夜、布団に入っても眠れない、眠ったと思ったらすぐに目が覚めてしまう、睡眠薬を飲んでいるのに眠れなくなったなど、不眠で悩む方は多いと思います。
特に、うつで苦しんでいる方は、このような症状が多いのでは無いでしょうか? 人間関係やお金のこと、将来のことが不安でなかなか寝付けませんよね。中には、数種類の睡眠薬を組み合わせてもなお、眠れないという方もいます。
このような症状にサプリが有効であれば、ぜひ試してみたいと思いますよね。
サプリを飲んでもっと眠れるようになりたい、体のために今飲んでいる睡眠薬を減らしたい、睡眠薬を飲まなくても眠れるようになるサプリが欲しいなど、睡眠薬の置き換えとして眠れるようになるサプリを探しているのであれば、今回の記事は非常に役に立つと思います。
今回は、うつと不眠の関係、一般的に睡眠に効果があると言われているサプリ、分子整合栄養医学の観点からうつと不眠を治す栄養を詳しく解説します。
目次
うつと不眠の関係
やる気が起きない、ダルい、動きたくない、気分が落ち込む・・・、このような意欲低下がうつ病の特徴ですが、同時に不眠症を抱えている方も珍しくありません。
気分が落ち込むだけならまだしも、なぜ眠れなくなってしまうのでしょうか?
この原因は、うつ病の原因とされている「セロトニン」の分泌不足にあります。
セロトニンとは、脳の神経伝達物質の1つで、感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に深く関係しています。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、分泌されるとリラックスしたり幸せを感じたりする事から、メンタルに良いとされ、近年注目を集めています。
このセロトニンから合成される「メラトニン」という神経伝達物質は、入眠や安眠などの睡眠の質とも深く関わっており、セロトニンの不足はメラトニンの不足にも繋がります。
不眠はうつ症状と深い関係があり、メラトニンが不足すると不眠などの症状が現れることから、うつとセロトニンは深い関係があるといわれています。
うつ症状がある人は、この「セロトニン」の分泌量が減ってしまっているため、睡眠に必要な「メラトニン」が生成されず、夜になっても眠くならなかったり、寝付きが悪かったりと、不眠の症状も同時に発症してしまうのです。
上図はセロトニンとメラトニンの関係を表したものです。
セロトニンの材料である「トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸から「セロトニン」に合成され、「セロトニン」から「メラトニン」に合成されます。つまり、うつ症状で「セロトニン」の合成量が滞ってしまうと、同じく「メラトニン」の合成量も減ってしまうのです。
そして、うつと不眠、セロトニンとメラトニンについて解説するときは、同時に体内時計に関しても解説しなければなりません。それは、これらの分泌が体内時計を管理しており、切っても切り離せない関係だからです。
体内時計の仕組みは、日中はセロトニンが活発に分泌され、逆にメラトニンの分泌が抑制されることで、活発に活動できるようになっています。
夜間はメラトニンが活発に分泌され、逆にセロトニンの分泌が抑制されることで、眠気を感じて休むことが出来るのです。
http://littlescientist.jp/spanist_blog/キレイと健康%E3%80%80第17回【セロトニンと、メラトニン/
これらセロトニンやメラトニンは、目から入る光の刺激や朝食などの生活習慣によって分泌量が変わります。
メラトニンの合成量が減ってしまうことで、体内時計が正常に働かなくなってしまい、夜になっても眠れなかったり、昼間に眠くなってしまったりと、様々な不調が現れてしまうのです。
では、このセロトニンやメラトニンをサプリで直接補給すれば、うつ症状や不眠が改善するのでしょうか?
実は、そんな単純なものではありません。これらのサプリを飲む前に、不眠の原因を解消しておかなければ不眠症は治らないからです。
不眠の原因を解消するのが先決!
