「魚を食べると頭が良くなる」と言うような話を聞いたことがありませんか?
魚には、DHA・EPAが多く含まれています。このDHA・EPAが頭に良いなら、うつにも効果があるのかもしれない、と思いますよね。
今回は、このDHA・EPAがそもそもどのような成分なのかについてや、DHA・EPAの不足とうつ病の関係性、DHA・EPAを摂取すればうつ病が治るのかについて、詳しく解説します。
目次
DHA・EPAってそもそも何?
DHA・EPAとは、魚に多く含まれている油のことです。
油には、動物に含まれている脂や、植物に含まれている油など、様々な油があります。
その中でも、魚油などに多く含まれているDHAやEPA、エゴマ油・アマニ油・ナッツ類に含まれているα-リノレン酸はオメガ3系脂肪酸と呼ばれています。
これらオメガ3系脂肪酸は、炎症を抑えてくれる働きがあります。
また、これと対をなすのがオメガ6系脂肪酸です。
オメガ6系脂肪酸とは、米油、サラダ油、ベニバナ油、大豆油、コーン油などに多く含まれているリノール酸が多い油です。
こちらのオメガ6系脂肪酸は、逆に炎症を促進してしまう働きがあります。
これら2つの油は必須脂肪酸とよばれ、体内では作り出すことが出来ない油です。
一見、これら2つの油はうつと関係ないように見えますが、DHA・EPAとうつの関係を理解するためには、非常に重要になってきます。
なぜなら、細胞に取り込まれる部位がどちらも同じなので、オメガ6系脂肪酸であるリノール酸を取り過ぎることによって、脳の慢性炎症の原因になってしまうからです。
この炎症が脳に影響を与え、うつ症状が発生するのでは無いかと言われています。ですので、DHAやEPAを積極的に摂取し、炎症を抑えることはうつ症状の改善に繋がると言えるのです。
脳を構成している成分は、ほとんどが脂質とタンパク質
DHA・EPAがうつとどう関係しているのかを解説する前に、脳を構成している成分を理解しておきましょう。
私達の脳を構成している成分は、脂質が約60%、タンパク質が約40%です。
この脂質の内訳は、コレステロールが約50%、リン脂質が約25%、ドコサヘキサエン酸(DHA)が約25%となっています。
このように、脳のほとんどは「脂質」で構成されていることが分かります。その中でも、DHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸が多く含まれていますね。
また、悪者扱いされやすいコレステロールですが、神経細胞を守るのに重要な役割を担っています。
脳機能の回復、維持をするには、良質な「脂質」の摂取が非常に重要になってくるのです。
DHA・EPAの不足とうつの関係性とは
DHAとEPAが脳と非常に関係が深いことを理解した上で、DHAとEPAの不足とうつの関係を見てみましょう。
産後うつはDHA・EPAの欠乏が原因の1つ
産後うつとは、出産後に不安感が強まりイライラしたり、パニックになったり、些細なことで人や物に当たるような症状のことです。特に高齢出産の場合は、更年期障害も相まって、深刻な精神症状を引き起こします。
産後うつの原因は、妊娠、出産は胎児の発育のために様々な栄養素が使われるため、精神症状がでやすくなります。特に、タンパク質、ビタミン、カルシウムなどのミネラルが大量に使われるほか、鉄分も足りなくなります。
特に、オメガ3脂肪酸が(DHA・EPA)が不足すると、様々な精神症状が現れます。産後うつの原因の1つがオメガ3脂肪酸の減少です。
母乳には沢山の脂肪分とDHAが含まれており、授乳すると沢山のDHAが体の外に出てしまいます。適切に補給しないと、お母さんの体内ではDHAが不足します。
脳の約60%は脂質で出来ており、この脂質のうち25%がオメガ3系脂肪酸の1つであるDHAです。このDHAが不足すると、様々な精神症状が現れます。
このように、妊娠、出産によって脳に必要な栄養素が不足することで、うつ症状が起こってしまうのです。
脳の慢性炎症
最近になって、脳の炎症がうつを引き起こすのではないかという説が言われるようになりました。
慢性的なストレスに限らず、マイルドなストレスがかかったときにも、炎症性の物質やコルチコステロンという副腎皮質ホルモンが分泌されます。
これが脳の海馬の神経細胞に急性的に影響を与えてしまい、抑うつ状態を作ることがマウスの実験で明らかになりました。
このように、学校や職場などで慢性的なストレスを受け続けると、うつを招いてしまう恐れがあります。
そのほか、糖尿病やメタボリックシンドロームなどで内臓脂肪が蓄積していると、この内臓脂肪で炎症がすすみます。また、血糖値が高い状態が続くと「糖化」が進み、酸化ストレスが増えて炎症が進みます。
また、詳しくは後述しますが、サラダ油や大豆油などのオメガ6系脂肪酸の取り過ぎによって炎症が促進し、脳の慢性炎症に繋がっている可能性があります。
本来であれば、DHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸の働きによって炎症を抑えられるはずが、DHA・EPAが不足していることによって炎症が抑えられなくなってしまっている場合も考えられます。
このような炎症がうつにつながるメカニズムは分かっていませんが、様々な脳のトラブルを引き起こしているのではないかという説があります。
DHA・EPAを摂ればうつが治る?
