うつ病の原因は脳の神経伝達物質である「セロトニン不足」であるというのが一般的ですが、中には「ナイアシン」がうつ症状と関係していると書かれている情報もありますね。
もし、ナイアシンがうつ症状の原因なら、ナイアシンを補給すれば抗うつ剤や安定剤などを飲まなくてもうつヌケできることになります。これが本当だったらありがたいですよね。
しかし、なぜナイアシンとうつ症状が関係あるのでしょうか? ナイアシンなんて、ほとんどの人なら足りているような栄養素なのに、なぜうつを引き起こすのでしょうか?
今回は、ナイアシンという栄養素についてと、ナイアシンとうつの関係、オススメのサプリ、ナイアシンの摂取量などについて、詳しく解説します。
ナイアシンとうつ病の関係については、こちらの動画でも解説しています。
目次
ナイアシンとは?
ナイアシンは、かつてビタミンB3と呼ばれていた栄養素です。水溶性ビタミンB群の一つで、水に溶けやすく熱に強いという特徴があります。
また、ナイアシンにはニコチン酸とニコチンアミドがあり、この2つを総称してナイアシンと呼んでいます。これらの違いは、食品を調理・加工する際の分解過程にあります。動物性食品ではニコチンアミド、植物性食品ではニコチン酸になります。
ナイアシンは食品から摂取する以外にも、アミノ酸の一つであるトリプトファンから、体内でナイアシンを合成することが出来ます。トリプトファン60個から1つのナイアシンがつくられる計算です。
ニコチン酸やニコチンアミドの働きとしては、体内でピリジンヌクレオチドに生合成された後、脱水素酵素の補酵素として糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー産生に関与しています。また、補酵素として、脂肪酸やステロイドホルモンの生合成、ATP産生、DNAの修復や合成、細胞分化など、幅広い反応に関与しています。
この他、ナイアシンは栄養素という面に限らず、治療薬としても使われることがあります。ニコチンアミドは1型糖尿病の治療薬として、ニコチン酸は脂質異常症(高脂血症)の治療薬として使われることがあります。
このように、ナイアシンには様々な効果がありますが、大量摂取には注意が必要です。ナイアシンは性別と年齢別に耐容上限量が設定されており、大量摂取した際に、副作用として、消化不良、重篤な下痢、便秘、肝機能低下、劇症肝炎など、消化器系や肝臓に障害が生じた例が報告されています。
ナイアシンが不足するとどうなる?
ナイアシンが欠乏するとペラグラ(pellagra)という病気になることが知られています。18世紀にスペイン人医師によって医学書に初めてこの病気が紹介されました。
ペラグラのおもな症状には、赤い発疹ができる皮膚症状、口舌炎や下痢などの消化管症状、神経障害の三つがあげられます。
この他、うつ、幻覚症状、イライラ、不安、精神障害、口内炎、皮膚炎、舌炎、胃腸障害、下痢など様々な症状が現れます。
ナイアシンとうつの関係とは
上述したようにナイアシンが不足するとうつ症状や精神症状が現れることがあります。
なぜ、ナイアシンが不足するとうつ症状が現れるのでしょうか。この理由は、ナイアシンが脳の神経伝達物質を合成するのに必要だからです。
ナイアシンはタンパク質や脂質、炭水化物を代謝する「補酵素」として機能する重要な働きをしています。タンパク質は、脳の神経伝達物質の材料であるアミノ酸に分解され、アミノ酸から脳の神経伝達物質に合成するには、ナイアシンの力を借りる必要があるのです。
ですので、うつや精神疾患ととナイアシンは非常に深い関係があります。
よく、うつの原因は脳の神経伝達物質である「セロトニン」が不足しているからと言われていますね。
セロトニンは、感情や精神面、睡眠など人間の大切な機能に深く関係する三大神経伝達物質の1つです。セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、分泌されるとリラックスしたり幸せを感じたりする事から、メンタルに良いとされ、近年注目を集めています。
うつ症状があるひとは、このセロトニンの分泌量が減っていて、これが原因でうつ症状が発症していると言われています。
このセロトニンを合成する際に必要なのが、「タンパク質」と「ナイアシン」なのです。うつとナイアシンとの関係を理解するには、このような脳の神経伝達物質がどのようにして作られているのかを理解することが重要です。
