GABAは、安眠やリラックス効果があるとして近年注目されるようになってきました。
最近では、GABAが配合されているチョコレートなどが売られるようになりましたね。
ここで疑問に思うのが、リラックス効果や安眠効果があるなら、「うつに効果あるのか?」ということですよね。
もし、GABAのサプリを飲む事でうつ症状や不安症状、不眠を和らげてくれるなら、精神薬をあまり使わずに治療することが出来ます。
今回は、このGABAについてと、GABAとうつの関係、オススメのサプリをご紹介します。
目次
GABAってなに?
「GABA(ギャバ)」の正式名称は「γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)」で、頭文字を取って、一般的に“GABA(ギャバ)”と略称されています。私たち人間の体内にも存在するアミノ酸(タンパク質)の一種で、トマトなどの野菜や玄米などにも多く含まれています。
GABAは、脳内では抑制系に働く大部分を担う神経伝達物質で、興奮を静めたりリラックスをもたらす役割を果たしています。
GABAのサプリを飲んだら不安感やうつ、不眠は和らぐ?
GABAの直接摂取に関しては諸説ありますので、ここでは分子整合栄養医学に基づく見解で解説していきます。
GABAはストレスを緩和したり、リラックス効果があるとされているので、GABAをサプリで摂取したらうつ症状や不安症状が和らぐのでは? と思う方も多いと思います。
ですが、結論から言ってしまうと、GABAをサプリや食品から摂取しても血液脳関門を通り抜けられないので、神経伝達物質としては作用しません。脳内で働く神経伝達物質は脳内で作られます。
血液脳関門とはフィルターのようなもので、脳に影響を与える物質が入らないように防御する仕組みです。
もし、摂取したGABAが脳に直接作用してしまったら、自律神経が乱れてしまって死に至る危険性があります。
GABAの働きが強すぎると、心拍数や血圧などを上昇させるドーパミンやノルアドレナリンなどの交感神経の働きが弱まってしまい、意識を失ってしまう可能性があります。
このため、GABAなどをサプリや食品で摂取しても、直接脳に影響を与えません。ですので、うつや不安感などには一切効果が無いと言えるでしょう。
しかし、最近ではGABAを摂取することで、寝付きや安眠など、睡眠の質に深く関わっていると言うことが研究結果で分かっています。
GABAストレス研究センターは、日常的なストレスを軽減し、脳を落ち着いた状態にする効果があるGABA(γ-アミノ酪酸)の人体に対する効果の検証の一貫として、日中に摂取したGABAが同日夜の睡眠にどう影響を与えるか新たな実験を行いました。
その結果、就寝前に限らず、昼間に一度ストレスをリセットすることで通常より早く、深い眠りが得られることが判明。これにより、新しい商品への使用などが加速されることが期待されます。
この詳しいメカニズムは分かっていませんが、少なくともGABAのサプリを摂取することで、「睡眠の質は改善できそう」ということです。
睡眠不足はうつとセットとされ、不眠からうつ症状が発症してしまう方もいます。
このような方には、睡眠の質を向上させる目的としてGABAのサプリを摂取するのもありだと思います。
うつぬきコンサルティングの例では、「睡眠薬を飲んでいても眠れない」という方にGABAのサプリを摂って貰うことがあります。これは僕の実体験からオススメしているもので、人によって差があるかもしれません。
睡眠薬の中には、GABAの働きを促して脳の活動を休ませて眠りへと導く「GABA受容体作動薬」などがあります。
不眠で悩む方は、これらを合わせて3~4錠も多剤併用しているにも関わらず、眠れないというのです。
本来は主治医に相談すべき事ですが、恐らく主治医に相談しても薬を増やされるだけで何の解決にもならい場合が多いでしょう。
質的な栄養失調の観点から考えると、もはや薬でもGABAをひねり出せないほど栄養が枯渇している状態と考えられ、このような方にはGABAをピンポイントで摂取してもらうようアドバイスすることがあります。
GABA単品を摂取するというのはオーソモレキュラー療法の考え方ではないのですが、眠れないというのは辛く苦しい状態で、睡眠の質は健康そのものに関わってきます。栄養状態が改善するまでこの状態を耐えるのは酷ですので、改善できる可能性があるなら行っていきましょう。
まずは、ある程度の栄養が改善するまでは昼または寝る前にGABAのサプリを補給するなどして睡眠の改善を図り、睡眠が取れるようになってきたらプロテインなどの食事からGABAを体内で合成できるように努めてください。GABAが多く含まれているキムチなどを夕食に摂取するのも効果的です。
GABAの分泌とうつの関係
前述したとおり、GABAはサプリや食べ物で直接摂取しても、血液脳関門を通り抜けられないので脳に直接作用することはありません。
では、脳内ではどのようにGABAを作り出しているのでしょうか。
この脳内の神経伝達物質の作られ方を理解することで、うつ病克服を10倍はやめることが出来ます。
まず理解して欲しいのは、脳の神経伝達物質は「タンパク質から作られる」ということです。
下図は、タンパク質が分解されてアミノ酸になるまでと、アミノ酸から脳の神経伝達物質に合成されるまでの過程を表したものです。
まず、タンパク質を摂取すると体内で何種類ものアミノ酸に分解されます。
この中でも、脳神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。