DHA・EPAが不足してしまうと、うつが発症してしまうなど非常に非常に深い関係があることが分かって頂けたかと思います。
では、DHA・EPAを十分に摂取したら、うつ症状は治るのか? が気になりますよね。
国立がん研究センターなどが、実際に以下のような研究結果を発表しています。
魚を食べるとうつ病リスクが低減
魚介を多く食べる人は、そうでない人と比べて、うつ病の発症率がおよそ半分に減ることが、国立がん研究センターや慶応大学などの調査で分かりました。青魚に多く含まれる「n-3系脂肪酸」による予防効果が考えられるとされています。
魚介類を1日111g食べるグループでうつ病のリスクが低下
1,181人のうち、95人が精神科医によってうつ病と診断されました。今回の研究では、対象者をアンケート調査結果から算出した魚介類(さけ・ます、かつお・まぐろ、あじ・いわし、しらす、タラコといった魚卵、ウナギ、イカ、タコ、エビ、アサリ・シジミといった貝類、かまぼこといった加工食品、干物、など19質問項目を使用)と、n-3系脂肪酸の摂取量で4つのグループに分け、最も摂取量が少ないグループに比べた時の、その他のグループでのうつ病のリスクを調べました。その結果、1日に57g(中央値)魚介類を食べるグループと比較して、1日に111g(中央値)魚介類を食べるグループでうつ病リスクの低下がみられました。同様にn-3系脂肪酸摂取とうつ病との関連では、エイコサペンタエン酸(EPA)を1日に200mg(中央値)摂取するグループと比較して、1日307mg(中央値)摂取するグループ、また、ドコサペンタエン酸(DPA)を1日に67mg(中央値)摂取するグループと比較して、1日123mg(中央値)摂取するグループでうつ病リスクの低下がみられました(図)。他のn-3系脂肪酸とうつ病との明らかな関連は見られませんでした。魚介類およびドコサペンタエン酸(DPA)とうつ病の関連は、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、うつ病の既往で統計学的に調整しても変化はありませんでした。
今回の検討から魚介類・n-3系脂肪酸摂取とうつ病には、とればとるほどリスクが下がる、というような関連ではなく、ある量でリスクが下がり、それ以上とると影響がみられなくなることが示されました。中年期の魚介類・n-3系脂肪酸摂取が精神科医による高齢期のうつ病診断と関連していたというのは世界初の結果であり、魚摂取と精神科医による診断ではないうつ病との関連をまとめたメタアナリシスの結果を支持するものでした。ある量以上をとると影響が見られなくなる理由は不明ですが、魚介類摂取量が多い人は野菜摂取量が多く、また、炒めて調理している傾向が強いことも報告されていることから、n-6系不飽和脂肪酸(サラダ油に含まれ、炎症を惹起する)の摂取量が増えたことで、n-3系脂肪酸の予防的効果が打ち消されたのかもしれません。
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/7983.html
このように、魚に含まれている油の一種である、DHA・EPAがうつ症状と何らかの関係性がある事が分かっています。
この中でも、DHA・EPAなどのオメガ3脂肪酸は、摂れば摂るほどうつ病リスクが下がるという関連では無いこと、サラダ油などのオメガ6系脂肪酸の摂取量が増えることで、オメガ3脂肪酸の予防的効果が打ち消されるという記述があります。
と言うことは、DHA・EPAが不足しているからと言って補給すれば良いという単純な話では無い事が分かって頂けるかと思います。
分子整合栄養医学の観点でも、魚油に含まれているオメガ3系脂肪酸と、サラダ油に含まれているオメガ6系脂肪酸のバランスが、うつ症状の改善に関係しているとされています。
つまり、DHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸を積極的に摂取すると共に、サラダ油などのオメガ6系脂肪酸を積極的に排除していかなければ、ほとんど効果がなくなってしまうのです。
この、オメガ6系脂肪酸であるリノール酸が、なぜDHA・EPAの作用を打ち消してしまうのか? 取り過ぎると、なぜ炎症の原因になってしまうかを、次の項で詳しく説明しますね。
リノール酸の取り過ぎは、脳の慢性炎症の原因となる
サラダ油や大豆油に含まれているリノール酸は、オメガ6系脂肪酸と言われ、摂取すると生体内のさまざまな生理活動を調節したり、影響を与えたり、活性化したりするホルモンや神経伝達物質に変換されます。
