「抗うつ剤や安定剤など、精神薬を飲んでいてもうつ症状がよくならない・・・」「代わりにサプリメントでうつが改善するなら、具体的にどのサプリメントを飲めば良いのか教えて欲しい」と思っている方は多いと思います。
一時期、うつ病は「心の風邪」などと言われていましたが、「うつ消しごはん」や、「うつは食べ物が原因だった!」の書籍が登場したことで、うつの予防や改善には食生活や栄養が重要であるという認識が深まってきました。
うつぬきやでも、分子整合栄養医学の観点から、質的栄養失調の改善に有効なサプリをオススメしています。このようなサプリが、本当にうつ症状を改善してくれるのでしょうか? 疑問に思っている方も多いですよね。
今回は、うつ症状を改善してくれるサプリメントがあるかどうかについてや、サプリメントを飲んでもうつ症状がよくなる人、良くならない人の違い、うつの原因についてや、質的栄養失調を改善するサプリ、うつを発症する可能性がある食生活などを分子整合栄養医学の観点から詳しく解説します。
目次
サプリを飲めばうつは改善するの?
うつを改善してくれるサプリとして有名なものとしては、「セントジョーンズワート」や「リラクミン」などのセロトニンサプリなどがあります。
また、うつぬきやではうつの原因を「質的栄養失調」だとして、プロテインやビタミン、ミネラルのサプリをオススメしています。
これらを飲んだらうつ症状が改善するかどうかは、結論を言ってしまうとうつ症状を直接改善してくれる効果はありません。また、質的栄養失調がうつの原因だったとしても、サプリを飲んだだけではうつは改善しません。
治る希望を奪ってしまうようで申し訳ないのですが、これが現実です。なぜなら、うつの原因は栄養状態やセロトニンの分泌量減少以外にも、あなたの思考や環境などが密接に関係しているからです。
例えば、あなたが女性だったとして、夫からDV(ドメスティックバイオレンス)を受けていたとします。DVとは、家庭内暴力のことで、殴る蹴るの他に言葉の暴力や経済的、性的に虐待することをいいます。
このDVをきっかけにうつ症状を発症しているなら、まずDVを受ける環境をどうにかしなければなりません。軽々しく、「あなたのうつの原因は質的栄養失調だから、プロテインとビタミンミネラルを補給すれば治ります」なんて事は言えないわけです。
このようなことは、ブラック企業に勤めている男性なども同じです。ブラック企業で過労死寸前までこき使われているのがうつの原因だとしたら、いくら栄養補給したってうつは治りませんよね。心が嫌だと言っているのですから、栄養でどうこうできるわけがありません。
ですので、うつが改善するサプリはどれとか、これを飲めばうつが治るなんてことは一概には言えないのです。
このような前提があるとしても、ほとんどの方は外部からのストレスに弱くなっていることは事実だと思いますので、ストレス耐性をあげるためにも、質的栄養失調の改善は有効だと思います。
他には、ストレスを感じていないにもかかわらずうつ病になってしまう場合もあります。このようなうつの原因は「質的栄養失調」が大半を占めていると考えています。
質的栄養失調からくるうつ症状としては
- タンパク質不足からくるうつ
- ビタミンB不足からくるうつ
- ビタミンD不足からくる冬期うつ
- 鉄不足から来るうつ
- DHA・EPA不足からくる産後うつ
- 亜鉛不足から来るうつ
- カルシウム・マグネシウム不足からくるうつ
など、様々な種類の「質的栄養失調型うつ」があります。
これらの栄養が欠乏している場合は、栄養を補給することでうつ症状の改善を図ることが出来ます。