このアミノ酸は、ビタミンやミネラルを元に、神経伝達物質である「ドーパミン」や「セロトニン」、「GABA」に合成され、消費されていきます。
表では、下に向かっていくごとにアミノ酸から様々な神経伝達物質に合成されています。項目の間に書かれているものが、合成に必要な栄養素です。
表の中で特に注目して欲しいのが、左側にある「L-グルタミン酸」から「GABA」への合成です。グルタミン酸は興奮系の神経伝達物質として働きますが、分泌量が多くなるとビタミンB6等を利用して抑制系のGABAへと変換されます。
こうやって脳内の神経伝達物質はバランスを取っているのですが、ビタミンB6が足りないと上手く変換できなくなり、GABAが不足してしまいます。これが自律神経が乱れる原因となり、しいてはうつ症状がおこるのです。
ですので、脳内のGABAを正常に分泌させるには、GABAをサプリなどで直接摂取するのでは無く、「グルタミン酸」と「ナイアシン」「ビタミンB6」を摂取して、脳内で合成出来るようにする方が賢明です。
とは言っても脳にはGABAに限らず、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなど重要な働きをする神経伝達物質も必要です。
GABAだけにこだわらず、これら全ての神経伝達物質を正常に分泌出来るよう、十分なタンパク質の摂取と、ビタミン、ミネラルを摂取しましょう。
タンパク質は、鳥、豚、牛などの肉や魚、卵、大豆を食べることで摂取することが出来ます。しかし、うつで食欲が無い状態で十分な食事を食べることは難しいですよね。
そこで、タンパク質の補給源としてプロテインを摂取することをオススメしています。
プロテインには、ホエイやソイなど様々な種類がありますが、どのプロテインが良いのかについては、プロテインはうつ病に効果的? 分子栄養医学の観点からオススメのプロテインを紹介!で詳しく解説していますので参考にして下さい。
オススメGABAサプリ
最後に、うつぬきやオススメのGABAサプリをご紹介します。
何度も申し上げますが、GABAをサプリで摂取しても脳神経伝達物質としては使われません。摂取すると、ストレス耐性や安眠に効果があるかもという程度です。食生活が改善したらサプリから摂取する必要はありません。早々に服用を中止しましょう。
また、安眠効果といっても、GABAが睡眠薬の代わりになるわけではありません。
睡眠には、セロトニンから合成出来る「メラトニン」という神経伝達物質が非常に重要です。
メラトニンは、上記の表にも記載されていますが、タンパク質やビタミン、ミネラルがないと合成することが出来ません。
GABAだけに頼らず、これらの栄養素もしっかり補給するようにして下さいね。
うつぬきやでは、iHarbのサプリをオススメしています。
500mgと高容量なので、体質によっては合わない方もいますので注意して下さい。
昼に1カプセルまたは夜寝る前に一カプセルを服用するのがオススメです。また、ストレスがかかってイライラしているときに頓服としても飲んでいます。
※高容量のGABAサプリメントを摂取すると、脳みそをこちょこちょされているような、なんとも言えない不快感と皮膚のかゆみが表れることがあります。その場合は量が多すぎますので、いったん中止して様子を見て下さい。
iHarb以外では、DHCのサプリがオススメです。こちらは一粒で200mg摂取することが出来ます。
飲み方は、iHarbのGABAと同じく、昼に1錠または夜寝る前に1錠、ストレスがかかったときに頓服として服用するのがオススメです。
GABAのサプリを飲んだらうつや不安感は和らぐ? まとめ
以上が、GABAとうつの関係と、オススメサプリでした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- GABAは、主に興奮を抑制する神経伝達物質として働いている
- トマトや玄米など、食べ物にも多く含まれている
- GABAをサプリや食品で摂取しても、脳に直接作用しない
- 脳に直接作用しないので、うつには効果がない
- しかし、研究結果によってリラックス効果や安眠効果は確認されている
- 不眠からきているうつに対しては、GABAによる安眠は一定の効果が期待できる
- うつに対してはセロトニンやドーパミン等、他の神経伝達物質も重要
- GABAやセロトニン、ドーパミンの合成は、タンパク質、ビタミン、ミネラルが必要
といった感じです。
GABAにはリラックス効果があるので、ストレスを感じたらGABAのサプリを飲めば良いという単純な思考に陥りがちですが、元々のストレスの原因を排除しなければうつは治りません。
例えば、会社に嫌な上司がいて、毎日のように嫌がらせされていたとします。
このストレスに対して、「GABAを飲めばリラックス出来るか?」というとそうではありませんよね。
GABAを飲んだって、また明日出社すれば上司の嫌がらせが待っているのです。ですので、元々の原因である上司との関係改善や職場を異動するなど、根本を解決しなければストレスを受け続けることになります。
睡眠の質もそうです。
GABAには安眠効果が確認されていますが、不眠症を治すような効果はありません。「普段眠れている人が更に安眠できるようになる」といった感じです。
ですので、不眠の場合は睡眠薬や睡眠導入剤の力を借りつつ、タンパク質やビタミン、ミネラルで脳の神経伝達物質を整える努力も必要です。
このように、GABAのサプリは様々な効果があるとされていますが、あまり過信しすぎないようにしましょう。
具体的にうつを治す方法については、以下の「うつぬき完全攻略マニュアル」に記載しています。今なら無料でプレゼントしていますので、是非参考にしてみて下さい。