うつ病は心の風邪とも呼ばれ、100人中15人の割合で発症すると言われています。
うつ病になると働けなくなったり、収入や地位を失ったり、最悪の場合は離婚問題に発展したりと、人生において破滅的な影響を与える恐ろしい病気です。
このうつ病は、心の病気や脳の病気と言われていますが、食生活や食べ物が原因でうつ症状が引き起こされることがあるのでしょうか?
特に、現代では手軽に食べ物を変えるコンビニ食を利用する方が多いと思います。このようなコンビニ食でも、選択によってはうつ病になりやすかったり、なりにくいコンビニ食があったりするのでしょうか。
今回はうつと食べ物の関係と、うつになるコンビニ食、うつになりにくいコンビニ食について詳しく解説します。
目次
コンビニ食を続けていたらうつ病になる?
現代の生活において、手軽に食料が買えるコンビニは生活に欠かせませんよね。
最近ではおにぎりやお弁当、冷凍食品、スイーツなどのクオリティも上がり、おいしさに満足いく商品が増えてきました。
このような中、コンビニで売られている食べ物を食べ続けたら体に悪いとか、添加物が大量に入っているなどとも言われていますよね。
では、コンビニで売られている食べ物を食べ続けたら、うつ病にかかることはあるのでしょうか?
結論を先に言うと、かなり気をつけないとコンビニ食ではうつ病になります。その理由は、うつ病の主な原因は「質的栄養失調」から引き起こされるからです。
コンビニ食の善し悪しを解説する前に、まずはこの質的栄養失調とうつ病の関係について理解を深めておきましょう。
うつ病の主な原因は質的栄養失調!
うつ病の原因としてよく言われていることは、脳の神経伝達物質である「セロトニンの分泌不足」や「心の風邪」「怠け病」などがありますよね。
このような、「脳の病気」と思われているうつ病ですが、実は食生活の違いや食べ物の影響で発症することがあります。
その主な原因が、「質的内容失調」と「血糖コントロール障害」、「悪い油の取り過ぎ」があげられます。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
「質的」な栄養失調でうつは発病する!
食生活が原因のうつ病として最も可能性が高いのが、「質的な栄養失調」です。
質的栄養失調とは、お腹いっぱいに食べていても、脳の神経伝達物質の合成や分泌に必要な栄養素が足りなくなってしまう新型栄養失調のことです。
現代社会の食生活は、パンや白米、うどんやラーメンなどの炭水化物に偏った食生活をしています。
このような炭水化物に偏った食生活では、脳の神経伝達物質の合成に必要なタンパク質やビタミン・ミネラルが欠乏し、心の安定に必要なセロトニンやドーパミン等の分泌量が低下してうつ症状が引き起こされてしまうのです。
脳に必要な栄養素と言えば、「ブドウ糖」や魚に多く含まれている「DHA・EPA」などが有名ですが、これら栄養素よりも、もっと重要な栄養素が実は「タンパク質」なのです。
なぜ、タンパク質がうつ症状や脳機能と関係しているのでしょうか?
それは、タンパク質を分解してできた「アミノ酸」が、セロトニンやドーパミン等の脳の神経伝達物質の材料になるからです。
次の図は、タンパク質を分解してできたアミノ酸から、脳の神経伝達物質までに合成される過程を表した物です。
タンパク質を摂取すると、胃酸によって様々なアミノ酸に分解されます。
そのうち、脳の神経伝達物質で重要なのは、「L-グルタミン」「L-フェニルアラニン」「L-トリプトファン」と呼ばれるアミノ酸です。
これらのアミノ酸は、ビタミンやミネラルの力を借りて、セロトニンやドーパミン等の様々な脳の神経伝達物質に合成され、消費されていきます。
よく、うつ病の原因はセロトニンの分泌不足や、ドーパミン・ノルアドレナリンの分泌不足などと言われていますよね。
実は、これら脳の神経伝達物質はタンパク質を元に作られていたのです。
ですので、パンや白米、うどんやラーメンなどの炭水化物が多い食生活では、タンパク質やビタミン・ミネラルが不足し、心の安定に必要な脳の神経伝達物質の分泌が低下するのは当然と言えます。
このような食生活や質的栄養失調によって、うつ症状は引き起こされていたのです。
血糖コントロール障害がうつを引き起こす!
