近年では、「うつ症状と乳酸菌が深く関わっている」ということを明らかにした研究報告がされるようになってきました。
もし、乳酸菌がうつ症状の原因なら、乳酸菌をサプリで補給すれば抗うつ剤や安定剤などを飲まなくてもうつヌケできることになります。これが本当だったらありがたいですよね。
しかし、なぜ乳酸菌とうつ症状が関係あるのでしょうか? 乳酸菌なんて、ヨーグルトなどを食べていれば簡単に補給することが出来るのに、なぜほとんどの人はうつを発症してしまうのでしょうか?
今回は、乳酸菌についてと、乳酸菌とうつの関係、オススメのサプリについて、詳しく解説します。
目次
乳酸菌とは?
乳酸菌とは、炭水化物などの糖を消費して乳酸をつくる細菌の総称です。
乳酸菌の種類は多種多様で、腸内環境にいい菌と悪い菌がいます。いい菌を摂ることにより、腸内を酸性側に傾け腸内の腐敗を抑えたり、腸のぜん動運動を助けて便秘を改善する効果があります。
似たような菌として「ビフィズス菌」がありますが、こちらも乳酸菌と同様、腸内で主に乳酸、酢酸を生成し、悪玉菌の定着や増殖を防ぎ、腸内環境を整えてくれます。
この2つの菌は活動領域も異なり、乳酸菌は主に小腸で働き、ビフィズス菌は主に大腸で働くため、どちらもあることでより健康な腸に導くことができます。
さらに最近の研究によって、腸内環境だけでなく、免疫機能の向上や、中性脂肪・血中コレステロール値の低下といったはたらきも知られてきました。
そうしたことから、近年、乳酸菌はプロバイオティクス(腸内細菌のバランスを改善することによって健康によい影響を与える微生物)として注目されています。
乳酸菌サプリとうつの関係
乳酸菌といえば、腸内環境を思い浮かべる方も多いと思いますが、近年では腸内細菌が脳の機能に影響を与えること (脳腸相関) が報告され、うつ病の発症要因として注目されるようになってきました。
乳酸菌で有名なヤクルトでは、腸内の善玉菌とうつ病との関係を明らかにした研究結果を公開しています。
https://www.ncnp.go.jp/up/1465432520.pdf
また、国立精神・神経医療センターでは、うつ病の方を対象に、腸内環境を改善する可能性のある乳酸菌飲料を3ヶ月摂取する臨床研究に参加してくれる人を募集するなど、うつと乳酸菌との関係について本格的な研究が進められています。
https://www.ncnp.go.jp/nin/guide/r3/psycho-test/probiotics_trial.pdf
このように、腸内環境とうつは非常に密接な関係があると考えられているのです。
腸内環境とうつ症状は密接な関係がある
もし、あなたのうつ症状が乳酸菌やビフィズス菌などの「腸内細菌によってもたらされている」としたら、あなたはどう思うでしょうか。
腸内細菌(ちょうないさいきん)とは、人や動物の腸の内部に生息している細菌のことで、人の場合では約3万種類、100兆〜1000兆個が生息し、1.5kg-2kgの重量になると言われています。
腸は、この腸内細菌の力を借りて消化・吸収を行っています。腸内細菌のバランスが崩れれば、腸の健康も崩れ、腸の健康が崩れると脳の健康も崩れるというように、相互に影響を及ぼしています。
つまり、腸の健康状態と共に、脳の健康状態をも決定づける重要な要因が腸内細菌なのです。このような関係を「脳腸相間」(のうちょうそうかん)といいます。
この腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌が有名ですが、どっちつかずの日和見(ひよりみ)菌が圧倒的に多いのです。
日和見菌は、善玉菌が優勢であれば善玉化し、悪玉菌が優勢であれば悪玉菌化するという性質を持ち、日和見菌をどれだけ善玉化させることが出来るかが腸内環境を改善するポイントになります。
そこでよく言われるのが、「腸内環境を整えるためには善玉菌が多く含まれているヨーグルトを積極的に摂取しましょう」です。
ヨーグルトには確かに乳酸菌が多く含まれていますが、分子整合栄養医学の観点から見ると、実はヨーグルトはうつに効果が無いどころか、逆効果となるのです。
この理由について、理解しておきましょう。
乳酸菌の補給は、植物性もしくはサプリメントで!