このような環境による影響や欠乏している栄養の違いから、「うつ消しごはん」や、「うつは食べ物が原因だった!」の書籍やこのサイトを参考にしても治る人と治らない人が出てくるのです。
では、環境が悪い人や環境を変えられない人はうつが治らないのかというとそうではありません。栄養補給することによってうつの原因となっている環境を変えるエネルギーを補給することは可能です。
上述したDV被害やブラック企業での過労の場合、環境を変えるにしてもかなりのエネルギーが必要ですよね。この環境を変えるためのエネルギーをサプリメントなどで補うことで、思考力や行動力をつけることは可能です。
ストレス耐性や行動力が上がれば、そのぶんだけ問題解決にエネルギーを使うことが出来るので、うつの原因になっている現在の環境を変える力も付いてきます。
ですので、うつぬきやではうつ症状がある人はまず先に「栄養補給」をオススメしています。以下から、この栄養補給が、なぜうつに効果的なのか? を質的栄養失調の観点から解説していきますね。
うつを改善したいなら、うつの原因を理解しよう
うつを改善したいとき、具体的にうつ病がどんな原因から引き起こされているのかを理解しないと、改善のしようが無いですよね。
ですので、まずはうつ病の原因をしっかり理解することが大切です。ここでは、タンパク質とビタミンミネラルが不足している場合のうつを例に解説していきます。
うつ病の原因は、セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリン等の脳の神経伝達物質の分泌量低下によって起こります。
この神経伝達物質はアミノ酸から出来ており、アミノ酸の原料はタンパク質です。普段の食生活や生活習慣によってアミノ酸やタンパク質不足になると神経伝達物質の分泌量が減り、うつ病になると考えています。
現代の食事は、米やパン、うどんなど、炭水化物が多い食事に偏っています。
普段お腹いっぱいに食べていても、タンパク質、ビタミン、ミネラルが十分に摂取出来ておらず、「栄養の質的」に栄養失調になりがちです。これを、「質的栄養失調」と言います。
タンパク質やビタミンが不足すると、神経伝達物質の材料になるアミノ酸が不足し、脳の活動が低下します。これが、うつを発症してしまう主な原因となっているのです。
と言うことは、うつを改善するサプリメントは、タンパク質の補給源であるプロテインと、タンパク質から脳の神経伝達物質に分解、合成するために必要なビタミンミネラルという事になります。
また、これらサプリメントに加えて食生活の改善も重要です。炭水化物ばかりを摂取していると、食事のたびに血糖値が乱高下します。この乱高下を穏やかにするために、すい臓からインスリンが分泌されたり、副腎からアドレナリンが分泌されます。
アドレナリンは神経伝達物質の1つで、興奮作用や緊張作用があります。アドレナリンが多量に分泌すると、イライラしたり、キレやすくなったります。食生活が悪い人や、炭水化物を多量に摂取している人はキレやすいというのも、これが原因です。
うつ病の予防、改善には、炭水化物や甘い物などを制限する糖質制限に加え、肉や魚を多く摂取する生活習慣に変える事が非常に重要です。
食生活の改善に加え、足りない栄養はサプリメントで補うようにすれば、うつを改善することが出来ます。
脳の神経伝達物質をサプリで摂ればうつは改善する?
ここまで、うつ病の原因はセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリン等の脳の神経伝達物質の分泌量低下によって起こることを解説しました。
この神経伝達物質を合成するためには、プロテインやビタミン、ミネラルのサプリで栄養を補給するのが重要ですが、正直言って面倒くさいと思いませんか?
