昔に比べて、不登校の子供やうつ病の子供が増えていると言われています。文部科学省の調査によると、2017年度に不登校となった小中学生は前年度より1万人増え14万4千人、5年連続で増えて過去最多を更新しています。
かつては、怠け病や甘えなどと言われていたうつ病ですが、ケアすべき病気であるという認知が広まってきたことは歓迎すべき点ですね。
しかし、現在の一般的なうつ病の治療法は精神薬などの薬物療法しかなく、うつ病の原因についても原因不明とされているところがほとんどです。
近年では、うつ病の原因は栄養欠乏や質的栄養失調などが深く関係していることが分かってきました。また、未成年や児童への抗うつ剤投与は自殺率リスクを高めるなど、昔に比べて慎重な判断を必要とします。
このような中、子供のうつ病にはどのように対処したら良いのでしょうか? 今回は、子供のうつ病の原因と、精神薬投与による自殺率の増加の関係、食事から子供のうつを治す方法について詳しく解説します。
目次
子供のうつ病、その原因とは?
うつ病の原因は、脳の病気だと言われたり、心の風邪だと言われたり、怠け病などとも言われていますよね。
又は、大切な人やペットが無くなったときや、いじめや虐待を受けたときなど、大きなストレスがかかったときに発症すると言われています。
さらに、ピロリ菌や腸カンジタの感染などによっても、脳の神経伝達物質の分泌量が減ってしまい、うつ症状が現れることが分かっています。
このようなストレスや疾病などは、大人になるにつれてかかる確率が上がってくるため、うつ病と言えば成人した人がかかる病気というイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、最近では子供がうつ病を発症してしまう場合も多くなってきました。大人と比べてストレスが少なく、基本的に学業と遊びしかない子供が、なぜうつ病にかかってしまうのでしょうか。
その原因は、大きく分けて「質的栄養失調」と、中学受験や人間関係による「ストレス」が大きく関係しています。
中学受験、人間関係などのストレス
子供のうつ病として最も可能性が高いのが、ストレスによる疲弊です。子供は大人に比べてストレスがかかっていないような気がしますが、実際には大人以上にストレスを抱えてしまっている場合もあるのです。
まずは、子供に過大なストレスがかかっていないかをよく観察したり、話を聴いたりしてあげましょう。場合によっては、ストレスの原因を排除するだけでうつ病が治る場合もあります。
心療内科などでの薬物治療をする前に、まずは子供にかかっているストレスを無くしてあげる事が重要です。
子供のストレスの原因としては、学校の問題、家庭の問題、友達や兄弟などの人間関係、大きな失敗や挫折、過度な受験勉強などがあげられます。
特に、学校や家庭の問題で一番大きいのが、いじめや虐待などによる精神的、身体的苦痛とストレスです。
子供はいじめを受けていても、親に迷惑をかけまいとして黙っているパターンが多く、問題の発覚には難しい部分もあります。
もし、朝の登校時に「お腹が痛い」「気持ち悪い」などと言って学校を休みたがったら、無理をさせずに休ませてあげて、裏に問題が隠れていないかを調べて見て下さい。
また、中学受験などの過度な競争によるストレスでも、うつ症状になってしまう場合があります。
中学受験は高校受験や大学受験と違って専門学校や浪人という選択肢が無く、落ちたら後がありません。地元の中学にも行けないので、何が何でも合格しなければと思ってしまいます。
また、親の期待からくるプレッシャーや成績が思ったように上がらないストレス、中学受験しない友達との付き合い方等も大きなストレスになります。
このような人間関係や受験のストレスによって、大人以上にストレスがかかり、うつ病を発症してしまう場合があるのです。
食生活悪化や好き嫌いによる質的栄養失調
また、ストレスの原因が特に無い場合でもうつ病を発症してしまう場合があります。