下図は、タンパク質が脳の神経伝達物質に分解、合成されるまでの過程を表したものです。
タンパク質(プロテイン)を摂取すると、いくつかの工程を経てアミノ酸に分解されます。脳神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。
このアミノ酸は、ビタミンB群やミネラルを元に、神経伝達物質である「ドーパミン」や「セロトニン」「GABA」に合成され、消費されていきます。
これらの神経伝達物質は、互いにバランスを取りながら分泌されるので、どれか特定のアミノ酸を大量に摂取したとしても、特定の神経伝達物質が大量に分泌されるわけではありません。
そして、アミノ酸から神経伝達物質に合成する時には、補酵素としてビタミンB群やミネラル等が必要になります。
例えば、表右側のL-トリプトファンから5-HTPに合成する時には、葉酸、鉄、ナイアシンが必要になります。葉酸とナイアシンは、ビタミンB群の一種です。
この他、表左のL-グルタミンからGABAの流れや、表真ん中のL-フェニルアラニンからドーパミン、ノルアドレナリンの合成過程を見てみると、その初期段階で必ずナイアシンが補酵素として必要です。
このように、ナイアシンは脳の神経伝達物質の合成に深く関わっており、ナイアシン不足は脳の神経伝達物質の分泌不足に直結してしまうのです。
ここでは深く解説しませんが、ナイアシンの他にも葉酸やビタミンB6なども補酵素として必要です。これらは、お互いに助け合って機能するので、まんべんなく摂取する必要があります。表では葉酸とナイアシン、ビタミンB6が必要と書かれていますが、これ以外のビタミンもまんべんなく摂取するようにしましょう。
ビタミンB群やミネラルについて詳しくは、うつ病の改善には何のサプリメント飲むといい? 分子栄養医学の観点からオススメのiHarbサプリを紹介!で詳しく解説していますので参考にしてみて下さい。
うつを予防、改善するには、脳の神経伝達物質の材料であるタンパク質に加え、合成の補酵素として必要なナイアシンとビタミンB群ミネラルをまんべんなく、かつ十分に摂取する事が重要なのです。
ナイアシンと統合失調症の関係
ナイアシンはうつ症状に限らず、統合失調症や幻覚、イライラ、不安などの精神症状に深く関係しています。
ナイアシンがオーソモレキュラー療法(分子整合栄養医学)で使われた例としては、生物学者のホッファーが行った、統合失調症とナイアシン欠乏の関係性についてです。
ホッファーは、ナイアシンの欠乏で起こるペラグラが進行すると幻覚や幻聴を訴えることに注目し、同様の症状である統合失調症にも至適量のナイアシンとビタミンCを中心とした栄養素の補充を行いました。
結果は、統合失調症の患者さんにも効果があったことを示し、二重盲検という方法で有効性を証明しました。
前述したタンパク質から神経伝達物質の合成経路の表をみても分かるように、上流に位置する全ての反応には、ナイアシンが補酵素で必要です。
この合成経路を考慮すると、統合失調症だけで無く、あらゆる精神症状改善のためにナイアシンの補正は基本となります。
この他、お酒を分解するにもナイアシンが必要になるので、飲酒をしている方はナイアシンも一緒に補給しましょう。
ナイアシンの種類とナイアシンフラッシュ
ナイアシンサプリには3種類あり、ナイアシン、フラッシュフリーナイアシン、ナイアシンアミドがあります。うつ症状がある方にはナイアシンアミドがオススメです。
ナイアシンは、血管拡張作用作用や、体内に貯まったヒスタミンを放出する作用があるので、1日100mg以上の摂取で皮膚が赤くなったり、ヒリヒリしたり、痒みが出る場合があります。症状が出ても、数時間で落ち着くことが多いようです。
このナイアシンによる副作用を、国内外問わず「ナイアシンフラッシュ」と呼びます。
このナイアシンフラッシュが起きにくくしたサプリメントが「フラッシュフリーナイアシン」で、同じくナイアシンアミドもナイアシンフラッシュが置きにくいナイアシンです。
ナイアシンフラッシュは独特の感覚を引き起こすため、故意にナイアシンを飲む方もいるようですが、一般人やうつ症状がある人には不快極まりない症状ですので、あえて体験したり我慢しながら飲む必要はありません。ナイアシンアミドでも十分効果があります。
ですので、特別な理由が無い限りはナイアシンフラッシュが置きにくいナイアシンアミドがオススメです。