炭水化物や糖質の取り過ぎは、タンパク質不足になるだけでなく、血糖コントロール障害を引き起こします。
この血糖コントロール障害が、うつ症状の発症の原因となるのです。
血糖コントロール障害とは、次の図のように、空腹時血糖は正常値に収まっているにも関わらず、食べた直後にだけ大幅に血糖値が上昇し、その後一気に急降下する現象のことです。
人によっては、この急降下したときに低血糖にまで陥ってしまう人もいます。
これらは別名で「血糖値スパイク」や「隠れ低血糖」などと呼ばれている場合もありますが、全部一緒の現象を指しています。
では、なぜこのような血糖値の乱高下がうつ症状に繋がるのでしょうか? それは、血糖値をコントロールするホルモンは、脳の神経伝達物質と同じだからです。
血糖値のコントロールには、大きく分けて血糖値を上げるホルモンと、血糖値を下げるホルモンがあります。
血糖値を下げるホルモンは、インスリンというホルモンだけですが、血糖値を上げるホルモンは、アドレナリンやグルカゴン、コルチゾールなどの種類があります。
血糖値コントロール障害の仕組みとしては、人が甘い物を食べたとき、急激な血糖値の上昇に対して、体は血糖値を下げるためにインスリンというホルモンを大量に分泌します。
そして、インスリンが効き過ぎてしまうと、今度は血糖値が急降下して低血糖に陥ってしまうのです。
低血糖は意識の喪失など命に関わる事態なので、体は防御反応として血糖値を上げるホルモン(アドレナリン、グルカゴン、コルチゾール)などを大量に分泌します。
アドレナリンなどのホルモンは、交感神経を高める作用があるので、大量に分泌されるとイライラしたり、汗をかいたりします。甘い物や炭水化物を多く食べている人はキレやすいというのも、これが原因です。
そして、これらインスリンやコルチゾールなどは、脳の神経伝達物質と同じ材料を元に作られており、甘い物や炭水化物を食べれば食べるほど、これら材料が使われてしまいます。
この結果、心の安定に必要なセロトニンやドーパミン、GABAなどの脳の神経伝達物質の合成が滞ってしまい、うつ症状に発展してしまうのです。
ですので、心の安定のためには血糖値がなるべく安定していることが重要です。
このためには、精製された糖質や炭水化物など、血糖値を乱高下させる食べ物を避けていくことが重要です。
悪い油の取り過ぎがうつ症状の原因に!
炭水化物や甘い物の取り過ぎと同じく、悪い油の取り過ぎもうつの原因となります。
悪い油とは、ジャンクフードなどに使われているトランス脂肪酸が多い油や、酸化した油、慢性炎症の原因となるリノール酸が多い油です。
油脂類には、ラードやバターなど常温で固まる脂や、サラダ油などの常温で液体の油など様々な種類の油がありますが、これらの中でも特に注意したいのが、サラダ油や大豆油、コーン油や紅花油などのリノール酸が多く含まれている油です。
これらの油に多く含まれているリノール酸は炎症促進作用があり、摂取量が多いと慢性炎症に繋がってしまいます。
慢性炎症は脳にも影響し、脳の慢性炎症がうつに繋がっている可能性が示唆されるようになってきました。ですので、脳の慢性炎症を引き起こさないためにも、悪い油を取り過ぎないことが重要です。
リノール酸が多く含まれている油はオメガ6系脂肪酸とも呼ばれ、サラダ油や大豆油、コーン油や紅花油など、様々な油に多く含まれています。
これらは安く大量に製造できるため、外食やお惣菜の揚げ物などに必ずと言っていいほど使われています。
このようなオメガ6系脂肪酸は、摂取すると体内でエネルギーとして使われる以外に、炎症を促進したり、抑制したりする作用があります。
しかし、そのほとんどが炎症を促進するアラキドン酸に変換されてしまうため、リノール酸が多い油を取り過ぎると、慢性炎症の原因になってしまうのです。
これとは逆に、魚に多く含まれるDHA・EPAなどのオメガ3系脂肪酸には、炎症を抑える働きがあります。
ですので、積極的にオメガ6系脂肪酸をさけ、意識的にオメガ3系脂肪酸を摂取していくことが重要です。
オメガ3系脂肪酸とオメガ6系脂肪酸は、必須脂肪酸と呼ばれ、どちらも摂取しなければならない油です。
これらは細胞に取り込まれる部位が一緒のため、常に場所の奪い合いをしています。ですので、これら油のバランスを変えてあげる事がポイントです。
