うつ病の原因は脳の神経伝達物質である「セロトニン不足」であるというのが一般的ですが、中には「マグネシウム不足」がうつ症状と関係していると書かれている情報もありますね。
もし、マグネシウム不足がうつ症状の原因なら、マグネシウムを補給すれば抗うつ剤や安定剤などを飲まなくてもうつヌケできることになります。これが本当だったらありがたいですよね。
しかし、なぜマグネシウムとうつ症状が関係あるのでしょうか? マグネシウムなんて、ほとんどの人に足りているような栄養素なのに、なぜうつを引き起こすのでしょうか?
今回は、マグネシウムという栄養素についてと、マグネシウムとうつの関係、オススメのサプリについて、詳しく解説します。
目次
マグネシウムとは?
マグネシウムなんて、普段はほとんど聞いたことも意識したこともない栄養素だと思います。まずは、マグネシウムという栄養素がどんな働きをしているかについて解説しますね。
マグネシウムは、カルシウムと同じく骨や歯の形成に必要な栄養素です。大人の体には20~28gほど含まれ、カルシウムやリンとともに骨をつくっているミネラルです。他にも、300種もの酵素反応に関わっているといわれています。
骨はカルシウムとマグネシウムの貯蔵庫の役割も果たしていて、およそ50%〜60%のマグネシウムが含まれています。そして、血中のマグネシウム濃度が低下すると、骨からマグネシウムをとりだして、常にマグネシウムの量を一定に保とうとしています。
血中マグネシウムは、神経の興奮を抑えたり、エネルギーを作る助けや、血圧の維持などの重要な働きに利用されています。
では、このマグネシウムが不足してしまうとどのような影響が起こるのでしょうか。
マグネシウム不足の症状
マグネシウムが不足すると次のような症状や病気が起こる可能性が出ます。
- 低カルシウム血症
- 骨粗しょう症
- 心疾患
- 筋肉の痙攣(けいれん)
- 冠動脈のれん縮
- 神経・精神疾患
- 不整脈
- 食欲不振
- 下痢、便秘 など
このように、マグネシウム不足は様々な影響をもたらします。
よく見てみると、リストの中に「神経・精神疾患」という症状がありますね。これは、うつとどのような関係があるのでしょうか? 次の項目で詳しく見ていきましょう。
マグネシウムとうつの関係とは
マグネシウムは、骨や歯を強くする以外にも、脳機能や筋肉の収縮など、様々な人体機能と深い関わりがあります。
マグネシウムが神経と深く関わっているなら、マグネシウム不足がうつ症状と何らかの関係性があってもおかしくないですよね。
結論を先に言ってしまうと、マグネシウムの不足が直ちにうつ症状に発展することはありません。もちろん、重度のマグネシウム不足が続けばうつ症状になるかもしれませんが、その前に骨からマグネシウムを取りだして使いますので、マグネシウムの血中濃度が極端に低くなることはほとんど無いからです。
ですので、マグネシウム不足がうつ症状や感情に直ちに影響を与えることはほとんどありません。
重度のマグネシウム不足は、うつや精神疾患の元になる
とは言っても、マグネシウムとうつが全く関係ないわけではありません。実際に、重度のマグネシウム不足はうつ症状や精神疾患の原因になるという研究結果が出ています。
以下は、IME医療教育研究所からの引用です。
マグネシウム低下が精神機能に影響
生体内のマグネシウムは精神的ストレスにより量的に低下することから, 中枢神経機能においても重要な役割を担っていることが知られている。マグネシウムの低下がうつ病や月経前不快気分障害に関与していることや, 大うつ症状の代表的な症状である自殺企図が現れている患者の脳脊髄液においてマグネシウムが低下しているなど, マグネシウムと情動障害の関連について様々な報告がある。また, 双極性のうつ病患者にマグネシウム(アスパラギン酸マグネシウム塩酸塩として) を投与すると情動面において有効性が認められたという報告がある。マグネシウムは日常の食生活により体内に必要な量を十分に維持できるといわれている。しかし, 過剰なアルコール摂取や利尿薬の長期投与などによりマグネシウム不足が生じること, さらに, 精神的ストレスにより生体内のマグネシウムが量的に低下することが知られている。ストレス社会といわれる現代は, マグネシウムの低下を起こしやすい環境である。また, 基礎的研究においても, マグネシウムの低下がうつ様症状や不安症状などの精神障害の成因に関わっている可能性が考えられている。低マグネシウム含有食で飼育したマウスにおいて不安様, うつ様症状を発現することや, マグネシウムを投与が, 抗不安, 抗うつ作用を認めたことが行動薬理学的試験により示された。したがって, マグネシウムの低下が精神障害の成因に関わっている可能性が考えられる。
この記事では、マグネシウム不足はうつ症状や情動障害との関連を報告しています。マグネシウム不足になる原因としては、「ストレス環境」と「生活習慣や食生活」があげられています。
ストレスとマグネシウムの関係は、ストレスが加わると尿でマグネシウムが排泄されてしまうことが確認されています。下図は、寒さや精神的なストレスがかかったときの、尿中マグネシウム排泄量の変化です。