頭の良い人なら、「脳の神経伝達物質をサプリで摂っちゃえば良いんじゃないの?」と思うかもしれません。
例えば、よく「うつの人はトリプトファンが多く含まれている食べ物がいい」と言われていますよね。トリプトファンとは、脳の神経伝達物質であるセロトニンの材料となる栄養素です。
セロトニンは、感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に深く関係する三大神経伝達物質の1つです。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、分泌されるとリラックスしたり幸せを感じたりする事から、メンタルに良いとされ、近年注目を集めています。
うつ症状があるひとは、このセロトニンの分泌量が減っていて、これが原因でうつ症状が発症していると言われています。
ですので、トリプトファンが多い食べ物を食べれば、体の中でセロトニンに変換され、うつ症状に効果があると言われているのです。
このトリプトファンをサプリで摂取すれば、プロテインなんか飲まなくてもうつを改善出来そうに思いますよね。
結論を言ってしまうと、トリプトファンを摂取しただけではうつを改善することは出来ません。
トリプトファンだけ摂取してもうつは改善しない
トリプトファンは、特定の食べ物にしか含まれていないような気がしますが、実際は私達が普段食べているものに多く含まれています。
ですので、基本的にトリプトファンが不足することはありません。
実際に普段食べているものにどのくらいのトリプトファンが含まれているのかは、以下の表にまとめました。
トリプトファン含有量が多い食べ物(可食部100gあたり)
白米 | 82mg |
玄米 | 94mg |
パスタ(乾麺) | 140mg |
そば(乾麺) | 170mg |
鮭 | 250mg |
カツオ | 310mg |
マグロ赤身 | 270mg |
豚ロース | 280mg |
鶏むね肉 | 270mg |
木綿豆腐 | 98mg |
豆乳 | 53mg |
バナナ | 15mg |
牛乳 | 82mg |
ピーナッツ | 27mg |
ヨーグルト | 42mg |
表を見ると、バナナ、牛乳、ピーナッツ、ヨーグルトなど、私達が日常的に食べているものにも多く含まれていることが分かります。さらに、これらよりも白米や豆腐、パスタやそばのほうが、トリプトファンは多く含まれていますね。
特に多いのが、魚や肉などの動物性タンパク質です。表では、どれも200mgを超えており、多いものでは300mg以上含まれています。
生活する上で必要なトリプトファンの一般的な摂取量の目安は、体重1kg当たり2mg程度と言われています。これは、体重が50kgの場合はおよそ100mg程度にあたります。
上の表は可食部100g当たりのトリプトファンの量ですから、普通に考えて一日に100g以上は余裕で食べていますよね。つまり、パスタやそば、白米などを200g程度食べれば、一日に必要なトリプトファンは十分に摂取出来ているのです。
にもかかわらず、現代ではうつ病にかかってしまう人が後を絶ちません。つまり、うつの原因はトリプトファン不足だけではないのです。
脳の神経伝達物質をまんべんなく分泌させることが重要!
うつにはトリプトファンがいいと言われていますが、脳の神経伝達物質の材料はトリプトファンだけではありません。他にも様々な神経伝達物質が、互いにバランスをとって分泌されているのです。
このバランスを取っている時が最も調子が良く、どれかが大量に分泌されるとバランスが崩れて心身に不調が現れてしまいます。
つまり、うつを改善したいときはトリプトファンだけにこだわらず、脳の神経伝達物質をバランス良く分泌させることが重要なのです。
この脳の神経伝達物質のバランスについて、しっかりと理解しておきましょう。
脳の神経伝達物質は、興奮系のドーパミン、抑制系のGABAがあります。この2つのバランスを調節しているのがセロトニンです。
シーソーで例えると下図のように、支点の役割を担っています。
うつ症状を発症している方は、セロトニンだけでなく、ドーパミンやGABAの分泌量も減っています。ですので、トリプトファンなどでセロトニンだけを補っても、肝心のシーソーのバランスが整いません。
うつを改善するには、これらの神経伝達物質の材料となる栄養素をまんべんなく摂取することが重要です。
脳の神経伝達物質をバランス良く分泌させるのに必要な栄養素が、牛肉などの「タンパク質」なのです。そして、タンパク質から脳の神経伝達物質に分解、合成するにはビタミンとミネラルが欠かせません。
この、タンパク質とビタミンミネラルが、どのように脳の神経伝達物質に分解、合成されているのかを理解することが、うつを改善する最大の鍵となります。
なぜ、タンパク質とビタミン、ミネラルのサプリがうつの改善に繋がるのか?