乳酸菌には、大きく分けて「動物性乳酸菌」と「植物性乳酸菌」があります。乳酸菌を摂取するときは、植物性乳酸菌がオススメです。
理由としては、ぬか漬けやキムチ、味噌等の劣悪な環境下で生息する植物性の乳酸菌は酸に強く、生きたまま腸に届くことが分かっています。
逆に、ヨーグルトに含まれている動物性乳酸菌は酸に弱い性質があり、胃酸や胆汁酸に触れるとほとんどが死滅してしまいます。
同じ乳酸菌でも、これほどまでに生命力が違うのは何故なのでしょうか? 日経スタイルの記事に以下のような記述があります。
「植物性乳酸菌は厳しい環境でも育つからです。動物性乳酸菌は牛乳の乳糖をエサにして、30~35度に保温され、厳密に衛生管理された環境でつくられます。これは、低温だと育たず、他の菌と共生することができないから。一方、植物性乳酸菌は豊富とはいえない野菜のブドウ糖をエサに育ちます。漬物だるの中は塩分や酸が多く、しかも、寒い場所に置かれます。これは、菌にとっては過酷な環境。さらに、ヨーグルトほど衛生面は厳密に管理されないため、入り込んできたさまざまな細菌や酵母と生存競争をしながら生き延びます。動物性乳酸菌が大事に育てられたおぼっちゃまだとすると、植物性乳酸菌は過酷な環境で生き延びた野生児といえます」(東京農業大学名誉教授の小泉幸道さん)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO13706730W7A300C1000000?channel=DF140920160927
このように、過酷な生存環境で生き抜いてきた植物性の乳酸菌は、胃酸や胆汁酸をものともせず、腸内まで届きます。腸内に入った後も生存競争を勝ち抜くために戦い続けるのです。
この生命力こそが、悪玉菌をやっつける力、しいて言うなら整腸作用に繋がります。
もし、動物性の乳酸菌が胃酸を逃れて腸まで届いたとしても、他の強い菌にすぐにやられてしまい、過酷な腸内で生き抜くことが出来ません。
つまり、ヨーグルトに含まれる動物性の乳酸菌は、整腸作用にほとんど効果が無いと言えるのです。
ヨーグルトは腸の炎症の原因になる
ヨーグルトのデメリットは、動物性乳酸菌の死滅だけではありません。ヨーグルトのタンパク質が腸の炎症の原因となるので、ヨーグルトを食べることで逆に腸内環境が悪くなってしまうのです。
ヨーグルトの主成分は、「カゼイン」というタンパク質です。牛乳のタンパク質には2種類あり、ヨーグルトの上澄みに出来る透明の液体が「ホエイ」と呼ばれるタンパク質、白くドロドロと固まっているものが「カゼイン」というタンパク質です。
ヨーグルトの悪影響は、このカゼインタンパクの影響が最も大きいと言えるでしょう。
カゼインは、分解されにくい構造をしているため、消化されないまま小腸に到達し、その場に残ってしまいます。
健康な腸なら有害になることはありませんが、うつ病などの質的な栄養失調により腸が弱っていたり、腸内環境が悪かったりすると、腸粘膜に入り込み、炎症を起こしてしまうのです。
さらに、カゼインを構成しているペプチドが分解されないまま体内に入ってしまうと、脳の中枢神経に麻薬同様の作用をもたらします。
これは、カゼイン由来のグリアジンのアミノ酸配列が「モルヒネ」にそっくりなことから、脳が誤認識をして脳の受容体にくっついてしまうのです。
すると、シナプスから出てくる正常な神経伝達物質の分泌を阻害するため、こころの安定に必要なセロトニンやドーパミン、GABAなどが出づらくなったり、過剰に分泌されてしまったりします。
この結果、イライラする、うつ症状が出る、眠気が起きる、ぼーっとするというような、心身に悪影響を与えるのです。
胃腸や腸が健康な状態であれば、カゼインタンパクが腸粘膜に入り込むことは少ないので、ヨーグルトの摂取は一定のメリットがあります。
しかし、うつ症状がある人は腸粘膜が弱っている可能性が高いので、ヨーグルトの摂取はデメリットしかありません。
うつ症状の改善を目的とするなら、乳酸菌の補給は植物性の乳酸菌を食べ物で摂取するか、サプリメントで補うようにしましょう。
乳酸菌飲料も避ける
乳酸菌の摂取としては、ヨーグルト以外にも「乳酸菌飲料」があります。乳酸菌飲料の場合は、乳酸菌が生きて腸まで届くことが臨床によって明らかになっているものが多く販売されています。
加えて、ヨーグルトのような腸に炎症を起こすようなタンパク質は含まれていません。
この2つの条件を見ると、乳酸菌飲料の摂取は腸内環境の改善に役立ってくれると思いますよね。ですが、分子整合栄養医学の観点でみると、乳酸菌飲料の摂取はオススメしていません。