うつ症状からくる不眠の改善のために眠剤やサプリメントを飲む場合は、不眠の原因となっている事を極力なくしていくことが重要です。
この原因をそのままにしておくと、「対症療法 vs 対症療法」となり、終わりの見えない不眠症の泥沼にハマりかねません。
例えば、夜に交感神経を刺激する精神薬を飲んでいた場合、当然ですが眠りにつくことが出来ません。にもかかわらず、睡眠薬やサプリメントで無理矢理眠ろうとすると、「眠れなくなる成分 vs 眠くなる成分」の戦いとなります。
自律神経とは?
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の2種類があります。
この二つはシーソーのように片方が高くなると片方が低くなるようになっています。どちらかに傾きすぎず、両方のバランスが取れているときが最も健康な状態です。
交感神経が優位になると、イライラや不眠、心拍数や血圧が上がるなど緊張状態になります。
逆に、副交感神経が優位になると、だるさや無気力になるなどの不調が現れます。
話を元に戻すと、脳内ではこの2つの成分が戦っているので、スヤッと眠ったと思ったらパチッと目が覚めるなど、不安定な状態となります。
最終的には、「どちらか作用が強い方が勝つ」ので、精神薬など作用が強い方に軍配が上がります。そして、これらの成分は飲み続けていくと段々効かなくなってくるので、次第に量が増えてしまいます。
このような原因をそのままにして眠剤やサプリメントで無理矢理眠るのは、いたちごっことなって更に酷い不眠症に発展しかねません。
まずは、不眠となっている原因を極力なくしていくことが重要です。そのためには、以下の事に気をつけるか、習慣になっている場合は改善するなどして対策をしましょう。
寝る前の糖質は控える
眠る前に甘い物や炭水化物を摂取すると、血糖値をコントロールするホルモンが分泌されて眠れなくなる可能性があります。
糖質とは、砂糖や果糖以外にも、白米やパン、うどんなどの精製された小麦製品も含まれます。
これらの糖質を摂取すると、血糖値を下げるインスリンというホルモンを大量に分泌させます。
インスリンが多量に分泌されると、血糖値が正常異常に下がってしまい、低血糖になります。低血糖は生命に関わるので、防御反応として血糖をあげるホルモン(グルカゴン、アドレナリン、コルチゾール)が分泌されます。
血糖値を上げるホルモンは、交感神経を高める働きをするので、イライラしたり緊張したり、眠れなくなる作用があります。
このような理由から、寝る前に甘い物や炭水化物を食べると寝付きが悪くなったり眠れなくなる原因となります。
さらに、インスリンや血糖値を上げるホルモンの合成には、原料としてアミノ酸、ビタミンB群、亜鉛、マグネシウム、コレステロールなどが必要になります。
糖質をたくさん摂ると、これらのホルモンを大量に合成しなくてはならなくなり、ビタミンB群やミネラルがどんどん使われてしまいます。
ビタミンB群やミネラルが不足すると、摂取したタンパク質から神経伝達物質(セロトニン、ドーパミン、GABA)への合成が滞ってしまいます。
これらの神経伝達物質が不足してしまうことで、うつ症状が現れたり、不眠になってしまいます。
ですので、夕方5時以降は甘い物や炭水化物などの糖質は控えるようにするのが望ましいと言えます。
午後以降はカフェインの摂取を控える
カフェインといえば「コーヒー」ですが、コーヒー以外にもカフェインが含まれているものは沢山あります。
緑茶や紅茶、ウーロン茶、エナジードリンク、特定のビタミン剤などには大量のカフェインが含まれています。このカフェインを摂取すると、覚醒作用があるので眠れなくなります。
眠れなくなるにも関わらず、「うつにはコーヒーが良い」という情報がネットに出回っており、これを信じて何杯もコーヒーを飲んでいる方が多いのです。
具体的には以下のような記事です。
米国人女性5万人を10年間、追跡調査した研究で、コーヒーを1日4杯以上飲む女性では、うつの割合が20%減少するとの結果が示された。
10年間の追跡期間中、2,607人がうつを発症した。コーヒーの摂取が週に1杯以下の女性に比べ、うつ発症リスクは、1日2~3杯グループで15%減、1日4杯以上グループで20%減と低下していった。カフェイン抜きのコーヒーやお茶、清涼飲料、チョコレート飲料を飲む女性では、抑うつの発症リスクとの関連はみられなかった。