上述したように、特定の脳の神経伝達物質の材料をサプリで補っても、分泌量が増えるわけではありません。
また、GABAやセロトニンなどはサプリメントで販売されていますが、脳の防御機能である「血液脳関門」を通り抜けられないため、サプリで摂取しても脳の神経伝達物質として使われることはありません。
つまり、脳の神経伝達物質を増やし、うつを改善するには、脳の神経伝達物質の材料を十分に摂取するしか方法が無いのです。この材料となる栄養素が、タンパク質とビタミン、ミネラルです。
うつを改善するには、このタンパク質やビタミン、ミネラルがどのようにして脳の神経伝達物質に合成されているのかを理解することが非常に重要です。
サプリメントの話をする前に、これらの栄養素がどのように分解、合成されて脳の神経伝達物質になっているのかを理解しておきましょう。
下図は、タンパク質が脳の神経伝達物質に分解、合成されるまでの過程を表したものです。
タンパク質(プロテイン)を摂取すると、いくつかの工程を経てアミノ酸に分解されます。脳神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。
このアミノ酸は、ビタミンやミネラルを元に、神経伝達物質である「ドーパミン」や「セロトニン」「GABA」に合成され、消費されていきます。
これらの神経伝達物質は、互いにバランスを取りながら分泌されるので、どれか特定のアミノ酸を大量に摂取したとしても、特定の神経伝達物質が大量に分泌されるわけではありません。
ですので、トリプトファンだけを摂取するのではなく、脳の神経伝達物質の材料となるアミノ酸をバランス良く含んだタンパク質を摂取することが重要になるのです。
そして、アミノ酸から神経伝達物質に合成する時には、補酵素としてビタミンやミネラル等が必要になりますので、これらも同時に摂取するように心がけましょう。
例えば、L-トリプトファンから5-HTPに合成する時には、葉酸、鉄、ナイアシンが必要になります。上述した「トリプトファンが多く含まれている食べ物」の栄養素を見てみると、そのほとんどに鉄分が入っていません。
鉄分が足りなければ、どれだけ食べたところでアミノ酸が神経伝達物質に合成されることはなく、そのまま体外に排泄されてしまいます。
このように、特定の栄養だけを摂取しても、他の栄養素が足りなければ脳の神経伝達物質を合成することが出来ないのです。
うつを改善するには、脳の神経伝達物質の材料であるタンパク質に加え、合成の補酵素として必要なビタミンミネラルをまんべんなく、かつ十分に摂取する事を心がけましょう。
次では、うつぬきやがオススメしているプロテインとビタミン、ミネラルのサプリをご紹介します。
分子整合栄養医学の観点からうつの改善にオススメのサプリ
ここまでは、うつの改善にタンパク質とビタミン、ミネラルが重要である事をお話してきました。
これらの栄養素は食事からでも摂取することが出来ますが、十分な質と量を食べるのはなかなか難しい物があります。ですので、足りない分はサプリメントで摂取する事をオススメしています。
特に不足しがちなタンパク質をサプリメントで摂りたいときは、プロテインになります。プロテインと言えばボディービルダーやアスリートなどが飲むイメージがありますが、運動していない人も飲んで大丈夫です。
プロテインについての説明をすると長くなってしまうので、ここではシンプルにオススメのプロテインを1つだけ紹介します。実際は日替わりで様々な種類のタンパク質を摂取するのがオススメです。
私達の腸は、同じ種類のタンパク質を何度も摂取すると、腸に炎症が起きてしまい、消化吸収能力が落ちてしまうことが分かっています。
ですので、出来ればプロテインだけに頼らずに、牛、豚、鳥、魚、卵など様々なタンパク質をローテーションして食べることをオススメします。
また、プロテインを飲むときは同じ種類のプロテインを飲み続けるのではなく、3日おきに違う種類のプロテインに変えるのが望ましいです。
その中でも、「人工甘味料入っていないもの」「ホエイまたはソイプロテイン」がオススメです。
プロテインになれていないうちは、無味無臭のホエイプロテインは飲みにくいと思いますので、ソイプロテインから始めるのがオススメです。豆乳のような味わいで飲みやすいのがメリットです。
では、実際にどのプロテインを飲んだらいいのかについてですが、うつぬきやではiHarbのソイプロテインをオススメしています。
iHarbはアメリカのサプリ販売サイトですが、日本語や代引きに対応しているので安心して買い物をする事が出来ます。
サプリの品質や含有量、吸収率なども日本製よりアメリカのサプリのほうが進んでいますので、体の栄養を分子レベルで整えるなら、高品質なアメリカのサプリがオススメです。
iHarbが何故おすすめなのかや、具体的な購入方法などは、うつぬきサプリはどうやって買えばいい? iHarbの購入方法を徹底解説!で解説していますので参考にしてみて下さい。
ソイプロテインを5%OFFで購入する!