朝起きるのが辛い、勉強の成績が悪い、夏休みの宿題が後回しになる、毎日ゲームやYouTube等の動画ばかり見ている、面倒くさがりでいつもダラダラしているなど、一見すると怠けているように見えるうつ病は、「質的栄養失調」を疑ってみて下さい。
質的栄養失調とは、普段の食生活でお腹いっぱいに食べていても、栄養の質的に栄養失調になってしまう事です。質的栄養失調になると、脳に必要な栄養が足りなくなってうつ症状等の病気が引き起こされてしまう事があります。
質的栄養失調になってしまう主な原因としては、炭水化物や甘い物に偏った食生活をしているパターンです。
白米やパン、うどんやラーメン、パスタや芋類などは全て炭水化物で、食べると体内で糖質に変わります。また、ジュースやお菓子などは大量の砂糖が使われています。
このような炭水化物や糖質を取り過ぎていると、血糖値を下げるために「インスリン」というホルモンが大量に分泌されます。
このインスリンは、脳の神経伝達物質と同じ材料で作られているため、糖質を摂れば摂るほど、脳の神経伝達物質が血糖値を下げるために消費されてしまうのです。
その結果、心の安定に必要なセロトニンややる気を出すドーパミン等が作られなくなり、うつ症状を発症してしまうのです。
これら脳の神経伝達物質やインスリンは、タンパク質やビタミン、ミネラル等で作られているため、好き嫌いを無くし、バランスの良い食生活を心がけることが重要です。
また、極度の亜鉛不足は子供の正常な発達を妨げ、発達障害や低身長、学力の低下を引き起こす場合があります。初潮を迎えた女児の場合では、生理によって鉄分とタンパク質が流れ出てしまい、これらの栄養を適切に補給しないと、うつ症状やパニック症状を引き起こすことがあります。
このように、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足することによって、うつ症状が引き起こされる事があります。
子供の質的栄養失調は親が原因の可能性も
子供の質的栄養失調は、主に子供の好き嫌いによって引き起こされることが多いですが、実は親の食生活がそのまま遺伝している場合があります。
例えば、親が嫌いな食べ物は基本的に食卓に出すことがありませんので、子供が口にすることはありません。また、子供がお腹に居るときから、親の偏食によって質的栄養失調の状態で生まれてきてしまっている場合もあるのです。
この場合、かなり高い確率で、親子揃って精神的不調が現れています。親の食生活が、そのまま子供に遺伝してしまっているのです。
このような親子揃って質的栄養失調になる食事は、健康に気を遣っている家庭でも起こりえます。
例えば、肉や脂質は動脈硬化をや癌を引き起こすとして、野菜中心の食生活にしていると、かなりの割合で亜鉛が不足します。亜鉛が不足すると子供に発達の遅れや低身長、味覚障害などが起こる場合があります。
亜鉛は赤身の肉やレバー、魚や牡蠣などに含まれていますが、野菜にはあまり多く含まれていません。ですので、健康に気を遣って野菜中心にしていても、質的栄養失調になってしまう場合があるのです。
このような、親の好き嫌いや間違った食生活によっても、子供の質的栄養失調やうつ症状の原因となるのです。
冬期うつ
子供のうつとして見分けが付きにくいのが、冬期うつと呼ばれているうつ症状です。
冬期うつとは、別名で季節性情動障害とも言われ、その名の通り冬になると気分が落ち込んだり、やる気が起きなくなったりする症状です。
冬期うつの場合は、自分の好きなことなら出来るため、一見すると怠けているように見え、うつ病と診断するには医者やカウンセラーでも難しい一面があります。
冬期うつの原因は、日照不足が関係していると言われ、冬の時期や梅雨時期などの日照量が少ない時期に多く見られます。また、家に引きこもりがちの子供は日に浴びる時間が少ないために、冬期うつになる可能性があります。
人体では、日光を浴びるとビタミンDを生成することが出来るのですが、日光が少なくなるとビタミンDが生成できず、うつ症状が発症してしまっていると考えられています。
