薬を飲んでもなかなか良くならないうつ症状、辛くてたまりませんよね。
うつぬきやの管理人も、かれこれ10年以上も抗うつ剤と安定剤を飲み続けていましたが、一向に良くなることはありませんでした。
そうなると、うつ症状は薬では治らないのかも・・・、なんて思ってしまいますよね。薬以外にうつ症状を改善することが出来る方法があるなら、わらにもすがる気持ちでやってみたいと思うはずです。
このような中、「うつ消しごはん」や、「うつは食べ物が原因だった!」の書籍も登場し、うつ症状には食生活が重要であるという認識が深まってきました。
今回は、うつ症状を改善、予防に効果的な食べ物や栄養素、食べてはいけないものなどを解説すると共に、うつぬきやがオススメする朝昼晩の献立を公開します。
目次
うつ病は食事で予防、改善出来るの?
うつ病の治療として現在主流になっているのは、抗うつ剤や安定剤などを用いた薬物療法です。
薬での治療が一般的とされる中、なぜ、食事でうつが予防、改善出来るという情報が多く出回ってきたのでしょうか。
そこには、現代病とも言える「質的栄養失調」が深く関係していたのです。
うつ病の主な原因は質的栄養失調!
うつ病の主な原因は、脳の神経伝達物質の1つである「セロトニン」の分泌不足だと言われています。
ですので、このセロトニンの材料となる「トリプトファン」を摂ればうつ病が良くなるなどと解説されている記事も散見されます。
ですが、特に気をつけなくてもトリプトファンが不足することはありません。これは、私達が普段食べている白米や麺などにも多く含まれており、およそ200gほど食べれば十分量を摂取出来てしまうのです。
では、なぜトリプトファンを日常的に摂取しているにもかかわらず、うつ症状が発症してしまうのでしょうか。
それは、炭水化物に偏りすぎた食事内容によって、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足し、栄養の質的に栄養失調になってしまっているからです。
私達の食生活は、想像以上に炭水化物や糖質の多い食生活をしています。主食とされるパンや白米、うどんやラーメン、パスタなどはすべて小麦や米などの炭水化物で作られています。
このような炭水化物に偏った食生活では、脳の神経伝達物質の合成に必要なタンパク質やビタミン・ミネラルが欠乏し、心の安定に必要なセロトニンやドーパミン等の分泌量が低下してうつ症状が引き起こされてしまうのです。
タンパク質は脳に必要な栄養素!
脳に必要な栄養素と言えば、「ブドウ糖」や魚に多く含まれている「DHA・EPA」などが有名ですが、これら栄養素よりも、もっと重要な栄養素が実は「タンパク質」なのです。
なぜ、タンパク質がうつ症状や脳機能と関係しているのでしょうか?
それは、タンパク質を分解してできた「アミノ酸」が、セロトニンやドーパミン等の脳の神経伝達物質の材料になるからです。
次の図は、タンパク質を分解してできたアミノ酸から、脳の神経伝達物質までに合成される過程を表した物です。
タンパク質を摂取すると、胃酸によって様々なアミノ酸に分解されます。
そのうち、脳の神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。
これらのアミノ酸は、ビタミンやミネラルの力を借りて、セロトニンやドーパミン等の様々な脳の神経伝達物質に合成され、消費されていきます。
よく、うつ病の原因はセロトニンの分泌不足や、ドーパミン・ノルアドレナリンの分泌不足などと言われていますよね。
実は、これら脳の神経伝達物質はタンパク質を元に作られていたのです。
ですので、パンや白米、うどんやラーメンなどの炭水化物が多い食生活では、タンパク質やビタミン・ミネラルが不足し、心の安定に必要な脳の神経伝達物質の分泌が低下するのは当然と言えます。
逆に、タンパク質やビタミン、ミネラルをバランス良く摂れる食事をしていれば、うつはみるみる良くなっていくと言えるのです。
うつに良いとされる食べ物、栄養素は?