プロテインを飲むのに慣れてきたら、ホエイなどをローテーションして飲むようにしましょう。ホエイやソイプロテインについて詳しくは、プロテインはうつ病に効果的? 分子栄養医学の観点からオススメのプロテインを紹介!で詳しく解説していますので参考にして下さい。
ビタミンとミネラルの補給も同時に!
上述したように、タンパク質はうつの改善に必要な脳内神経伝達物質の材料になります。タンパク質の分解にはビタミンB群とミネラルが必要になりますので、積極的に摂取しましょう。
表の中では、必要な栄養素としてビタミンB6や葉酸、ナイアシンなどのビタミンしか書かれていませんが、実際には全てのビタミンをまんべんなく摂取する事が必要です。
ビタミンB6や葉酸、ナイアシンは「ビタミンB群」と呼ばれ、お互いに協力し合って始めて効果を発揮します。ですので、表には書かれていませんがビタミンB2やビタミンB12など、その他のビタミンB群も同時に摂取する必要があるのです。
これは、ミネラルも同じ事が言えます。表の中ではカルシウムやマグネシウム、鉄が必要と書かれていますが、他にも亜鉛や銅などのミネラルも健康な体を作るのに必要です。
ですので、ビタミンとミネラルはまんべんなくかつ十分に摂取するのがオススメです。
うつぬきやでは、以下のサプリをオススメしています。
オススメマルチビタミンミネラルはこちら この他、うつの改善に必要な栄養素やサプリはまだあります。うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのiHarbサプリを紹介!で詳しく解説していますので、参考にしてみて下さい。
女性の場合は鉄分が重要!
女性のうつやパニック障害とみられる症状の多くは、鉄欠乏が原因です。ですので、女性の場合はうつの改善に鉄分を補給することが重要です。
特に子供を何人も出産した方や、まだ生理が続いている方、若いときからPMD(月経前不快気分症候群)で悩まされていた方は、潜在的鉄欠乏性貧血の疑いがあります。
鉄不足かどうかの確認として、健康診断の貧血チェックでは血液中のヘモグロビン値を見ると思いますが、本当に鉄不足かどうかは「フェリチン値」を図ることが重要です。
フェリチンとは、鉄と結合しているタンパク質の1つです。貯蔵鉄とも呼ばれ、フェリチン値が低いと「潜在性鉄欠乏貧血」になります。
鉄分は、血液の主成分以外にも、脳内神経伝達物質であるドーパミンやセロトニンの材料として欠かせない栄養素です。
女性の場合は月経や出産などで、血液と一緒に鉄分が流れ出てしまいます。すると、脳の神経伝達物質を合成するために必要な鉄分が足りなくなってしまい、うつやパニックを引き起こしてしまうのです。
ですので、鉄分不足から来るうつやパニックを改善するためにも、日頃からサプリメントなどで十分に鉄を補給しておきましょう。
うつぬきやでは、鉄分補給のサプリとして以下のiHarbのサプリをオススメしています。
また、鉄分についてもっと知りたい方は、うつに鉄分は本当に効くのか? 分子整合栄養医学の観点から鉄とうつの関係と、鉄分を多く含む食べ物を紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。
うつ症状を発症、悪化させてしまう恐れのある食べ物を避ける
うつ病の改善には、肉や魚などのタンパク質とビタミンミネラルがよいということを解説してきました。
ですが、これらの栄養素を補給しているから大丈夫というわけではありません。実際には、うつ症状を引き起こす可能性がある食べ物や飲み物を意識的に避ける生活習慣に切り替える必要があります。
ここからは、うつ症状を発症、悪化させてしまう恐れのある食べ物や栄養素を解説しますので、うつ病を改善するために、意識的に避けるようにしてみて下さい。
うつにはタンパク質が重要と説明してきましたが、タンパク質と一口に言っても、何でも良いわけではありません。実は、良いタンパク質と悪いタンパク質があるのです。
良いタンパク質は上述した肉や魚ですが、悪いタンパク質は牛乳やヨーグルトなどの乳製品に含まれている「カゼイン」というタンパク質です。
このタンパク質も肉や魚などと同じように、アミノ酸に分解されて利用されますが、この時分解しきれなかったタンパク質が腸に炎症を与えてしまう可能性があるのです。