ですので、基本的に冬期うつに対して抗うつ剤などの精神薬の投与はあまり効果を発揮しません。治療法としては、日光に当たってビタミンDを生成するか、食事から補給する、サプリメントで補うなどの方法があります。
ビタミンDを食べ物から補う場合は、キノコやちりめんじゃこ、青魚の内臓などに多く含まれているので、これらの食べ物を食べるのが効果的です。
あわせて、外に遊びに連れ出すなど、積極的に日光も浴びるようにしましょう。
子供に精神薬を投与すると、希死念慮や自殺の恐れ
前述のように、子供のうつ病にはストレスや質的栄養失調が深く関係しています。一般的にうつ症状が見られた場合は精神科や心療内科を受診するよう勧められていますが、安易な受診はオススメしません。
なぜなら、現在の精神治療はこれらの栄養欠乏や疾病などの検査を一際せず、単に症状を聞いて病気を診断し、抗うつ剤などの精神薬を投与されてしまうからです。
また、いじめなどの大きなストレスが原因の場合、そのような環境から脱してあげない限り、いくら精神薬を飲んでも治るわけがありません。精神科での治療は、他に手を尽くした最終手段と捉えておきましょう。
そして、どうしても未成年に精神薬を飲ませる場合は、自殺リスクについても留意するべきです。
日本うつ病学会の理事長、野村 総一郎氏は、未成年者への抗うつ剤投与の有効性と自殺率の関係性を次のように結論づけています。
近年開発された SSRI や SNRI などの新規抗うつ薬は大規模なプラセボ対照試験(PCT)が行われて効果と安全性が検証されているものが多い。SSRIやSNRIなど9つの新規抗うつ薬で実施された24の臨床試験のメタ解析の結果、未成年の大うつ病患者では、有効性の点でプラセボとの差が無く、しかも自殺企図・自殺念慮の出現の相対リスクは 1.66(1.02-2.68)であり、それぞれの薬剤での相対リスクも1を越えていた(Hammad ら、 2006)。
米国食品医薬品局(FDA)は、この現象はすべての抗うつ薬に共通する可能性が高いとして、抗うつ薬を未成年うつ病患者に投与する際にはリスクとベネフィットを評価することを警告(Black Box Warning)している。その後の解析データに基づき、 2007 年 5 月に 18~24 歳の若年成人において、すべての抗うつ薬が自殺のリスクを増加させることを追加した。
FDA 警告は、児童思春期のうつ病患者への抗うつ薬投与を禁忌としたものではない。あくまで、抗うつ薬を処方する際には、十分な情報提供とともに慎重な判断と治療が行われるべきであるという警告である。しかし、FDA の警告以降に米国ではこの年代の自殺死者数が増加している。また警告により抗うつ薬が控えられたり診断が見逃されたりする傾向が生まれている。FDA 警告の結果、児童思春期のうつ病の治療が消極的なものになり、結果として自殺志望者が増えたとすればゆゆしき問題であると、米国精神医学会雑誌では Editorial で指摘している(Pfeffer, CR, 2007)。
https://www.pmda.go.jp/files/000144232.pdfより引用
このように、未成年や児童への抗うつ薬投与は、慎重な判断と十分な検討が必要であると言われています。
うつ病は、亜鉛や鉄、ビタミンDやタンパク質などの栄養欠乏やストレスなどが大きく関係していることが多いため、これらの原因を放置したまま精神薬を飲ませると、更に症状が悪化しかねません。
治療方法を薬物療法だけに頼らず、適切な栄養補給やストレスケアなども同時に行うようにして下さい。
子供のうつ病を治す食事とは?
子供のうつ病は心の病として当人だけの問題と思われがちですが、栄養欠乏や質的栄養失調などの食生活や生活習慣は、親が作り出している場合がほとんどです。
いつも温かい食事を提供している母親の身としては、少しでも栄養面を改善して、子供のうつ病を何とかしてあげたいと思いますよね。
ここでは、子供に食べさせるとうつ病を引き起こす恐れのある食事に加え、分子整合栄養医学に基づくうつぬき食事術をご紹介します。
