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更年期のうつ病に効く食事はある?更年期に特に摂りたい食べ物とは

イライラや頭痛、吐き気、「ホットフラッシュ」と呼ばれる吐き気など、更年期の症状は辛い物がありますよね。これと合わさって、更年期では抑うつ気分や物事に対する意欲の低下など、うつ症状が現れる事があります。

この更年期からくるうつ症状は、酷い場合には「うつ病」として扱われることもあります。一般的には産婦人科や心療内科で抗うつ剤や安定剤などの薬物治療が一般的です。

でも、脳に直接影響がある精神薬はあまり飲みたくないですよね。もし食事で改善できるなら、そうしたいと思う方も多いと思います。

今回は、更年期のうつ症状は何故起きるのかについてや、分子整合栄養医学の観点から更年期を改善する栄養と食事をご紹介します。

目次

更年期のうつはなぜ起こる?

更年期になると、エストロゲンという女性ホルモンの分泌が急激に減ることによって様々な身体的、心理的変化を引き起こします。更年期とは、閉経をはさむ前後5年間の約10年間のことです。日本人なら45〜55歳が更年期にあたります。

エストロゲンは女性の機能を正常に保つ働きや、気持ちを安定させる働きもあるため、急激に減ってくると感情のコントロールが難しくなり、イライラしたり不安になったり、気分が落ち込むなどの症状が現れることがあります。

また、子供の自立や、女性としても節目を迎える時期でもあり、精神的要因や社会的要因が複合的に強く影響することで,更年期の女性には多種多様な精神症状を出現させることにも繋がります。

このような精神症状のうち、「抑うつ気分がある」「物事に対する意欲の低下」などは、更年期障害によるうつ症状と捉えて問題ないでしょう。

また、PMS(月経前症候群)もエストロゲンに加え、プロゲステロンのバランスがうまく取れないことが原因です。

PMSは、生理の1〜2週間前になると、乳房が張る、肌が荒れる、むくむ、冷える、頭痛、腰痛がする、イライラする、集中力がなくなる、食欲がなくなる、うつっぽくなるなどの症状が現れます。

このような生理に関係する不調からでもうつ症状が引き起こされる場合があります。

更年期うつの主な原因は質的栄養失調!

前述のように、うつ症状には更年期障害などの不快な症状が深く関係しています。この2つはセットで様々な不調を引き起こしており、特に更年期障害がうつ症状の原因となっています。

ですので、更年期のうつを改善したいときは、更年期障害をまず治すことが重要です。

更年期障害の原因は、ホルモンバランスの乱れとよく言われていますが、このホルモンバランスの乱れを引き起こしているのが、実は普段の食生活です。

私達の普段の食生活では、パンや白米、ラーメンやうどんなどの炭水化物に偏っていたり、ジュースやスイーツなどの甘い物を沢山摂っています。

炭水化物や甘い物などを沢山摂ってしまうと、急激な血糖値の上場に伴って、血糖値を下げるホルモンであるインスリンが大量に分泌されてしまいます。

インスリンの材料は、各種ホルモンや脳の神経伝達物質を構成する栄養とほぼ同じもので作られているため、甘い物や炭水化物を摂取すればするほど、これらホルモンが出にくくなってしまうのです。

また、肉や魚を食べると太るという観点から、野菜や果物などのヘルシーな食生活をしている方もいます。

このような食生活では、ホルモンや脳の神経伝達物質を作る元になるタンパク質や脂質が不足し、栄養の質的に栄養失調になってしまいます。このような質的栄養失調になってしまう事で更年期障害やうつ症状が引き起こされてしまうのです。