調査を開始した当初にうつ傾向ではなかった女性が、その後のコーヒーによるカフェイン摂取量増加によって、うつの発症を低減されていたが、Lucas氏らはそのことが直接に、カフェインがうつリスク低減に有効であるということを意味するものではないと指摘している。
そのうえで、カフェインが保護作用をもっている可能性が示唆されており、コーヒーの摂取によるうつの低下を示した過去の研究結果と一致していると結んでいる。
http://www.seikatsusyukanbyo.com/calendar/2011/001873.php
このように、コーヒーに含まれているカフェインがうつ病の予防や改善に効果があるとされており、その理由はカフェインの保護作用でないかと言われています。
カフェインの保護作用がうつ症状とどのような関係があるのかについてまだ詳しく分かっていませんが、以下のような保護作用があるようです。
カフェインはアデノシンA2a受容体拮抗薬なので、ドパミン神経をアデノシンから保護してくれます。珈琲は多量のカフェインを含んでいるので、パーキンソン病の予防になると考えられて、カリフォルニア州サンノゼのカイザーパーマネンテ病院で、珈琲による治験が進行中とのことです。結果はまだ出ておりません。
カフェインは神経細胞以外の細胞も保護してくれます。事前にカフェインを投与したマウスは、肝臓毒リポポリサッカライド(LPS)を注射しても死ぬことはなく、肝細胞の逸脱酵素(GOTとGPT)が高値を示すこともありません。珈琲と肝機能の関係を調べた疫学調査結果とも一致しています。
http://www.vividlady.com/IANA/save/coffee.html
つまり、コーヒーのカフェインがうつに良いと言うよりは、「カフェイン」が何らかの保護作用をしてうつ症状が改善しているのではないかと考えられています。
これを見て「カフェイン=うつにいい」と思うのは間違いで、カフェインはうつの天敵にもなります。それは、以下のような理由があるからです。
・うつ病はアドレナリンやセロトニンなどの脳内神経伝達物質の異常で起こる。コーヒーに含まれるカフェインは適量であれば問題はないのが、過剰に摂取してしまうと交感神経を刺激することによって鬱を悪化させる可能性がある。
・コーヒーの飲み過ぎでカフェイン依存症になると、理由もなく不安になったり、落ち込んだりする可能性があるという。これが「軽うつ」の症状とよく似ている。
・カフェインを摂取すると脳内神経系で興奮を引き起こす「アドレナリン」が分泌される。カフェインの摂取過多によっては、アドレナリンが出すぎて、不眠症状やイラつきとかの症状が出やすくなる。
・抗うつ剤は精神を落ち着ける脳内物質「セロトニン」の働きを助ける。対してコーヒーはアドレナリンの働きが活発化する。抗うつ剤とコーヒーの効果は相反するので、同時の摂取は控えた方がいい。
このような意見は、分子整合栄養医学でも同じ事が言われています。カフェインの覚醒作用が神経伝達物質のバランスを崩し、イライラや不安感、不眠などの心身の不調に繋がってしまうのです。
ですので、うつ症状がある人はコーヒー、紅茶、緑茶などのカフェイン入りの飲料は避けた方がいいと言えるでしょう。
もし飲みたいのであれば、朝食に一杯飲む程度にし、午後にカフェインを摂取することは控えるようにしましょう。
精神薬を見直す
不眠の原因として意外と見落とされがちなのが、精神薬です。
精神薬には、やる気を出すためにドーパミンやノルアドレナリンの濃度を上げる作用の抗うつ剤があります。
これらは「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」や「非定型抗精神病薬」と呼ばれており、有名な物としては「ミルナシプラン(トレドミン)」や「デュロキセチン(サインバルタ)」「エビリファイ(レキサルティ)」などがあります。
これらの薬は、交感神経を優位にするドーパミンやノルアドレナリンの濃度を高める働きをするため、夕方以降に服用すると眠れなくなる可能性があります。
また、薬の副作用に不眠がある場合があります。
この場合は、薬の名前をネットで調べると、Wikipediaなどに薬の副作用として「不眠」などと書かれていますので、一度調べて見ると良いでしょう。
このような精神薬の作用による不眠の場合は、薬の調節が必要になります。主治医と相談して、薬の調節をして貰いましょう。
うつと不眠に効果があるサプリは?