うつ病には、野菜を中心とした和食や、肉が少なく魚が多い地中海料理がいいと言われているなど、その主張は様々です。
ですが、○○料理がうつ病に良いと言うよりは、タンパク質やビタミン、ミネラルがどのくらい含まれているかや、使っている油などが大きく関係しています。
ここでは、クリニックなども実践している、分子整合栄養医学に基づいた内容をご紹介します。
うつ症状には赤身肉がオススメ
脳の神経伝達物質を合成するには、タンパク質やビタミン、ミネラルなどが必要になる事は上記で解説しました。
これらの栄養素が大量に含まれているのが「牛肉の赤身」です。赤身の肉は、他にも正常な細胞を作るために必要な亜鉛やビタミンB12を大量に含んでいます。
他にも、女性にとって不足しがちの鉄分も多く含んでおり、鉄分の補給にもうってつけです。
赤身に含まれている鉄分は、「ヘム鉄」といわれ、吸収されやすい鉄分になります。逆に、ホウレンソウなどの植物に含まれている鉄分は「非ヘム鉄」といわれ、そのままでは吸収されづらい鉄分になります。
ですので、鉄分補給には動物性の肉から摂る方が効果的です。
赤身の肉だけでは、脳の神経伝達物質の合成に必要な葉酸やナイアシンなどのビタミンB群が足りないですが、これらが多く含まれている「レバー」を一緒に食べることでバランスが整います。
レバーにもタンパク質や鉄分、ビタミンB群が多く含まれているので、うつには効果的です。
出来れば毎日、牛肉や豚肉などの赤身の肉を一品食べるようにしましょう。
赤身の魚、青魚、魚介類
タンパク質やビタミン、ミネラルは、魚介類などからも摂取する事が出来ます。
マグロの刺身やカツオの刺身など、赤身の魚にはタンパク質と鉄分が豊富で、うつ症状がある人には特に食べて頂きたい一品です。
また、サバやサンマ、アジやイワシなどの青魚には、脳の炎症を抑えるDHA・EPAが豊富に含まれており、うつ症状にも効果的です。
この他、魚に限らず、カキやアサリ、シジミなどには、鉄分や亜鉛などが豊富に含まれています。得に不足しがちになる亜鉛はカキは積極的に食べたほうがいいでしょう。
野菜やキノコ
タンパク質やビタミン、ミネラルの他に、これらの消化吸収を助ける食物繊維も重要な役割を果たしています。
食事の際には、食物繊維が多く含まれているレタスやキャベツなどのサラダを一品、必ず食べるようにしましょう。
野菜には、食物繊維以外にもβカロテンやビタミンCなどのビタミンやミネラルが豊富に含まれています。熱を加えると壊れてしまう栄養素が多いので、野菜はなるべく生で食べるのがオススメです。
また、シメジやしいたけなどのキノコ類にも、ビタミンDや食物繊維が多く含まれています。ビタミンDが不足すると「冬期うつ」になる事から、キノコ類も積極的に食べるようにしましょう。
うつ症状を改善、予防する献立とは?