ナイアシンアミドは1日3000mg以上の摂取で肝障害の可能性があるので注意して下さい。また、高容量では血糖値や尿酸値を上昇させる恐れがあるので、糖尿病と痛風の方は注意が必要です。
オススメナイアシンサプリ
では、実際にどのナイアシンのサプリを飲んだらいいのかについてですが、うつぬきやではiHarbのサプリメントをオススメしています。
iHarbはアメリカのサプリ販売サイトですが、日本語や代引きに対応しているので安心して買い物をする事が出来ます。
サプリの品質や含有量、吸収率なども日本製よりアメリカのサプリのほうが進んでいますので、体の栄養を分子レベルで整えるなら、高品質なアメリカのサプリがオススメです。
iHarbが何故おすすめなのかや、具体的な購入方法などは、うつぬきサプリはどうやって買えばいい? iHarbの購入方法を徹底解説!で解説していますので参考にしてみて下さい。
うつぬきやでは、数あるナイアシンのサプリメントの中でも「持続放出型のナイアシン」をオススメしています。持続放出型のメリットは、錠剤が徐々に溶ける加工がされているため、栄養が腸の中で長くとどまることが出来る点です。
ナイアシンなどの水溶性ビタミンは、体内で貯蔵することが出来ないため、使い切れなかった分は尿で排泄されてしまいます。栄養ドリンクやビタミン剤などを飲むと尿が黄色くなるのはこのためです。
カプセルタイプのナイアシンのサプリメントは、溶けやすいという反面、使われなかった分は全て尿として排泄されてしまいます。つまり、一気に飲むと使い切れなかった分は排泄されてしまうので、適量をこまめに補給することが望ましいと言えます。
せっかく摂った栄養を無駄にしないためにも、時間をかけてゆっくり溶ける持続放出型がオススメです。
また、iHarbの持続放出型ナイアシンアミドサプリメントは、500mgと含有量が多いので、過剰摂取にならないか心配される方も居るかと思います。この点については、過剰摂取にならないので安心して下さい。
ナイアシンなどの水溶性ビタミンは過剰に摂取してしまっても体外に排出されますので、含有量の多いサプリメントなどを飲んでも問題はありません。
ただ、繰り返しますがナイアシンアミドは1日3000mg以上の大量摂取で肝障害の可能性があるので注意して下さい。また、高容量では血糖値や尿酸値を上昇させる恐れがあるので、糖尿病と痛風の方は注意が必要です。
ナイアシンサプリはうつに効果ある? ナイアシンとうつの関係を分子整合栄養医学の観点から徹底解説!まとめ
以上が、ナイアシンについてと、ナイアシンとうつの関係、ナイアシンの種類やオススメサプリでした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- ナイアシンは、水に溶けやすく熱に強い
- ナイアシンはビタミンB群の1つ
- ナイアシンは、炭水化物や脂質、タンパク質代謝の補酵素として機能する
- ナイアシン不足はうつと深い関係がある
- ナイアシン単体が、うつに効くわけでは無い
- 脳の神経伝達物質の合成にはナイアシンが必要
- ナイアシンが足りなくなると、脳の神経伝達物質の合成が滞ってしまう
- ナイアシンを摂取すると、ナイアシンフラッシュを起こす場合がある
- ナイアシンアミド、フラッシュフリーナイアシンはナイアシンフラッシュが起きにくい
- 運動していない人がナイアシンを摂取するときは、持続放出型がオススメ
- ナイアシンのサプリメントは、含有量が多くても過剰摂取にならない
- ただし、一日3000mg以上の摂取や糖尿病、痛風の方は注意
こんな感じですね。
ナイアシンはうつと深い関係がありますが、ナイアシンが単体で抗うつ作用や亢不安作用をもたらしてくれるわけではありません。ナイアシンをうまく使うには、タンパク質やミネラル、ビタミンB群をまんべんなく摂取する必要があります。
つまり、ナイアシン不足からくるうつというのは、うつの原因の1つでしかありません。鉄不足や悪い脂の取り過ぎでもうつ症状が現れる事があります。
ですので、ナイアシンのサプリメントだけに拘らず、全体的に食生活や栄養状態を改善することが重要です。
うつの原因や詳しいうつヌケの仕方については、下記の「うつぬき完全攻略マニュアル」で全てを解説しています。
今なら無料でプレゼントしていますので、是非参考にして下さい。