不眠となる原因が解決できたら、次はどんなサプリを飲めば眠れるようになるか? ですよね。
一般的に、以下のようなサプリが眠りに影響していると言われています。
飲むとよく眠れるようになると言われているサプリ
- GABA
- メラトニン
- トリプトファン
これらのサプリは総じて脳の神経伝達物質と関係があり、摂取すると直接脳に影響を与えたり、脳の神経伝達物質の材料になったりすることから、眠りに影響していると考えられています。
では、これらのサプリを飲むとよく眠れるようになるのは本当なのでしょうか。副作用などの危険性なども含めて、1つづつ解説していきます。
GABAのサプリはうつと不眠に効果ある?
GABAの直接摂取に関しては諸説ありますので、ここでは分子整合栄養医学に基づく見解で解説していきます。
「GABA(ギャバ)」とは、正式名称は「γ-アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)」で、頭文字を取って、一般的に“GABA(ギャバ)”と略称されています。私たち人間の体内にも存在するアミノ酸(タンパク質)の一種で、トマトなどの野菜や玄米などにも多く含まれています。
GABAは、脳内では抑制系に働く大部分を担う神経伝達物質で、興奮を静めたりリラックスをもたらす役割を果たしています。
GABAはストレスを緩和したり、リラックス効果があるとされているので、GABAをサプリで摂取したらうつ症状や不眠が和らぐのでは? と思う方も多いと思います。
GABAを摂取すると睡眠に効果があるかどうかですが、最近では寝付きや安眠など、睡眠の質に深く関わっていると言うことが研究結果で分かっています。
GABAストレス研究センターは、日常的なストレスを軽減し、脳を落ち着いた状態にする効果があるGABA(γ-アミノ酪酸)の人体に対する効果の検証の一貫として、日中に摂取したGABAが同日夜の睡眠にどう影響を与えるか新たな実験を行いました。
その結果、就寝前に限らず、昼間に一度ストレスをリセットすることで通常より早く、深い眠りが得られることが判明。これにより、新しい商品への使用などが加速されることが期待されます。
この詳しいメカニズムは分かっていませんが、少なくともGABAのサプリを摂取することで、「睡眠の質は改善できそう」ということです。
ただ、睡眠導入剤のように入眠する作用は無いので注意して下さい。
睡眠不足はうつとセットとされ、不眠からうつ症状が発症してしまう方もいます。
このような方には、睡眠の質を向上させる目的としてGABAのサプリを摂取するのもありだと思います。
うつぬきコンサルティングの例では、「睡眠薬を飲んでいても眠れない」という方にGABAのサプリを摂って貰うことがあります。これは僕の実体験からオススメしているもので、人によって差があるかもしれません。
オススメGABAサプリ
何度も申し上げますが、GABAをサプリで摂取しても睡眠薬の代わりになるわけではありません。
睡眠には、セロトニンから合成出来る「メラトニン」という神経伝達物質が非常に重要です。
メラトニンについては最初に解説していますが、タンパク質やビタミン、ミネラルがないと合成することが出来ません。
GABAだけに頼らず、セロトニンやメラトニンが合成出来るようにしっかり栄養補給するようにして下さいね。
うつぬきやでは、iHarbのサプリをオススメしています。
500mgと高容量なので、体質によっては合わない方もいますので注意して下さい。
昼に1カプセルまたは夜寝る前に一カプセルを服用するのがオススメです。また、ストレスがかかってイライラしているときに頓服としても飲んでいます。
※高容量のGABAサプリメントを摂取すると、脳みそをこちょこちょされているような、なんとも言えない不快感と皮膚のかゆみが表れることがあります。その場合は量が多すぎますので、いったん中止して様子を見て下さい。
iHarb以外では、DHCのサプリがオススメです。こちらは一粒で200mg摂取することが出来ます。
飲み方は、iHarbのGABAと同じく、昼に1錠または夜寝る前に1錠、ストレスがかかったときに頓服として服用するのがオススメです。
メラトニンのサプリはうつと不眠に効果がある?