以上のタンパク質と脂質、炭水化物を考慮して、うつぬきやがベターと思われる献立を考えてみます。ただ、この献立で全ての栄養が摂取出来るわけではないので、足りない栄養素はサプリメントなどで補う必要があります。
基本的には、炭水化物や糖質を抜き、良質なタンパク質と脂質を摂取することを心がけるようにしましょう。
このような食生活を続けるだけで、うつの予防や改善どころか、病気のほとんどの原因を無くすことが可能です。
「あなたの体は食べたものから出来ている」と言われるように、現在の体調不良や病気は、あなたが食べたものが原因で引き起こされています。ということは、今日からの食事を変えれば、未来の自分を変えることが出来るのです。
以下のメニューはうつぬきやの管理人が分子整合栄養医学の観点から考えたものですが、それほど難しい食生活ではありません。これに近い食生活を毎日続けて、健康な体を手に入れましょう。
朝食のメニュー例
- サバ缶1つ
- ゆで卵
- 納豆
- キノコの味噌汁
- 海藻サラダ
- 足りない栄養素のサプリ
昼食のメニュー例
※例としてメニューを載せておきますが、昼食は自由で良いと思います。
- 焼き鳥またはとんかつ、焼き魚
- ゆで卵または卵焼き
- サラダ
- 野菜スープ
間食をしたくなったら、甘いものやポテトチップスをさけ、塩バターポップコーンにしておきましょう。ポップコーンは食物繊維が多く、腸内環境の改善に繋がります。バターは動物性の脂質の補給としてダイエットにも健康にも効果的です。
夕食のメニュー例
- 牛のもも肉ステーキ(200g)またはレバー、マグロの刺身
- 海藻サラダ
- キノコの味噌汁
- 冷や奴
- キュウリのぬか漬け
- 足りない栄養素のサプリ
鍋はうつヌケにオススメの料理!
いくらうつ病に効果的な食事が紹介されていても、手間がかかって実践できなければ意味が無いですよね。特に、うつ病の方は凝った料理がつくれないほど体調が悪い方も多いです。
そのような方にオススメなのが、手軽で栄養満点の「鍋」です。
鍋には、野菜や肉などを煮るだけで食べられるので、うつやパニックがある人でも料理の負担がありません。
鍋つゆには様々な種類が販売されており、チゲ鍋からカレー鍋、ちゃんこ鍋など好みの味に出来るのも利点です。キノコや豆腐、白菜など様々な食材を色々煮て食べてみて下さい。
特に、鍋の具材としては牡蠣鍋がオススメです。牡蠣にはタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれており、「海のミルク」とも言われる食材です。
牡蠣には亜鉛が多く含まれていることで有名ですが、この亜鉛も脳の神経伝達物質の分泌に欠かせない栄養素の1つです。
最近の研究結果では、興奮系の神経伝達物質であるグルタミン酸と、抑制系の神経伝達物質であるGABAの正常な分泌に亜鉛が関係していることが分かってきました。
亜鉛が不足することにより、適切に抑制系のGABAの分泌が出来なくなり、興奮系のグルタミン酸の濃度が高まりすぎてしまって、パニック症状が引き起こされます。
ですので、うつやパニックを治したいときは、タンパク質に加えて、鉄や亜鉛などのミネラルや、ビタミンなどの補酵素もまんべんなく摂取するようにしましょう。
うつ症状を予防、改善する食べ物とは? 具体的な食生活やメニューを徹底解説!まとめ
以上が、うつ症状を予防、改善する食べ物と、食べてはいけない食べ物でした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- うつ病の原因は、質的栄養失調
- 神経伝達物質の材料はタンパク質とビタミン、ミネラル
- 炭水化物に偏りすぎた食事で、うつ病が発症する
- うつ病には、赤身肉やレバー、魚介類や野菜、キノコがオススメ
- 糖質オフで高タンパク、高脂質の食事を心がける
- どれか一品を食べるのでは無く、まんべんなく食べる
- 料理が苦手な方は、鍋がオススメ
という感じです。
私達が普段耳にする情報では、「肉や油は体に悪いから避ける」というのが一般的な考えでした。ですが、これらを避けてしまうと、その食生活は炭水化物に偏りすぎて、脳に必要なタンパク質や脂質が足りなくなってしまいます。
このような、間違った食生活によってうつ病は引き起こされていたのです。ですので、今日からでも良いのでタンパク質や脂質、ビタミンミネラルをバランス良く取れる食事に変えていきましょう。
もし、ここに書かれているような食生活をするのが難しい場合は、サプリメントで必要な栄養素を補ってあげる事も有効です。
うつぬきやがオススメしているサプリメントは、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのサプリを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。