その理由としては、「糖分が多すぎる」からです。
乳酸菌飲料は、果糖ブドウ糖液糖や砂糖などの精製された糖質が大量に配合されています。この糖質は、腸カンジタの餌になるため、腸内細菌のバランスを乱してしまうのです。
腸カンジタは、カビのようなもので、私達の体のどこにでもいる常在菌です。
カンジタは甘い物(砂糖・果糖)や糖質(パンやうどん、パスタなど)、が高い物、鉄分が大好きで、これらを餌にどんどん増殖します。
また、カンジタには風邪などで処方される抗生物質が効きません。抗生物質はその他の善玉菌なども殺してしまうため、カンジタが増殖する原因となるのです。同様の現象としては、ステロイド剤、ピルの服用などもカンジタを増殖させます。
増殖したカンジタは腸粘膜にダメージを与え、消化吸収能力を弱らせてしまいます。摂取した栄養素が吸収出来なくなり、更にアミノ酸から神経伝達物質の合成に必要な「Fe(鉄分)」をどんどん奪ってしまうので、脳に必要な栄養素が作られなくなってしまいます。
これによって、疲労感だけで無く、うつ症状まで引き起こしてしまうのです。「カビがうつ症状に関係あるわけがない」と思われるかもしれませんが、このような理由から知らず知らずのうちに脳の栄養が不足してしまうのです。
ですので、腸内環境を整えたいときはカンジタの餌となる糖分をなるべく含まない物を選ぶのが良いでしょう。
うつぬきやでは、植物性乳酸菌が含まれている食べ物か、乳酸菌をサプリで摂取する事をオススメしています。
植物性乳酸菌が含まれている食べ物と、オススメの乳酸菌サプリ
上述したように、乳酸菌飲料は糖質が多く腸カンジタの餌となってしまうこと、ヨーグルトは乳酸菌の補給、タンパク質の補給共に適していない食材である事が分かって頂けたかと思います。
このような理由から、乳酸菌を摂取したいときは、植物性の乳酸菌もしくはサプリメントからの摂取がオススメです。
具体的に、植物性の乳酸菌を補給したい場合はどのような食材を食べれば良いのでしょうか。植物性の乳酸菌が多く含まれている食べ物は、以下のようなものです。
- キムチ
- ぬか漬け
- 味噌(そのまま)
その他、野沢菜、たくあんなど時間が経つと酸味が出てくる漬物にも植物性の乳酸菌が多く含まれています。
しかし、最近では殺菌したキムチや漬物、調味料で味付けした漬物など、発酵させていない食品がスーパーでは多く販売されるようになりました。
生きたままの乳酸菌を摂りたい場合は、スーパーに売っているようなものではなく、漬物屋さんなどで手作りしているものを選ぶと良いでしょう。
これらの食べ物がなかなか手に入りにくい場合は、サプリメントで補うのがオススメです。
うつぬきやがオススメするサプリメントは、iHarbで販売されている8種類の臨床研究済み活性プロバイオティック菌株を使った乳酸菌、ビフィズス菌サプリです。
この菌は、胃酸や胆汁酸などの酸に強いことが臨床によって確認され、腸細胞株に付着することが研究で示唆されています。
このように、サプリメントを選ぶ際は胃酸に強いことに加え、腸に届くことが確認されている菌が配合されているものを選ぶことが重要です。
うつぬきやではiHarbのサプリメントをオススメしています。
上記の商品を見てみると分かりますが、iHarbというサイトで販売されているサプリメントをオススメしています。
iHarbはアメリカのサプリ販売サイトですが、日本語や代引きに対応しているので安心して買い物をする事が出来ます。
サプリの品質や含有量、吸収率なども日本製よりアメリカのサプリのほうが進んでいますので、体の栄養を分子レベルで整えるなら、高品質なアメリカのサプリがオススメです。
iHarbが何故おすすめなのかや、具体的な購入方法などは、うつぬきサプリはどうやって買えばいい? iHarbの購入方法を徹底解説!で解説していますので参考にしてみて下さい。
乳酸菌サプリが直接うつを治す作用はない
ここまで読んで頂いていきなり話の骨を折るようで申し訳ございませんが、1つ理解して頂きたいことがあります。それは、乳酸菌サプリが直接うつ症状を治してくれる訳ではないということです。
これまでの話しの流れから、乳酸菌がうつ症状を改善してくれるなら、「乳酸菌サプリを飲めばうつが治るじゃん!」と思っていたかもしれませんが、うつ病の克服はそう単純なことではありません。
腸内環境以外にも、質的栄養失調や冬期うつ、産後うつなど、様々な種類と原因のうつがあります。腸内環境の悪化が脳に悪影響を及ぼし、うつ症状を引き起こしているというのは、あくまでうつの原因の1つに過ぎないのです。