メラトニンの合成量減少が、うつ症状や不眠を引き起こしているなら、セロトニンやメラトニンのサプリで直接補給すれば、うつ症状や不眠が良くなるのでは? と思いますよね。
結論を言ってしまうと、メラトニンをサプリで直接摂取するのは、あまりオススメできません。
メラトニンは脳の防御機能である「血液脳関門」を通り抜けてしまい、脳に直接影響を与えます。その為、メラトニンのサプリを飲めば睡眠に効果があるとされている一方、重篤な副作用を引き起こす可能性があります。
Wikipediaには、メラトニンサプリの有効性や副作用について、以下のように書かれています。
メラトニンサプリの有効性
- メラトニンの徐放剤は、2007年に欧州医薬品庁によって55歳以上の人々に対して処方せん医薬品として承認されたが、小さな効果しか示していない。
- 血液脳関門も容易に通り抜けることが出来て、体全体に行きわたる抗酸化物質であると言われている。
- メラトニンの抗酸化作用により生殖細胞が保護(活性化)され、またホルモンバランスも改善されるため、不妊症の治療に有効であるとの報告がある。
但し、メラトニンには後述の「性腺抑制作用」もあり、多く摂取すると月経を止める作用などもあり素人判断による安易な摂取は禁物である。 - 知的障害を対象としたシステマティックレビューでは、その睡眠障害は睡眠までの時間、夜間の覚醒回数を減らし、睡眠時間を増加させていた。
- 別のシステマティック・レビューでメラトニンは疼痛の強さや、鎮痛薬を必要とする人の割合を減少させていた。
メラトニンサプリの副作用
- 悪夢
- 低血圧
- 睡眠障害(昼間に飲むなど服用時刻を間違えると概日リズムを乱すことになる、といった意味)
- 生殖機能の退化
- 腹痛(多量に飲んだ場合は、吐き気などの原因になる、といった意味)
- 専門家の指導が無い限り、14歳以下の子供、妊娠を希望する女性、妊婦、授乳中の女性は使用しないことが勧奨されている
- アメリカやカナダでは処方箋無しで購入でき目立った副作用はないとされてきたが近年、副作用の報告が増えている。
- メラトニンが増加すると性腺刺激ホルモンが抑制されて生殖腺の発達と機能を抑制し(性腺の退化)、逆にメラトニンが減少すると性腺刺激ホルモンが増加し、性腺刺激ホルモンの過剰分泌が思春期早発につながる。
このように、単純に睡眠薬の代わりとしてメラトニンのサプリメントを服用しようとすると、効果がハッキリと断言出来ない上に、睡眠薬よりも重い副作用がある事が分かります。
また、対症療法のようにメラトニンサプリを飲むのは、一時は睡眠の質が改善するかもしれません。しかし、根本からメラトニンを合成出来る体になっていないのであれば、サプリを飲むのをやめればまた不眠の症状が現れます。
「いつまでメラトニンのサプリを飲み続ければいいのか?」
という単純な疑問が湧きますよね。ですので、基本的にはメラトニンのサプリメントを飲んで不眠治療を行うのはオススメしません。
メラトニンサプリの入手方法
それでもメラトニンのサプリメントを飲んでみたいという方は、海外のサプリ販売サイトから個人輸入することで入手できます。メラトニンのサプリは日本では認可されていませんので、日本国内ではメラトニンのサプリメントは手に入りません。
また、個人輸入するにしても、規制があるので購入できる数量に制限があります。以上の事を考慮して、自己責任で行って下さい。
メラトニンのサプリメントは、iHarbで購入することが出来ます。
メラトニンサプリを服用する際の注意点ですが、昼間には絶対に飲まないで下さい。急激な眠気を引き起こし、転倒や意識障害を起こす可能性があります。
このようなリスクをおかしてまでメラトニンを直接補給するよりも、メラトニンやセロトニンの材料となるトリプトファンなどのアミノ酸を摂取して、脳内で合成出来るようになる方が賢明です。
トリプトファンのサプリはうつと不眠に効果ある?