その主な利用法が、体内でのエネルギー源と、炎症促進作用、炎症抑制作用です。
リノール酸(オメガ6系脂肪酸)の取り過ぎによって、炎症抑制作用よりも炎症促進作用が強まってしまうと、慢性炎症の原因となるのです。
多価不飽和脂肪酸の、ω-6系とω-3系のバランスが乱れることが、アレルギーなどの炎症性疾患を促進していると考えられています。ω-3系の不飽和脂肪酸が、炎症を直接抑制することもわかってきました。
アブラ(脂肪酸)のうち、多価不飽和脂肪酸はヒトの身体の細胞膜の構成成分です。状況によって細胞膜から切り離され、炎症を起こしたり静めたりする生理活性物質(エイコサノイド)になります。
炎症は、皮膚で起きれば皮膚炎に、血管で起きれば動脈硬化等の原因になります。
現代の日本人は、ω-6系のリノール酸を非常に多く摂取していると言われています。ω-3系の脂肪酸を積極的に摂取してバランスを良くし、炎症を抑制しましょう。また、EPAには中性脂肪などの脂質代謝を改善する働きが、DHAには脳機能を改善する働きがあります。EPAとDHAは協力して働くので、一緒に摂ることが望ましいと言えます。
図のように、リノール酸は炎症促進作用があるアラキドン酸に多く変換されてしまいます。
炎症反応自体は、体にとって必要な反応なので避けることは出来ません。風邪を引いたり怪我をしたときなど、炎症を起こして体を守ります。必要なときに炎症反応を起こせないと、免疫力が落ちてしまって命を落としかねません。
問題なのは、炎症を起こした後に、速やかに炎症を抑える働きを引き出せないことです。アトピーやリウマチなど、慢性的に痛みや肌荒れが治らないのは、この炎症を抑える働きが弱まってしまっているからです。
ですので、慢性的な炎症があったり、うつ症状などで脳に炎症があるような場合は、オメガ6系脂肪酸(米油、サラダ油、ベニバナ油、大豆油、コーン油)の摂取は控えていくことが望ましいと言えます。
そして、この炎症を抑えるためには、炎症抑制作用のあるオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが重要になります。
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸のバランスが重要!
リノール酸は、炎症を引き起こす作用があるとして、避けるべきと解説しましたが、だからといって、魚ばかり食べてDHA・EPAだけを摂ると、逆にこれらの働きが鈍くなってしまうことが分かっています。
この2つの脂肪酸は、必須脂肪酸なのでどちらかを排除することは出来ません。そして、細胞膜に取り込まれる部位が同じなので、同じ場所の取り合いをしています。
食事から摂取した比率が、そのまま体内の脂肪酸比率になってしまうため、意識的にオメガ3系脂肪酸を摂る必要があります。そして、意識的にオメガ6系脂肪酸を避けることも重要です。
ですので、炎症を抑えるためには、この2つの油のバランスを変えてあげることがポイントです。
このバランスは、SMP比と呼ばれる、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸を3:4:3で摂取することが理想と言われています。
飽和脂肪酸は、主にバターや肉などの動物性脂質の事です。一価不飽和脂肪酸は、ひまわり油、サフラワー油、オリーブオイルなどに多く含まれているオレイン酸です。多価不飽和脂肪酸は、この記事で何度もお伝えしている魚油や米油、サラダ油、ベニバナ油、大豆油、コーン油などです。
DHA・EPAだけを補給するのでは無く、色々な食べ物から栄養を摂取することがうつ病の改善に最も効果的と言えるでしょう。
これを前提に考えると、DHA・EPAの摂取量は、朝食にサバ缶一個を食べるか、夜に刺身や焼き魚などを食べる程度で良いと思います。足りない分はサプリメントで補うのがいいでしょう。
後は、唐揚げなどの揚げ物を多く食べた日は、DHA・EPAのサプリメントをいつもより多めに飲むなどして、バランスを整えてあげれば十分です。
オススメDHA・EPAサプリ
これまでの流れでは、DHA・EPAの不足から起きるうつ病との関連性と、DHA・EPAの過剰摂取によって疾病が治る訳では無いことをお話ししてきました。
DHA・EPAの摂取は、他の脂質とのバランスが非常に重要です。
現代人は、炎症促進作用があるオメガ6系脂肪酸を取り過ぎる傾向にあるので、意識的にDHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸を摂取する必要があります。