カゼインタンパクが腸に与える悪影響
牛乳の主成分は、「カゼイン」というタンパク質です。牛乳のタンパク質には2種類あり、ヨーグルトの上澄みに出来る透明の液体が「ホエイ」と呼ばれるタンパク質、白くドロドロと固まっているものが「カゼイン」というタンパク質です。
牛乳の悪影響は、このカゼインタンパクの影響が最も大きいと言えるでしょう。
カゼインは、分解されにくい構造をしているため、消化されないまま小腸に到達し、その場に残ってしまいます。
健康な腸なら有害になることはありませんが、うつ病などの質的な栄養失調により腸が弱っていたり、腸内環境が悪かったりすると、腸粘膜に入り込み、炎症を起こしてしまうのです。
さらに、カゼインを構成しているペプチドが分解されないまま体内に入ってしまうと、脳の中枢神経に麻薬同様の作用をもたらします。
これは、カゼイン由来のグリアジンのアミノ酸配列が「モルヒネ」にそっくりなことから、脳が誤認識をして脳の受容体にくっついてしまうのです。
すると、シナプスから出てくる正常な神経伝達物質の分泌を阻害するため、こころの安定に必要なセロトニンやドーパミン、GABAなどが出づらくなったり、過剰に分泌されてしまったりします。
この結果、イライラする、うつ症状が出る、眠気が起きる、ぼーっとするというような、心身に悪影響を与えるのです。
胃腸や腸が健康な状態であれば、カゼインタンパクが腸粘膜に入り込むことは少ないので、牛乳の摂取は問題ありません。
しかし、腸粘膜が弱っている可能性がある人は、牛乳の摂取はデメリットしかありません。
うつ病を改善したいなら、牛乳は避けた方が良いと言えるでしょう。
油の種類によってはうつ症状発症、悪化させる!
良いタンパク質、悪いタンパク質に続いて、油にも良い油、悪い油があります。ですので、油もできるだけ良い油を選ぶようにしましょう。
油には、動物性に含まれている脂や、植物に含まれている油など、様々な油がありますが、今回は魚に含まれているオメガ3系脂肪酸と、サラダ油などに含まれているオメガ6系脂肪酸を主に解説していきます。
オメガ3系脂肪酸とは魚油などに多く含まれているDHAやEPAのことです。また、エゴマ油、アマニ油、ナッツ類に含まれているα-リノレン酸もオメガ3系脂肪酸の1つです。
もう一つのオメガ6系脂肪酸とは、米油、サラダ油、ベニバナ油、大豆油、コーン油などに多く含まれているリノール酸が多い油です。
これら2つの油は必須脂肪酸とよばれ、体内では作り出すことが出来ない油になります。ですので、どちらも摂取しなければならないのですが、問題はオメガ6系脂肪酸であるリノール酸を取り過ぎることによって、慢性炎症の原因になってしまうことです。
この炎症が脳に影響を与え、うつ症状が発生するのでは無いかと言われています。ですので、炎症を抑えることはうつの改善に繋がると言えるのです。
リノール酸の取り過ぎは、慢性炎症の原因となる
リノール酸は、摂取すると生体内のさまざまな生理活動を調節したり、影響を与えたり、活性化したりするホルモンや神経伝達物質に変換されます。
その主な利用法が、体内でのエネルギー源と、炎症促進作用、炎症抑制作用です。
リノール酸(オメガ6系脂肪酸)の取り過ぎによって、炎症抑制作用よりも炎症促進作用が強まってしまうと、慢性炎症の原因となるのです。
多価不飽和脂肪酸の、ω-6系とω-3系のバランスが乱れることが、アレルギーなどの炎症性疾患を促進していると考えられています。ω-3系の不飽和脂肪酸が、炎症を直接抑制することもわかってきました。
アブラ(脂肪酸)のうち、多価不飽和脂肪酸はヒトの身体の細胞膜の構成成分です。状況によって細胞膜から切り離され、炎症を起こしたり静めたりする生理活性物質(エイコサノイド)になります。
炎症は、皮膚で起きれば皮膚炎に、血管で起きれば動脈硬化等の原因になります。
現代の日本人は、ω-6系のリノール酸を非常に多く摂取していると言われています。ω-3系の脂肪酸を積極的に摂取してバランスを良くし、炎症を抑制しましょう。また、EPAには中性脂肪などの脂質代謝を改善する働きが、DHAには脳機能を改善する働きがあります。EPAとDHAは協力して働くので、一緒に摂ることが望ましいと言えます。
図のように、リノール酸は炎症促進作用があるアラキドン酸に多く変換されてしまいます。
