質に合成されることはなく、そのまま体外に排泄されてしまいます。

このように、特定の栄養だけを摂取しても、他の栄養素が足りなければ脳の神経伝達物質を合成することが出来ないのです。

うつ病の原因とされるモノアミン仮説とは? うつ病が発症する仕組みと原因を解説!まとめ

以上が、うつの原因とされるモノアミン仮説と、精神薬が効かない理由、モノアミン以外のうつ病の原因でした。

ここまでの流れをまとめると・・・

  • うつ病の原因はモノアミン仮説が有力
  • どのモノアミン濃度が異常かなどの詳細はわかっていない
  • 精神科はモノアミン仮説をもとに、当てずっぽうで薬を処方している
  • モノアミン仮説以外にも、うつ病の原因はある
  • モノアミンの濃度が下がる主な原因が、質的な栄養失調
  • 特定のモノアミンを整えてもあまり意味が無い
  • モノアミンの材料をバランス良く摂取することが重要!

ここまでご覧になった方は、精神科がいかにいい加減な治療をしているのかが理解して頂けたかと思います。

モノアミン仮説は、万人に当てはまるのでは無く、一部の人だけです。モノアミンの濃度以外にも、うつ症状の原因となる疾病や症状は沢山あります。まずはそちらを治療することを先決しましょう。

また、モノアミン濃度以外のうつ病の原因に心当たりが無い場合は、「質的な栄養失調」疑うべきです。栄養不足によりモノアミンが不足してうつ症状が発症している可能性があります。

このような方は、タンパク質やビタミン、ミネラルなどバランス良い食事を心がけると共に、足りない栄養素はサプリメントで補うようにしましょう。

具体的にどのサプリを飲んだら良いのかについては、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのサプリを紹介! で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。

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