ストレスをコントロールした青線に比べ、ストレスをかけた赤線のほうがより多くのマグネシウムが尿で排泄されていることが分かります。
しかし、マグネシウムの排泄量が増えたからと言って、すぐにうつ症状や精神疾患に結びつくわけではありません。
なぜなら、健康な人であればマグネシウムが足りなくなってくると、腎臓がマグネシウムの尿中排泄を制限し、かつ骨という貯蔵庫からマグネシウムを取り出すことが出来るので、基本的にマグネシウムの欠乏状態にまで発展することはまれでしょう。
マグネシウムの欠乏まで発展する可能性としては、健康上の理由から日常的にマグネシウムの摂取量が少ない場合やマグネシウムの喪失量が過剰な場合、あるいは慢性アルコール依存症やある種の薬物を服用している場合など、他の疾病などが原因としてある場合がほとんどです。
このようなマグネシウムが欠乏しやすい疾病や状態について、厚生労働省の「統合医療」情報発信サイトでは、以下のように解説しています
マグネシウム欠乏のリスク群
マグネシウム不足は、マグネシウム摂取量がRDAを下回っているものの明らかな欠乏症を防ぐために必要とされる量は満たしている場合に起こる可能性がある。次の集団は、十分な量のマグネシウムを摂取していない場合が多いか、または腸管でのマグネシウム吸収を低下させたり、体外へのマグネシウム喪失量が増加したりするような病状が認められる(あるいは薬剤を服用している)ため、他の集団よりマグネシウム不足のリスクが高いと考えられる。
消化器疾患を有する人
クローン病、グルテン過敏性腸症(セリアック病)、限局性腸炎が原因の慢性下痢症や脂肪吸収不全症によって、徐々にマグネシウム欠乏が起こることがある。小腸、特に回腸の切除術やバイパス術を受けると、多くの場合、マグネシウム吸収不全やマグネシウムの喪失が認められる。
2型糖尿病の人
インスリン抵抗性糖尿病または2型糖尿病では、マグネシウム欠乏や尿中マグネシウム排泄量の増加が起こる可能性がある。マグネシウムの喪失は、腎臓におけるグルコース濃度が上昇し、尿量が増加した後に起こると考えられる。
アルコール依存症の人
マグネシウム欠乏症は、慢性アルコール依存症の人によく見られる疾患である。慢性アルコール依存症の人では、食事摂取量が少なく栄養状態が不良であること、膵炎に起因する嘔吐、下痢、脂肪便などの消化管異常、尿中への過剰なマグネシウム排泄を伴う腎機能障害、リン酸欠乏、ビタミンD欠乏症、急性アルコール性ケトアシドーシスおよび肝臓病に伴う高アルドステロン症などが、すべてマグネシウムを減少させる原因となり得る。
高齢者
高齢者では、若年成人より食事由来のマグネシウム摂取量が減少します。さらに、年齢と共に腸管でのマグネシウム吸収が低下し、腎臓からのマグネシウム排泄が増加します。また、高齢者は慢性疾患に罹患しやすく、マグネシウムの状態を変化させる薬剤を服用していることも多いため、マグネシウム欠乏のリスクが増加する可能性がある。
このように、疾病や依存症、高齢化などを起因としたマグネシウム不足の場合がほとんどです。このような症状がなければ、マグネシウムの欠乏症にまで発展する可能性は低いと言えるでしょう。
ただ、だからといってマグネシウムの補給や食生活の改善などをしなくて良いわけではありません。現代の食事は、パンや白米、うどんやラーメンなどの炭水化物に偏りがちになっています。
さらに、低賃金で過労死させるほど働かせるブラック企業がまんえんし、相当なストレス社会になっています。
このような食生活や生活習慣では、日常的にタンパク質やビタミン、ミネラルが不足し、ストレスによって栄養が流れ出てしまっています。体内の栄養が枯渇し、「質的栄養失調」になってしまうのも時間の問題と言えるでしょう。
質的栄養失調とは、お腹いっぱい食べているにも関わらず、栄養の質的に栄養失調になってしまう状態です。
このような食生活や生活習慣では、上述の研究結果のように、マグネシウムが欠乏してうつになってしまう可能性は十分あります。
マグネシウム不足からくるうつにならないためにも、日頃から食生活や生活習慣には気をつけるようにしましょう。
オススメのマグネシウムサプリ
ここでは、マグネシウムのサプリを紹介していますが、サプリでマグネシウムを補給する必要はあまりありません。
マグネシウムの一日に必要な量は、健康長寿ネットによると、成人女性は1日に約270〜290ミリグラム、成人男性は340~370ミリグラムの摂取が基準とされています。
この基準量はもっと高くするべきという研究もありますが、適切な量は定まっていません。
ですので、もしマグネシウムの不足が心配なら、適した量について医師と相談したほうがいいでしょう。マグネシウムの不足や補給する量は個人差が大きく、サプリでマグネシウムを取りすぎると下痢や胃の痛みなどの副作用が現れます。
マグネシウムのサプリを飲んでお腹が緩くなったり、下痢になった場合は、その人にとって過剰だったということになります。
逆に、食品からマグネシウムをたっぷりとったとしても、マグネシウムの取りすぎにはなりません。というのも、体は、食物に含まれるマグネシウムの30~40%ほどしか吸収できないからです。