ですので、更年期から来ているうつを治したいときは、食事や栄養面を整え、ホルモンや脳の神経伝達物質がしっかりと分泌されるような体を作ってあげる事が重要になります。

質的栄養失調が更年期障害とうつを引き起こすメカニズム

前述では、更年期のうつの原因は主に更年期障害が原因となっており、更年期障害の原因は質的栄養失調が原因と解説しました。

では、具体的にどのような栄養が不足することで更年期障害や更年期のうつ症状が引き起こされるのでしょうか。

主なものとしては、ホルモンの材料であるコレステロールの不足と、脳の神経伝達物質の材料になるタンパク質・鉄分の不足です。

更年期のうつに効く食事を紹介する前に、これらの栄養が更年期とうつ症状にどのような関係性があるのか、具体的なメカニズムについて解説しておきましょう。

コレステロールはホルモンの材料になる

更年期障害の原因は、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが深く関わっています。

このエストロゲンやプロゲステロンは、実はコレステロールを原料に作られているのです。コレステロールと言えば、動脈硬化を引き起こす原因として悪者扱いされていますが、それは大間違いです。

血中のコレステロールの4分の3は、おもに肝臓で合成されています。コレステロール値を下げようと卵を控えている方も多いかもしれませんが、卵を控えてもコレステロールが下がるというわけではありません。

何かと悪者扱いされているコレステロールですが、私達の体の中ではコレステロールが非常に重要な役割をしています。その1つが、ホルモンの原材料なのです。

上図は、コレステロールの代謝経路を図にした物です。

私達の体では、糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素からアセチルCoAに合成され、主に脳や体を動かすエネルギーとなるATP(アデノシン三リン酸)の材料として使われています。

そして、アセチルCoAのもう一つの役割が、コレステロールの原料となることです。このコレステロールは、性ホルモン、ストレスホルモンなどの重要なホルモン合成の出発点となっています。

コレステロールを材料にして作られるホルモンには、血糖値の維持やストレス耐性に不可欠な「コルチゾール」のほか、「テストステロン」「プロゲステロン」などの性ホルモンも含まれます。

ホルモンバランスが乱れている女性の多くは、タンパク質や脂質を摂取するとカロリーオーバーで太るという意識があり、肉や魚、脂肪分を避ける食生活をしがちです。

これはむしろ間違いで、美容やダイエット、更年期障害、PMSやPMDDにはタンパク質と脂質を多く摂取する方が正解なのです。また、DHEAはエストロゲンの材料になるので、DHEAをサプリで補うことも有効です。

また、アセチルCoAに最も少ない反応で合成できるのが「脂質」です。糖質は血糖値スパイクやインスリンの分泌から避けた方が良く、タンパク質はできるだけエネルギー源にならないようにする事が重要です。つまり、エネルギー源はできるだけ脂質から得るようにするのが理想です。

余談ですが、「脂質を多く摂ると太るから嫌だ」という方がたまに居ます。これは間違いで、太る原因は糖質の取り過ぎによるものです。糖質は、体内で使い切れなかった分は脂肪として貯えられ、肥満やメタボリックシンドロームの原因となります。

ですので、脂質をたくさん摂っても太ることはありません。

女性ホルモンのバランスを整えるには、米やパン、うどんやパスタなど糖質が多い物をさけ、肉や魚、大豆などのタンパク質と脂質を多く食べるようにしましょう。

タンパク質不足と鉄不足

うつ病は、「心の風邪」「脳の病気」と言われていたり、「セロトニンの分泌不足」などとも言われていますよね。

セロトニンは脳の神経伝達物質の一種で、分泌されると幸福感を感じることから、「幸せホルモン」などとも言われています。

このセロトニンは、「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸から合成出来るため、一部ではトリプトファンが多く含まれているバナナや牛乳の摂取を推奨している記事もあります。

また、セロトニン以外にも、やる気を出す作用があるドーパミンや、気分を落ち着ける作用があるGABA(ギャバ)など、様々な脳の神経伝達物質がうつ病と深い関係がある事が分かっています。

これらセロトニンやドーパミン、GABA等は、チロシンやトリプトファン、フェニルアラニンと呼ばれる必須アミノ酸から合成され、これらは体内では合成出来ないために食事から摂取することが欠かせません。

実は、これらアミノ酸がまんべんなく含まれているものが、肉や卵などのタンパク質なのです。つまり、タンパク質などの肉料理は脳の神経伝達物質の材料になるため、うつ病には良いと言えるのです。