よく、「うつの人はトリプトファンが多く含まれている食べ物がいい」と言われていますよね。トリプトファンとは、脳の神経伝達物質であるセロトニンやメラトニンの材料となる栄養素です。
うつ症状がある人は、このセロトニンの分泌量が減っていて、これが原因でうつ症状が発症していると言われています。
ですので、トリプトファンが多い食べ物を食べれば、体の中でセロトニンに変換され、うつ症状に効果があると言われているのです。また、セロトニンの合成量が増えることでメラトニンの合成量も増え、不眠や過眠などの改善も期待できます。
このトリプトファンをサプリメントで摂取したら、セロトニンやメラトニンの合成量が増えて、うつや不眠が改善するのでしょうか?
結論から言ってしまうと、トリプトファンのサプリを摂取しただけではうつ症状や不眠はよくならないと言えるでしょう。
トリプトファンだけ摂取してもうつ症状や不眠は改善しない
トリプトファンはサプリでしか補えないような感じがしますが、実際は私達が普段食べているものに多く含まれています。
ですので、基本的にトリプトファンが不足することはありません。
実際に普段食べているものにどのくらいのトリプトファンが含まれているのかは、以下の表にまとめました。
トリプトファン含有量が多い食べ物(可食部100gあたり)
白米 | 82mg |
玄米 | 94mg |
パスタ(乾麺) | 140mg |
そば(乾麺) | 170mg |
鮭 | 250mg |
カツオ | 310mg |
マグロ赤身 | 270mg |
豚ロース | 280mg |
鶏むね肉 | 270mg |
木綿豆腐 | 98mg |
豆乳 | 53mg |
バナナ | 15mg |
牛乳 | 82mg |
ピーナッツ | 27mg |
ヨーグルト | 42mg |
表を見ると、バナナ、牛乳、ピーナッツ、ヨーグルトなど、私達が日常的に食べているものにも多く含まれていることが分かります。さらに、これらよりも白米や豆腐、パスタやそばのほうが、トリプトファンは多く含まれていますね。
特に多いのが、魚や肉などの動物性タンパク質です。表では、どれも200mgを超えており、多いものでは300mg以上含まれています。
生活する上で必要なトリプトファンの一般的な摂取量の目安は、体重1kg当たり2mg程度と言われています。これは、体重が50kgの場合はおよそ100mg程度にあたります。
上の表は可食部100g当たりのトリプトファンの量ですから、普通に考えて一日に100g以上は余裕で食べていますよね。つまり、パスタやそば、白米などを200g程度食べれば、一日に必要なトリプトファンは十分に摂取出来ているのです。
それでは、なぜトリプトファンを日常的に摂取しているにも関わらず、うつ症状や不眠が発症してしまうのでしょうか?