アーモンド、カシューナッツ、ほうれん草、豆乳、大麦、黒豆、いんげん豆、枝豆、ピーナッツバター、全粒粉のパン、アボカド、ジャガイモ、プレーンヨーグルト、玄米などを食べたほうがいいでしょう。
すべて1食あたり40mg以上のマグネシウムを含んでいます。
マグネシウムの補給は、基本的には食事から摂取し、どうしても足りない場合はサプリメントで補いましょう。
では、実際にどのマグネシウムのサプリを飲んだらいいのかについてですが、うつぬきやではiHarbのサプリメントをオススメしています。
iHarbはアメリカのサプリ販売サイトですが、日本語や代引きに対応しているので安心して買い物をする事が出来ます。
サプリの品質や含有量、吸収率なども日本製よりアメリカのサプリのほうが進んでいますので、体の栄養を分子レベルで整えるなら、高品質なアメリカのサプリがオススメです。
iHarbが何故おすすめなのかや、具体的な購入方法などは、うつぬきサプリはどうやって買えばいい? iHarbの購入方法を徹底解説!で解説していますので参考にしてみて下さい。
うつぬきやでは、数あるマグネシウムのサプリメントの中でもマグネシウムとカルシウムがバランス良く配合されている物、ビタミンDが配合されているものをオススメしています。
カルシウムは、マグネシウムとセットで働く重要なミネラルの1つです。カルシウムとマグネシウムが一定の比で存在することが、私たちのからだの調子を整えてくれるのです。
ですので、マグネシウムを摂るときはカルシウムが理想の比率で配合されているサプリメントがオススメです。
摂取するときの比はカルシウム:マグネシウム=2:1とする文献が多いですが、その比は1:1がいいのではないか、という意見もあります。
また、ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける栄養素です。ビタミンDがないと、カルシウムはほとんど吸収することが出来ません。ですので、サプリで摂るときはビタミンDが配合されているものがいいでしょう。
ここではカルシウムマグネシウムのサプリを紹介していますが、極度のミネラル不足でない限り、マルチミネラル程度のサプリでも十分補給することが出来ます。
また、重度のマグネシウム不足はうつの原因の1つですが、この他にもうつの原因は様々です。原因によって補給したほうがいい栄養素が違いますので、あなたのうつがどの原因から来ているのかをしっかり理解した方が良いでしょう。
具体的なうつの原因については、うつ病が発症する原因とは? メカニズムと要因を解説で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。
マグネシウムサプリはうつに効果ある? マグネシウムとうつの関係を分子整合栄養医学の観点から解説!まとめ
以上が、マグネシウムについてと、マグネシウムとうつの関係でした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- マグネシウムは、骨を作ったり脳や体を動かしたりする重要な役割を担っている
- 骨は、重要なマグネシウムの貯蔵庫
- 血中マグネシウム濃度が低くなると、骨を溶かして補給する
- マグネシウムの不足が、すぐにうつ症状に発展することはない
- ストレス社会や食生活によって、マグネシウムは流れ出てしまう
- 健康な人であれば、尿中のマグネシウム排泄量はコントロールされている
- 疾病によっては、マグネシウムの吸収が出来ず、マグネシウム欠乏になる可能性がある
- マグネシウムを補給するときは、基本的に食事からがオススメ
- マグネシウムのサプリを摂るときは、カルシウムとビタミンDが含まれている物が良い
- マグネシウムをサプリで取り過ぎると、下痢や胃の不快感などの症状が現れる事がある。
こんな感じですね。
マグネシウムは、骨の貯蔵庫からいつでも取り出せるので、マグネシウム不足が即座にうつ症状や精神疾患に結びつくことはありません。
しかし、疾病やストレス、食生活の悪化などで極度のマグネシウム不足が続くと、うつ症状や精神疾患などの症状にまで発展することがあります。
健康な人が極度のマグネシウム不足になる原因としては、ストレス社会と食生活の悪化です。カップ麺やお菓子、コンビニのお弁当など炭水化物が多い食生活に加え、ブラック企業などでの過重労働が重なると、深刻なマグネシウム不足が起きて、うつ症状にまで発展しかねません。
マグネシウム不足からくるうつを防ぐには、食生活の改善や栄養の補給を心がけるようにしましょう。
とは言っても、マグネシウム不足からくるうつというのは、うつの原因の1つでしかありません。タンパク質不足や悪い脂の取り過ぎでもうつ症状が現れる事があります。
ですので、マグネシウムだけに拘らず、全体的に食生活や生活環境、栄養状態を改善することが重要です。
うつの原因や詳しいうつヌケの仕方については、下記の「うつぬき完全攻略マニュアル」で全てを解説しています。今なら無料でプレゼントしていますので、是非参考にして下さい。