炎症反応自体は、体にとって必要な反応なので避けることは出来ません。風邪を引いたり怪我をしたときなど、炎症を起こして体を守ります。必要なときに炎症反応を起こせないと、免疫力が落ちてしまって命を落としかねません。
問題なのは、炎症を起こした後に、速やかに炎症を抑える働きを引き出せないことです。アトピーやリウマチなど、慢性的に痛みや肌荒れが治らないのは、この炎症を抑える働きが弱まってしまっているからです。
ですので、慢性的な炎症があったり、うつ症状などで脳に炎症があるような場合は、オメガ6系脂肪酸(米油、サラダ油、ベニバナ油、大豆油、コーン油)の摂取は控えていくことが望ましいと言えます。
そして、この炎症を抑えるためには、炎症抑制作用のあるオメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸のバランスが重要になります。
脂質はバランスが重要
上述したように、サラダ油などに含まれるリノール酸(オメガ6系脂肪酸)を摂取すると、大半が炎症促進作用として使われてしまいます。
この炎症を抑えてくれる働きをするのが、魚に含まれているDHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸です。
このオメガ3系脂肪酸は、オメガ6系脂肪酸と違い、体内での利用法はエネルギー源と炎症抑制作用です。リノール酸のように、炎症促進作用はありません。
ですので、リノール酸などのオメガ6系脂肪酸をエネルギー源に起こした炎症を、DHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸のエネルギーで速やかに鎮静化出来ることがベストと言えるでしょう。
この2つの脂肪酸は、細胞膜に取り込まれる部位が同じなので、同じ場所の取り合いをしています。炎症を抑えるためには、この2つの油のバランスを変えてあげることがポイントです。
2つの脂肪酸は、必須脂肪酸なのでどちらかを排除することは出来ません。食事から摂取した比率が、そのまま体内の脂肪酸比率になってしまうため、意識的にDHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸を摂る必要があります。そして、意識的にリノール酸などのオメガ6系脂肪酸を避けることも重要です。
サラダ油などが使われた揚げ物には、オメガ6系脂肪酸が多く含まれているので、これが足りない場合を除いて意識的に排除すべきでしょう。
「必須脂肪酸なら、摂取しないといけないのでは?」 と思うかもしれませんが、現代の食事では、このオメガ6系脂肪酸を想像以上に摂取しています。
米油、サラダ油、ベニバナ油、大豆油、コーン油などはオメガ6系脂肪酸で、炒め物や揚げ物に必ずと言っていいほど大量に使われています。
逆に足りないのは、オメガ6系脂肪酸です。慢性炎症を抑えるには、オメガ3系脂肪酸を多く摂るよう心がけましょう。
一日一回はアジやサバ、サンマなどの青魚を食る、足りない分はDHA・EPAのサプリで補うのがオススメです。
炭水化物、糖質を避ける
糖質とは、砂糖や果糖以外にも、白米やパン、うどんなどの精製された小麦製品も含まれます。これらの糖質を摂取すると血糖値を下げるインスリンというホルモンを大量に分泌させます。
インスリンが多量に分泌されると、血糖値が正常値以下まで下がってしまい、低血糖になります。低血糖は生命に関わるので、防御反応として血糖をあげるホルモン(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール)が分泌されます。
これらのホルモンの合成には、原料としてアミノ酸、ビタミンB群、亜鉛、マグネシウム、コレステロールなどが必要になります。
精製糖質をたくさん摂ると、これらのホルモンを大量に合成しなくてはならなくなり、ビタミンB群やミネラルがどんどん使われてしまいます。
ビタミンB群やミネラルが不足すると、摂取したタンパク質から神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、GABA)への合成が滞ってしまいます。
これらの神経伝達物質が不足してしまうことで、うつ症状が現れるのです。