それは、うつの原因はセロトニンやメラトニンだけではないからです。
脳の神経伝達物質は、興奮系のドーパミン、抑制系のGABAがあります。この2つのバランスを調節しているのがセロトニンです。
シーソーで例えると下図のように、支点の役割を担っています。
うつ症状を発症している方は、セロトニンだけでなく、ドーパミンやGABAの分泌量も減っています。ですので、セロトニンだけを補っても、肝心のシーソーのバランスが整いません。
うつ症状を改善するには、これらの神経伝達物質の材料となる栄養素をまんべんなく摂取することが重要です。
この神経伝達物質の材料となるのが、牛肉などの「タンパク質」なのです。なぜ、タンパク質と脳の神経伝達物質が関係あるのでしょうか。
それは、肉を摂取すると、胃酸などで分解されてアミノ酸になり、このアミノ酸が脳の神経伝達物質の材料になるからです。
分子整合栄養医学の観点からうつと不眠にオススメのサプリ・栄養素
上述した「GABA」や「メラトニン」「トリプトファン」などをサプリで補うのは、「眠れるようになる成分を補給する」という対症療法です。
補給すれば一時的に眠れるようになるかもしれませんが、やめればまた眠れなくなってしまいます。そんなものを飲み続ける事が、体にとって良いことなのでしょうか?
分子整合栄養医学(オーソモレキュラー療法)は違います。
体内で必要な物質は自分の力で作り出せるように、分子(栄養)レベルで体を整える療法です。ですので、セロトニンやメラトニンが不足しているなら、その元となっている栄養素や合成に必要な栄養素を補給することで、自らが作り出せるようにする「根本治療」になります。
分子整合栄養医学では、GABAやメラトニン、トリプトファンのサプリを摂取することよりも、タンパク質の摂取をオススメしています。
タンパク質を摂取すると、胃で分解されてアミノ酸になります。このアミノ酸が、GABAやセロトニン、ドーパミン等の材料になるのです。
タンパク質から脳の神経伝達物質を作り出せるようになれば、わざわざメラトニンなどのサプリを飲まなくても、体内で作れるようになります。この結果、薬やサプリに頼らなくてもうつ症状や不眠が改善していくのです。
そのためには、まずタンパク質から脳の神経伝達物質が作られる過程をしっかり理解しましょう。
うつ、不眠にはタンパク質が鍵!
まず理解して欲しいのは、脳の神経伝達物質は「タンパク質から作られる」ということです。
下図は、タンパク質が分解されてアミノ酸になるまでと、アミノ酸から脳の神経伝達物質に合成されるまでの過程を表したものです。
まず、タンパク質を摂取すると体内で何種類ものアミノ酸に分解されます。
この中でも、脳神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。
このアミノ酸は、ビタミンやミネラルを元に、神経伝達物質である「ドーパミン」や「セロトニン」、「GABA」に合成され、消費されていきます。
表では、下に向かっていくごとにアミノ酸から様々な神経伝達物質に合成されています。項目の間に書かれているものが、合成に必要な栄養素です。
表の中で特に注目して欲しいのが、左側にある「L-グルタミン酸」から「GABA」への合成です。グルタミン酸は興奮系の神経伝達物質として働きますが、分泌量が多くなるとビタミンB6等を利用して抑制系のGABAへと変換されます。
こうやって脳内の神経伝達物質はバランスを取っているのですが、ビタミンB6が足りないと上手く変換できなくなり、GABAが不足してしまいます。これが自律神経が乱れる原因となり、しいてはうつ症状がおこるのです。
ですので、脳内のGABAを正常に分泌させるには、GABAをサプリなどで直接摂取するのでは無く、「グルタミン酸」と「ナイアシン」「ビタミンB6」を摂取して、脳内で合成出来るようにする方が賢明です。
では次に、セロトニンとメラトニンの合成の場合を見てみましょう。
表右にある、L-トリプトファンから5-HTPに合成する時には、葉酸、鉄、ナイアシンが必要になります。上述した「トリプトファンが多く含まれている食べ物」の栄養素を見てみると、そのほとんどに鉄分が入っていません。
鉄分が足りなければ、どれだけ食べたところでアミノ酸が神経伝達物質に合成されることはなく、そのまま体外に排泄されてしまいます。
これは、トリプトファンのサプリメントでも同じ事が言えます。トリプトファンをサプリメントで摂取しても、鉄分や葉酸、ナイアシンが無ければセロトニンには合成されません。
このように、特定の栄養だけを摂取しても、他の栄養素が足りなければ脳の神経伝達物質を合成することが出来ないのです。
GABAやメラトニンだけにこだわらず、全ての神経伝達物質を正常に分泌出来るよう、十分なタンパク質の摂取と、ビタミン、ミネラルを摂取しましょう。
タンパク質は、鳥、豚、牛などの肉や魚、卵、大豆を食べることで摂取することが出来ます。しかし、うつで食欲が無い状態で十分な食事を食べることは難しいですよね。
そこで、タンパク質の補給源としてプロテインを摂取することをオススメしています。
プロテインには、ホエイやソイなど様々な種類がありますが、どのプロテインが良いのかについては、プロテインはうつ病に効果的? 分子栄養医学の観点からオススメのプロテインを紹介!で詳しく解説していますので参考にして下さい。
ビタミンとミネラルの補給が重要!