ですが、魚を毎日大量に食べるのは飽きてしまって続かないですよね。
魚を食べるのは食費がかさみますので、家計も圧迫してしまいます。
そこで、足りない分はサプリメントで補うことをオススメしています。
サプリメントであれば、揚げ物やお菓子を多く食べた後に手軽にDHA・EPAを補給することが出来ますし、味わわずに飲み込むので飽きが来ることはありません。
うまく利用することで、健康維持に役立てることが出来ます。
うつぬきやでは、以下のようなサプリメントをオススメしています。
Omega 800
Omega800は、医療用グレードのDHA・EPA、オメガ3系脂肪酸を合計800mgも配合した高容量サプリメントです。
ドイツで加工されたKD-PÜR® IFOS™5つ星評価のフィッシュオイル濃縮液を独占使用し、他のDHA・EPAサプリと比べて、DHAの含有量が高いのが特徴です。
深刻なDHA・EPA不足が疑われる場合は、こちらのサプリメントで補給するのがオススメです。
含有量
エイコサペンタエン酸(EPとしてのTG) 480 mg
ドコサヘキサエン酸(TGとしてのDHA) 320 mg
うつぬきやがオススメしているサプリは、アメリカのiHarbという販売サイトになります。
iharbでの購入の仕方は、うつぬきサプリはどうやって買えばいい? iHarbの購入方法を徹底解説!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。(安全なサイトです)
Omega3
Omega3は、厳格な品質管理基準で製造された、高品質なフィッシュオイルです。天然の濃縮フィッシュオイルを使用し、一粒でDHAが240mg、EPAが360mg摂取することが出来ます。
日常的にオメガ3系脂肪酸をサプリメントで摂取したい方にオススメです。
使用している濃縮フィッシュオイルは、水銀、重金属、PCB、ダイオキシンやその他の有害物質が無いことが検査で確認されています。
この他、腸溶性の特殊コーティングにより、独特の魚臭さが抑えられています。これによって、フィッシュオイルで吐き気や悪心を起こしたことがある方でも安心して飲む事が出来ます。
含有量
エイコサペンタエン酸(EPA) 360 mg
ドコサヘキサエン酸(DHA) 240 mg
うつぬきやがオススメしているサプリは、アメリカのiHarbという販売サイトになります。
iharbでの購入の仕方は、うつぬきサプリはどうやって買えばいい? iHarbの購入方法を徹底解説!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。(安全なサイトです)
DHA・EPAサプリはうつに効果ある? まとめ!
以上が、DHA・EPAとうつの関係性と、オススメのサプリでした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- DHA・EPAは魚に多く含まれている油
- 産後うつはDHA・EPAの不足が原因
- 魚を食べることによってうつの予防効果がある
- DHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸は炎症を抑える働きがある
- 大豆油や米油などのオメガ6系脂肪酸は炎症促進作用がある
- オメガ6系脂肪酸の取り過ぎは脳の慢性炎症を引き起こす
- 脳の慢性炎症を抑えるには、この2つの油のバランスが重要!
- 意識的にオメガ6系脂肪酸を排除し、積極的にオメガ3系脂肪酸を摂取しよう!
というような感じです。
国立がん研究センターの研究結果にもあるように、うつとDHA・EPAの関係は、とればとるほどリスクが下がる、というような関連ではなく、ある量でリスクが下がり、それ以上とると影響がみられなくなることが示されています。
ですので、あなたのうつの原因がDHAやEPAの不足もしくは、リノール酸の取り過ぎによる慢性炎症で無ければ、むやみやたらにサプリメントを飲む必要はありません。
もし、日頃から魚を食べる習慣があるのであれば、DHAやEPA不足によるうつの可能性は低いと言えるでしょう。
また、DHA・EPAのサプリメントを飲んだからと言って、サラダ油などのオメガ6系脂肪酸の摂取量を減らさなければ、その効果は打ち消されてしまいます。
ですので、サプリメントの摂取と同時に、外食や揚げ物を減らすなどの食生活の改善も必要です。
うつを克服するには、1つの栄養素を重点的に摂るよりも、食生活や栄養面の改善が欠かせません。詳しくは、この下にある「うつぬき完全攻略マニュアル」に書いてありますので、よろしければ参考にしてみて下さい。