糖尿病や血糖調節障害とは、このインスリンの分泌量が減ったり、効きが悪くなったりすることで、血糖値が下げられなくなる病気です。
糖尿病は常に血糖が高いと思われがちですが、脂肪肝やグリコーゲン(貯蔵糖質)の貯蔵がうまく働いていないため、実は低血糖にもなりやすいのです。
低血糖の予防やうつを改善するには、低糖質、高タンパク、高脂質の食事を心がけてインスリンを節約することが重要です。
でも、急に食生活を変えるのはなかなか難しいですよね。
そこで、無理なく食習慣を変えていくために、βグルカンを摂取しつつ、少しずつ食生活を変えていけば、血糖値の急変動を抑えながら食生活の改善を心がけることが出来ます。朝、昼、晩の食前30分前に服用すると効果的です。
※低血糖の方が摂取すると、βグルカンが糖の吸収を阻害するために命に関わる危険性があります。事前に関連する疾病が無いかどうかを医療機関にて受診し、医師の指示を仰ぐようにして下さい。
冬期うつの改善にビタミンD
ビタミンDは、これまでカルシウムや骨の代謝に不可欠な栄養素として知られていました。近年ではこれ以外にも多くの効用がある事が様々な研究によって明らかになっています。
その1つが、冬期うつなどの季節性情動障害です。これは、日照時間が少なくなる冬にうつ症状が増えてくることに関係しています。
ビタミンDは、紫外線を浴びることで体内で合成することが出来る栄養素です。しかし、冬は紫外線が強くないために、皮膚でビタミンDを合成できなくなります。日焼けサロンなどで紫外線を浴びるとうつ症状が治る人たちがいることが分かったため、冬期うつとビタミンDの関連が報告されるようになりました。
ビタミンDは、魚の内臓に多く含まれているため、サンマやイワシ、シシャモ、しらすなどを内臓ごと食べるのがオススメです。しかし、食事だけで必要量を補うのは難しいので、サプリメントで確実に補っていきましょう。
うつ症状を改善するサプリはある? サプリが効果ある人とない人の決定的な違いとは? まとめ
以上が、うつを改善してくれるサプリはあるかどうかと、うつの原因、質的栄養失調を改善するのにおすすめの栄養素でした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- うつ症状を直接改善してくれうるサプリはない
- うつの原因は、栄養以外にも環境や思考などがある
- うつの原因は、「質的栄養失調」がほとんど
- 環境や思考を変えるためにも栄養を整える事は有効
- うつの改善にトリプトファンのサプリを飲んでも効果が薄い
- ドーパミン、GABA、セロトニンなどの神経伝達物質のバランスが重要
- 神経伝達物質の材料はタンパク質
- うつの改善には、タンパク質とビタミン、ミネラルの摂取が鍵
- 良いタンパク質と悪いタンパク質がある
- 油には炎症促進作用があるものと炎症抑制作用がある油がある
- サプリで2つの油のバランスを整えるのがオススメ
- 糖質や炭水化物はなるべく避ける
- 冬期うつにはビタミンDの補給が最適
ここまで解説してきたのは、タンパク質、ビタミンミネラルが欠乏している質的栄養失調の改善です。これらのサプリは、うつを直接改善してくれる効果はないので注意して下さい。
また、摂取した栄養は使ってこそ意味があります。栄養補給したからと言って、寝ているだけでは栄養は使われません。歩いたり運動したり、人と話したりするなど、頭や体を使うことで始めて栄養が消費され、脳の神経伝達物質などの分泌量が増えるのです。
ですので、栄養補給と同時に治す努力も惜しまないようにしましょう。
他にも、分子整合栄養医学では気をつける点や摂取した方が良いものがありますが、基本的にはタンパク質とビタミン、ミネラルの摂取を基本とし、低糖質、高脂質の食事を心がけるのがオススメです。
ただ、普段の食事から十分な量を摂取することは難しいので、プロテインやビタミンやミネラル等のサプリで、足りない栄養素は補っていきましょう。
また、ここでは紹介しきれなかった栄養やサプリがいくつかあります。興味のある方は、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのサプリを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。