例えば、昭和女子大学 生活科学部の教授らが行った研究では、うつ病とタンパク質の関係について次のように解説しています。

タンパク質と脳の栄養〜うつ病とタンパク摂取〜

タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素と呼ばれ、身体をつくる役割も果たしている。タンパク質の機能は多岐にわたるが、皮膚や腱などを構成するコラーゲンのような構造タンパクと細胞の生存のために必要な機能を担う機能性のタンパク質に分類される。脳の栄養にはブドウ糖が最も重要とされていたが、タンパク質摂取も脳機能に決定的な影響を与えていることが分かったのは最近である。

 

1960年代に南米のグアテマラ共和国で、 サプリメントとしてタンパク質を十分に与え た場合に成長にどのような結果をもたらすかが研究された。するとサプリメントを与えられた子供たちは身長が1~2センチメートル高かっただけでなく、認知機能も向上していることが分かったのである。 重要なのは、このようなタンパク質のサプリメントを与えられた子供たちは思春期になって就学の機会が多くなり、さらに男子の場合には収入も増していたことである。

 

これらの発見はMRI(磁気共鳴テスト)における脳波の測定でも確かめられている。つまり、タンパク質は脳の健常な発達に不可欠なのである。このように脳についてもタンパク質が多くの機能を担っており、特徴的なことはタンパク質の構成成分であるアミノ酸が神経の情報伝達に重要な役割をしているということである。

https://www.alic.go.jp/content/000141085.pdf

このように、脳機能とタンパク質には密接な関係があり、十分なタンパク質を摂取することで学力や認知機能、はたまた収入まで増加するという研究結果が出ています。

つまり、うつ病には肉や卵などのタンパク質を摂取することが、うつヌケするための最大の鍵であると言えるのです。

女性は鉄分の補給も重要

更年期障害やPMS、PMDDなど、女性のうつやパニック障害とみられる症状の多くは、鉄欠乏が原因です。特に子供を何人も出産した方や、まだ生理が続いている方、若いときからPMD(月経前不快気分症候群)で悩まされていた方は、潜在的鉄欠乏性貧血の疑いがあります。

鉄不足かどうかの確認として、健康診断の貧血チェックでは血液中のヘモグロビン値を見ると思いますが、本当に鉄不足かどうかは「フェリチン値」を図ることが重要です。

フェリチンとは、鉄と結合しているタンパク質の1つで「貯蔵鉄」とも呼ばれ、フェリチン値が低いと「潜在性鉄欠乏貧血」になります。

この鉄分がなぜうつ症状やパニックと関係しているのかについては、脳の神経伝達物質の合成過程にあります。

鉄分は、血液の主成分以外にも、脳内神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンの材料として欠かせない栄養素なのです。

下図は、うつの改善に必要な脳内神経伝達物質の分解、合成を表した物です。


https://www.orthomolecular.jp/nutrition/fe/

摂取したタンパク質(プロテイン)は、胃酸とカルシウムとビタミンCによってL-グルタミン、L-フェニルアラニン、L-トリプトファンに分解されます。

そこから脳の神経伝達物質であるGABAやドーパミン、セロトニンに合成するためには、ビタミンなどに加えてFe、つまり鉄が必要になるのです。

鉄が不足していると、自律神経の安定に必要なこれらの神経伝達物質が合成出来なくなり、しいてはうつ症状があらわれるのです。

ですので、エストロゲンやプロゲステロンだけにとらわれず、脳の神経伝達物質であるタンパク質やビタミン、ミネラルの補給に加えて、鉄分も十分に補給するようにしましょう。

更年期のうつには何を食べれば効果的?