炭水化物、甘い物は控えめに
うつ病の原因は脳の神経伝達物質の一つである「セロトニン不足」などとも言われていますが、この脳の神経伝達物質の分泌と炭水化物や甘い物の摂取には深い関係があります。
私達の体では、炭水化物やスイーツなどの甘い物を食べると、それをエネルギーとして使うために血液中に溶け込み、全身に運ばれます。これを血糖値といいます。
この時、使い切れなかった糖分は、インスリンというホルモンの働きで脂肪に変換して貯えるのですが、あまりにも血糖値が高くなると、そのぶんだけインスリンを大量に分泌しなくてはなりません。
このインスリンは、脳の神経伝達物質とほとんど同じ栄養素で作られており、甘い物や炭水化物を摂れば摂るほど、セロトニンを作るはずの材料がインスリンの材料として使われてしまいます。
すると、心の安定に必要なセロトニンなど、脳の神経伝達物質の分泌量が減り、うつ症状などが引き起こされてしまうのです。
また、インスリンが大量に分泌されてしまうと、今度は逆に血糖値が下がりすぎてしまう「低血糖」状態に陥ってしまいます。
低血糖は意識障害を引き起こすなど、死に直結する深刻な事態ですので、体は防御反応として血糖値を上げるホルモンを分泌します。
この血糖値を上げるホルモンには、イライラしたり冷や汗をかくなど、興奮作用があるので、ますます心身のバランスが乱れてしまいます。
このように、炭水化物や甘い物は心身の健康を害しますので、極力控えるようにしましょう。特に、精製した小麦製品や白米、砂糖は御法度です。
主食は精製されていない物を選ぶ
このような血糖値の乱高下のことを、血糖コントロール障害と言いますが、食べ物によって血糖値の波を穏やかにする事が出来ます。
それが、精製されていない小麦や玄米を食べることです。
精製されている白米や小麦などは、そのほとんどがデンプン質であり、炭水化物です。砂糖のように甘くないですが、食べると体内でブドウ糖に変換されます。
白米など精製された物は、ブドウ糖に変換される速度が未精製の玄米などと比べて圧倒的に早く、急激な血糖値の上昇を招いてしまうのです。
ですので、主食として米やパンなどを食べている場合は、精製していない玄米やふすまパンなどに変えましょう。
ラーメンやパスタ、うどんなどは、大豆が使われている低糖質麺にすることで糖質を抑えることが出来ます。
他にも、煮物などで砂糖を使っているなら、血糖値に影響を与えない「ラカント」に変えるなどしましょう。
見直すべき炭水化物、糖質
- 白米を玄米や雑穀米に変える
- 食パンや菓子パンを、胚芽パンやふすまパンなどの精製されていない物に変える
- ラーメンやうどん、パスタなどの麺類は低糖質麺に変える
- 砂糖は血糖値に影響を与えない「ラカント」に変える
- ジャガイモや人参、サツマイモなども炭水化物。なるべく控える
- お菓子やジュースは御法度。うつが良くなるまでは極力控える
食べる順番にも気をつけて!
精製されていない米や小麦は、確かに血糖値の急上昇を抑えてくれますが、食事の一番最初に食べてしまうと、やはり血糖値の急上昇を引き起こす可能性があります。
ですので、玄米や胚芽パンなど、主食は一番最後に食べるようにしましょう。
まずは、サラダなどの食物繊維やスープなどを食べ、次にメインとなるおかずを食べます。そして、最後に玄米やパンなどの主食を食べるようにすることで、 血糖値の急上昇を抑えることが出来ます。
お子さんが米から食べるクセがある場合は、是非このような順番になるように食事の配膳をしてみて下さい。いっぺんに食卓に出さず、ホテルのディナーのように一品ずつ出すのがオススメです。
このような毎日の心がけ一つで、血糖コントロール障害やうつ症状はだいぶ改善出来ます。お子さんのうつを治すためにも、愛情込めて続けてみて下さい。
タンパク質はたっぷりで
あまり知られていませんが、脳の神経伝達物質は、タンパク質を分解してできたアミノ酸を元に作られています。