このような様々なうつの原因については、うつ病が発症する原因とは? メカニズムと要因を解説で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。
また、乳酸菌サプリが直接うつ症状をなくしてくれるという作用はありません。あくまで乳酸菌を摂取したことで腸の環境が整い、腸の環境が整ったことで脳の調子も良くなったという「脳腸相間」の改善が前提にあります。
いくら乳酸菌のサプリを飲んでいたとしても、腸内環境が悪化するような食生活や生活習慣をしていては、腸内環境が良くなることはありません。
乳酸菌のサプリだけに頼らず、普段の食生活や生活習慣の見直しも同時に行うようにしましょう。
善玉菌の餌になる食物繊維やオリゴ糖も重要
乳酸菌やビフィズス菌のサプリメントに含まれている菌は、基本的に善玉菌と呼ばれる整腸作用がある菌です。
この善玉菌をサプリで補給するのは良いことですが、同時に餌となる食物繊維やオリゴ糖などを摂取する事が何よりも重要です。
腸内環境では、善玉菌と悪玉菌が常に戦っていますが、サプリでいくら補給しても善玉菌が100%になる事は絶対にありません。善玉菌と悪玉菌のバランスは、あなたが食べるものに強く影響を受けるからです。
そして、腸内環境を整えるには、善玉菌の補給に限らず、日和見菌を味方につけることが重要です。日和見菌は、どちらか強い勢力の味方に付くので、この日和見菌をいかに多く善玉化させられるかが腸内環境を整えるポイントとなります。
食物繊維やオリゴ糖は、善玉菌の餌となるので善玉菌が増えます。すると日和見菌も善玉化させることが出来ます。逆に、糖質などの悪玉菌が好む物を食べると悪玉菌が増えてしまい、日和見菌も悪玉化してしまいます。
腸内環境を整えるには、乳酸菌のサプリメントだけに頼らず、食物繊維やオリゴ糖など、善玉菌の餌となる食べ物も積極的に摂取するようにしましょう。
食物繊維が含まれている物としては、昆布やわかめなどの海藻類やキノコなどがあります。オリゴ糖が多く含まれている物としては、大豆やゴボウ、アスパラガス、タマネギ、トウモロコシ、にんにくなどがありますので、これらの食べ物を積極的に食べるようにして下さいね。
乳酸菌サプリはうつに効果ある? 分子整合栄養医学の観点から乳酸菌とうつの関係を徹底解説!まとめ
以上が、乳酸菌についてと、乳酸菌とうつの関係、オススメのサプリメントでした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- 乳酸菌は、うつと非常に関係が深く、具体的な研究結果が出ている
- 乳酸菌を摂取したことで腸内環境がよくなり、脳機能も回復したとされる「脳腸相間」の見方が有力
- 乳酸菌は、動物性乳酸菌と植物性乳酸菌がある
- ヨーグルトなどの動物性乳酸菌は、酸に弱く生きて腸まで届かない
- ぬか漬けや味噌などに含まれている植物性乳酸菌は生きて腸まで届く
- ヨーグルトや乳酸菌飲料は、逆に腸内環境を悪くする恐れがある
- 乳酸菌を摂取するときは、植物性乳酸菌もしくはサプリメントがオススメ
- 乳酸菌を摂取するときは、食物繊維やオリゴ糖など善玉菌の餌も一緒に食べる
こんな感じですね。
ヤクルトや国立精神・神経医療センターでは、うつの原因を乳酸菌にフォーカスしていますが、分子整合栄養医学の観点から見ると、乳酸菌よりも「食物繊維」の方が重要だと感じています。
乳酸菌のサプリメントを摂取すれば一時的に善玉菌を増やす事が出来ますが、これを維持していくには普段の食生活が重要となります。普段の食生活で善玉菌を増やす事が出来たら、乳酸菌のサプリメントをずっと飲み続けなくても良くなりますよね。
これこそが、本当の「調子が良い状態」ではないでしょうか。
対症療法的に乳酸菌のサプリメントを飲み続ける事は、本当の意味での「完治」ではないのです。サプリメントだけに頼らず、食物繊維を多く摂るなど普段の食生活や生活習慣の見直しも同時に行いましょう。
今回は乳酸菌とうつの関係に限ってお話ししてきましたが、うつ病の原因は、亜鉛不足以外にもタンパク質やビタミン、鉄などのミネラル不足や悪い脂の取り過ぎでもうつ症状が現れる事があります。
ですので、乳酸菌や腸内環境だけに拘らず、全体的に食生活や生活環境、栄養状態を改善することが重要です。
うつの原因や詳しいうつヌケの仕方については、下記の「うつぬき完全攻略マニュアル」で全てを解説しています。今なら無料でプレゼントしていますので、是非参考にして下さい。