前述したように、脳の神経伝達物質を合成するには、タンパク質の他に葉酸や鉄、ナイアシンなどのビタミンやミネラルが必要になります。

また、ホルモンなどを合成するためには脂質が重要な役割を果たしています。

これらのうち、タンパク質や脂質、ビタミン、鉄分が大量に含まれているのが「牛肉の赤身」です。赤身の肉は、他にも正常な細胞を作るために必要な亜鉛ビタミンB12を大量に含んでいます。

赤身に含まれている鉄分は、「ヘム鉄」といわれ、吸収されやすい鉄分になります。ですので、鉄分補給には動物性の肉から摂る方が効果的です。

赤身の肉には葉酸ナイアシンなどのビタミンB群が足りないですが、これらが多く含まれている「レバー」を一緒に食べることでバランスが整います。

レバーにもタンパク質や鉄分、ビタミンB群が多く含まれているので、更年期のうつには効果的と言えるでしょう。

また、肉には動物性脂肪である飽和脂肪酸が豊富に含まれています。このような脂質は、体を動かすためのエネルギー源になったり、エストロゲンやプロゲステロンなど、女性に必要なホルモンなどの材料になったりします。

出来れば、良質な牛のステーキや焼き肉を毎日の食事に取り入れたり、レバニラ炒めを食べるなどして、これらの栄養を積極的に摂るようにしましょう。

他には、アサリやカツオの刺身、マグロの刺身などにもタンパク質や鉄分が多く含まれているのでオススメです。

大豆食品、ソイプロテインもオススメ

牛肉やレバー、赤身の魚に加えて、女性のタンパク源としてオススメなのが、大豆です。

大豆には大豆イソフラボンが含まれており、これが女性ホルモンのエストロゲンと構造がそっくり似ています。これが女性ホルモンと似た働きをすることでホルモンバランスを整えてくれると言われています。

例えば、「ホットフラッシュ」と呼ばれる更年期の症状や、頭痛、めまい、肩こり、抑うつ気分などの更年期障害は、エストロゲンの分泌不足が関係しています。こうした場合にも大豆イソフラボンを摂ると、エストロゲンの受容体にくっついて、エストロゲンの作用を強めてくれます。

つまり、大豆イソフラボンには、エストロゲンが足りない人にはその作用を強め、エストロゲンが過剰な人にはその作用を弱めてくれる、とてもマイルドな調整作用があるのです。

大豆イソフラボンは、構造がエストロゲンに似ていることから、女性ホルモンが関与しているがんの発症や再発のリスクをあげるという情報もありますが、そのようなことはありません。

大規模臨床試験でも、ホルモンの感受性に関わらず、大豆摂取が乳がんによる死亡と再発を抑制してくれることが分かっています。

ですので、タンパク質の補給は肉やレバーなどに加え、豆腐やおからなど、大豆食品も多く摂るようにしましょう。

更年期のうつ病に効く食事はある?更年期に特に摂りたい食べ物とは

以上が、更年期のうつの仕組みや原因、更年期のうつを改善する食事についてでした。

ここまでの流れをまとめると・・・

  • 更年期のうつは、主に更年期障害やPMS、PMDDが原因
  • 更年期障害やPMS、PMDDは質的栄養失調によって引き起こされる
  • 質的栄養失調とは、炭水化物やヘルシーな食事によって、タンパク質や脂質、ビタミンミネラルが不足してしまう状態の事
  • 特に女性は、月経や出産によって鉄分が不足し、これがうつやパニックの原因となる
  • コレステロールや脂質はホルモンの材料になる
  • タンパク質は脳の神経伝達物質の材料になる
  • 更年期のうつには、赤身の肉や赤身の魚、レバーがオススメ
  • 大豆食品は、女性ホルモンのバランスを整えてくれる

というような感じです。

今回は、更年期障害やPMS、PMDDがうつ病の主な原因としてあげていますが、更年期では子供の自立や女性としての節目、精神的要因や社会的要因が複合的に関係している場合もありますので、必ずしも質的栄養失調がうつの原因とは限りません。

この場合は、心理カウンセリングなどのメンタルからのアプローチも必要になる事がありますので、1人で悩まずに誰かに相談してみましょう。

もし、ヘルシーな食生活や炭水化物に偏った生活をしていたなら、更年期のうつは質的栄養失調が原因の可能性があります。

今回の記事を参考に、是非食生活を改めてみて下さい。また、レバーや肉をそんなに多く食べられない!というかたは、サプリメントで補うという手もあります。

その場合は、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのiHarbサプリを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。

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