肉を食べると太るとか、動脈硬化やガンなどになるなど、不健康を引き起こす原因と思われがちですが、実際にはそんなことはありません。タンパク質は、私達の体には無くてはならない栄養素です。
タンパク質が不足すると、脳の神経伝達物質の分泌が減ってしまったり、爪が割れたり、髪の毛が抜けたりと、様々な不調が現れます。
また、筋肉が減ってしまうことで、関節痛を引き起こしたり、ホルモンバランスが乱れて生理不順などを引き起こしたりする原因にもなります。
このようなタンパク質不足が、うつ症状や原因不明の不定愁訴(ふていしゅうそ)に繋がってしまうのです。ですので、肉や魚などのタンパク質は多めに摂取するようにしましょう。
タンパク質は、牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類と、大豆や卵、魚などから摂取する事が出来ます。毎日一品は、肉料理や魚料理などを作るようにして下さい。
うつヌケにオススメのタンパク源
オススメは、牛モモ肉のステーキやレバー、マグロやカツオなどの刺身です。これらには、ビタミンB群や鉄、亜鉛などのミネラルが多く含まれています。
タンパク質を分解したアミノ酸から、各種脳の神経伝達物質やホルモンなどに合成する際には、アミノ酸に加えてビタミンB群やミネラルが必要です。
タンパク質を摂取するときは、これらの栄養素が含まれている物を選ぶようにしましょう。
オススメのメニュー
- 牛モモ肉のステーキ
- レバニラ炒め
- マグロの赤身、カツオの赤身を刺身で
- ゆで卵、卵焼きなど(卵は一日に何個食べてもOK)
- 赤身の豚肉をつかったトンカツ
- 焼き鳥、チキンステーキ
- もつ鍋、ホルモン焼
- サンマ、アジ、サバの刺身、焼いた物
- 豆腐、おからのサラダ
- 卵を使った茶碗蒸し
- 納豆
- ハンバーグ
野菜と発酵食品で腸活も効果的
うつ病は脳の病気と思われがちですが、腸内環境も関係しています。腸内環境が悪くなると、それが脳にも影響し、うつ症状やイライラなど、様々な不調を引き起こしてしまうのです。
このような脳と腸の関係を、「脳腸相間」と言います。
例えば、大勢の前に立って緊張すると胃が痛くなったり、お腹が痛くなったりしますよね。これは脳から受けたストレスが腸にも影響しているのですが、逆に胃の痛みやお腹の痛みが脳にも影響し、ストレスを与えてしまいます。
ですので、脳の状態を整えたいときは、腸の状態も整えなければならないのです。
腸の健康状態は、腸内細菌の状態でほとんど決まってしまいます。いい菌が多ければ腸が健康になり、悪い菌が多ければ便秘や下痢になって腸の状態が悪くなります。つまり、腸の健康を整えたいときは、いい菌を取り入れることがオススメです。
腸内細菌と言えばビフィズス菌や乳酸菌が含まれているヨーグルトを思い浮かべますが、ヨーグルトは余りオススメできません。
ヨーグルトに含まれている動物性の乳酸菌は、人間が快適な環境で培養しているので、胃酸や胆汁酸に弱く、腸に届く前に死んでしまうからです。
逆に、ぬか漬けや野沢菜、キムチなどの発酵食品に含まれている植物性の乳酸菌は、低温や雑菌が繁殖する厳しい環境下で繁殖します。
日夜悪い菌と戦って生存競争を繰り広げているので、胃酸や胆汁酸に強く、腸にも生きて届くのです。
なので、腸の状態を整えるときは植物性の乳酸菌を摂ることがオススメです。植物性の乳酸菌は味噌やキムチなどに含まれていますが、スーパーで売っている物は発酵を止めるために殺菌されている物がほとんどです。
このような食品からは良質な乳酸菌が摂取出来ないので、ぬか漬けなどを自家製で作るようにしましょう。
出来る人は、味噌やキムチ、野沢菜などを自家製で作って頂いても構いません。是非、毎日の食品に一品、必ず発酵食品を取り入れましょう。
うつヌケにオススメの発酵食品
- ぬか漬け
- 味噌(加熱していない物)
- キムチ
- 野沢菜
乳酸菌やビフィズス菌の他にも、これらいい菌の餌になる食物繊維も重要です。発酵食品に加えて、次のような食物繊維も多く摂るようにしましょう。
発酵食品と食物繊維はセットで食べる!