上述したように、タンパク質はうつの改善に必要な脳内神経伝達物質の材料になります。タンパク質の分解にはビタミンB群とミネラルが必要になりますので、積極的に摂取しましょう。
表の中では、必要な栄養素としてビタミンB6や葉酸、ナイアシンなどのビタミンしか書かれていませんが、実際には全てのビタミンをまんべんなく摂取する事が必要です。
ビタミンB6や葉酸、ナイアシンは「ビタミンB群」と呼ばれ、お互いに協力し合って始めて効果を発揮します。ですので、表には書かれていませんがビタミンB2やビタミンB12など、その他のビタミンB群も同時に摂取する必要があるのです。
これは、ミネラルも同じ事が言えます。表の中ではカルシウムやマグネシウム、鉄が必要と書かれていますが、他にも亜鉛や銅などのミネラルも健康な体を作るのに必要です。
ですので、ビタミンとミネラルはまんべんなくかつ十分に摂取するのがオススメです。
具体的にどのサプリを飲んだら良いのかについては、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのiHarbサプリを紹介!で詳しく解説していますので、参考にしてみて下さい。
うつと不眠を改善するサプリはある? まとめ
以上が、うつと不眠の関係性と、一般的に不眠に効くと言われているサプリ、分子整合栄養医学の観点からオススメの栄養素の解説でした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- 不眠の原因はセロトニンとメラトニンの分泌不足
- セロトニンの分泌が減るとメラトニンも分泌が減る
- セロトニンとメラトニンは体内時計を司っている
- 不眠を治すには、先に原因を無くすことが重要
- 糖質、カフェインの摂取を控え、精神薬を見直す
- GABA、メラトニン、トリプトファンのサプリは眠りに効果があると言われている
- 分子整合栄養医学の観点では、これらのサプリを摂取するのはオススメしない
- タンパク質、ビタミン、ミネラルで脳の神経伝達物質を作り出せるようになる事が重要
という感じです。
基本的には、タンパク質とビタミン、ミネラルを摂取しつつ、GABAや睡眠薬で眠りを調節していくという感じですね。
当たり前のことですが、タンパク質とビタミン、ミネラルを補給したからといってすぐに眠れるようになるわけではありません。体質改善には時間がかかります。
その間は、主治医と相談の上、睡眠薬や睡眠導入剤で眠りを確保していくことは必要でしょう。不安感やイライラが酷いようであれば、抗うつ剤や安定剤などの精神薬も用いる必要があります。
薬はあまり飲みたくないと思いますが、必要に応じて対症療法を組み合わせることは重要です。酷い不眠の場合は、対症療法をしつつ栄養補給を行っていきましょう。
体質改善の方法や、うつを克服する詳しい方法は、下記の「うつぬき完全攻略マニュアル」にまとめてあります。
今なら無料でプレゼントしていますので、是非参考にしてみて下さい。