- ゴボウサラダ
- レタス、キャベツのサラダ
- ワカメなどの海藻サラダ
- おしゃぶり昆布
- ポップコーン
- 寒天
- ところてん
- キノコ類
牡蠣鍋で亜鉛の補給を
偏食のあるお子さんの場合、亜鉛は最も不足しがちな栄養素です。亜鉛が不足すると、インスリンの効きが悪くなって血糖コントロール障害が起きたり、脳の神経伝達物質の分泌が悪くなってうつ症状を引き起こします。
また、亜鉛不足は子供の正常な発達を妨げます。低身長や学力の低下、味覚障害などを引き起こす原因となりますので、是非とも積極的に食べさせるようにして下さい。
前述した牛のモモ肉など、赤身の肉にも亜鉛が含まれていますが、その含有量は多くありません。十分に補給するためには、もっと多く含まれている食品を食べる必要があります。
そこでオススメなのが、亜鉛が多く含まれている牡蠣です。
牡蠣は「海のミルク」とも言われるように、豊富なタンパク質やビタミン、ミネラルが含まれています。その代表が、亜鉛です。
亜鉛をサプリメントで摂取するという手もありますが、亜鉛を有効利用するためにはタンパク質が必要です。タンパク質やビタミン、ミネラルがバランス良く含まれている牡蠣は、お子さんの健康を保つ上でまさにうってつけでしょう。
牡蠣を食べることが目的なので、生牡蠣でも牡蠣フライでも構いませんが、手軽に出来て食物繊維などの野菜やキノコ類も同時に食べられる鍋がオススメです。
鍋であれば、食材を切って煮るだけなので手間がかかりません。また、好きな量、好きな物だけ食べられるので、うつで食欲の無い子供でも無理せず食べることが出来ます。
現在では鍋つゆも様々な種類が販売されており、キムチ鍋や豆乳鍋など色々な種類があります。ローテーションして食べれば飽きがくることも少ないと思いますので、ぜひ色々試してみて下さい。
鉄玉で鉄分の補給を
初潮が始まった女児の場合は、毎月月経で血液と共に鉄分が流れ出てしまいます。鉄分は脳の神経伝達物質の合成に必要なため、足りなくなってしまうとうつ症状やパニック症状を引き起こしてしまうのです。
ですので、鉄分はしっかりと補給するようにしましょう。
昔は南部鉄器の鍋や急須などを使っていたため、知らず知らずのうちに料理に鉄分が溶け出して補給出来ていましたが、現在はホーロー加工されたフライパンやステンレス製の鍋が一般的になり、鉄分が溶け出さなくなりました。
おまけに、普段の食生活は炭水化物や加工品、インスタントが多く、鉄分の補給もほとんどできていません。日頃から十分な量の鉄分を補給するには、サプリメントや鉄玉を使うのがオススメです。
鉄玉はその名の通り鉄の塊で、これを味噌汁などの料理を作る際に入れておくと、鉄玉から鉄分が溶け出します。普段の料理やぬか床などに入れておくと、これだけで鉄分が補給出来るので簡単です。
逆に、サプリメントなどで鉄分を補給する際は、年齢や体格、欠乏量によって摂取する量を調節しなくてはなりません。これをせずに闇雲に鉄サプリを飲ませていると、過剰摂取によって別の弊害が引き起こされる可能性があります。
鉄玉で補給する際は特に過剰摂取の心配が無いので、小さいお子さんにも安心して使うことが出来ます。是非、普段の料理には鉄玉を使って、鉄分を十分に補給出来るようにしてあげて下さい。
子供のうつ病、どう対処する? 精神薬投与による自殺率増加と、食事療法の重要性まとめ
以上が、子供のうつ病の原因と、未成編者への精神薬投与の危険性、食事からうつを治す方法でした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- 子供のうつ病は、栄養欠乏や質的栄養失調、ストレスが深く関係している
- 未成年者への精神薬投与は、自殺率を増加させるリスクがある
- 子供の質的栄養失調は、親の食生活が原因の場合もある
- 炭水化物、甘い物のあげすぎはうつ病の原因になる
- タンパク質が不足すると、うつ病を引き起こすことがある
- 亜鉛が不足すると、学力低下や低身長、味覚障害を引き起こす
- うつ症状には腸内環境を整えることも重要
- 鉄玉を使って効率よく鉄分を補給するのがオススメ
という感じです。
子供のうつ病は、放置したりいい加減な治療をしていると、かえってこじれてしまって悪化しかねません。
特に思春期に人間関係のこじれやトラウマなどが植え付けられてしまうと、大人になった後も引きずってしまって社会生活に支障が出てしまう場合があります。
また、一度ひきこもり癖や負け癖が付いてしまうと、それを改善させるのは容易ではありません。
ですので、子供のうつ病は早急な対処と適切な治療が重要です。まずは、日本全国にあるオーソモレキュラー療法対応のクリニックで、栄養欠乏や疾病が隠れていないかを血液検査で調べて貰うことをオススメします。
場合によっては、食事からの栄養補給が難しく、サプリメントなどを用いた治療や点滴をすることもあります。医師やカウンセラーと相談して、適切な治療を受けさせてあげて下さい。