意識的にオメガ6系脂肪酸を避け、積極的にオメガ3系脂肪酸を摂取するなどして、バランスを整えてあげましょう。
コンビニでは糖質過多に加え、質的栄養失調になりやすい
上述のように、うつ病の原因は食べ物や食生活における質的栄養失調や血糖コントロール障害などが深く関係しています。
この質的栄養失調や血糖コントロール障害の主な原因となってしまうのが、コンビニ食なのです。
ここでは、コンビニで売られている食べ物のうち、どのような物を食べると質的栄養失調や血糖コントロール障害が引き起こされているのかを詳しく解説します。
うつ病になりやすいコンビニ食の例
コンビニで売られている食べ物のうち、そのほとんどが炭水化物や砂糖が大量に使われたお菓子です。
これらを食べ続けることによって、質的栄養失調や血糖コントロール障害が引き起こされ、うつ病が発症する原因となります。
具体的にどんな食べ物を食べてはいけないのか見てみましょう。
糖質過多
コンビニで最も売られているのが、糖質や炭水化物が多い食べ物です。具体的には、次のような物になります。
- おにぎり
- お弁当
- そば、うどんなどの麺類
- サンドイッチ
- スイーツ
- お菓子
- 清涼飲料水
- パン
- フライドポテト
- カップ麺
これらは、お昼ご飯の時によく購入している物ばかりではないでしょうか。
例えば、おにぎり3つだけでお腹いっぱいにさせたり、カップ麺と菓子パンを組み合わせるなど、その食事内容は炭水化物に偏っている場合がかなり見受けられます。
これらの食べ物に加え、プリンやジュースなどを組み合わせてしまったら、かなりの糖質を摂取することになります。
このような糖質の取り過ぎは、タンパク質やビタミン、ミネラルの不足を招くだけで無く、血糖コントロール障害を引き起こし、最悪の場合は糖尿病にまで発展しかねません。
糖質の取り過ぎは、心の安定に必要なセロトニンやドーパミン等の分泌不足を招き、イライラしたり気分が落ち込んだりと、精神に悪影響を及ぼします。
ですので、心の安定にはこれらの食べ物を避けることがポイントです。
清涼飲料水
糖質過多に続き、清涼飲料水もかなりの糖質が含まれています。
特に、ジュースや加糖のコーヒー、紅茶、エナジードリンクには、精製された砂糖が大量に使われています。
このような飲み物を水分補給の代わりに飲んでしまうと、急激な血糖値の上昇を引き起こし、大量にインスリンが分泌されます。
インスリンが大量に分泌されると、今度は血糖値が急激に下がりすぎるため、低血糖を起こしてしまいます。
このような血糖値スパイクや血糖コントロール障害が、イライラしたり気分を落ち込ませてしまう原因となるのです。
ですので、コンビニで飲み物を買うときや水分補給をしたいときは、ジュースなどの清涼飲料水は避け、水かお茶にしておきましょう。
タンパク質不足
上述のように、コンビニ食のほとんどは炭水化物や糖質の塊です。
唐揚げ弁当など、他に比べて多少タンパク質が多い弁当などがありますが、同時に白米を食べているのでそのタンパク質はプラマイ0かマイナスです。
しかも、白米やパンなどでかさ増ししてあるために、タンパク質は十分な量とは言えません。
このような食べ物を食べていると、タンパク質やビタミン、ミネラルが不足し、心の安定に必要なセロトニンなどの材料が足りなくなってしまいます。
ですので、唐揚げ弁当やカツサンドなど、一部タンパク質が多い物でも、質的栄養失調になってしまう可能性があることを覚えておきましょう。
食物繊維不足
糖質過多やタンパク質不足に続いて深刻なのが、食物繊維の不足です。
食物繊維は、お腹の調子を整えてくれたり、心の安定に必要なセロトニンやGABAなどを作ってくれる腸内細菌を増やしてくれたりする作用があるため、精神の安定には必要な栄養素です。
コンビニ食では主にサラダが食物繊維の補給源になっていますが、食費の予算の都合で、「サラダは買わない」という方も多いのではないでしょうか。
このような食生活では、便秘になったり下痢になったりして、腸が不健康になってしまいます。
腸が不健康だと、それが脳にも影響を与えるため、うつ症状を発症する原因になってしまうのです。
これは、「脳腸相間」とも呼ばれ、腸の健康状態は脳の健康状態に直結していることから、精神状態の健康のためには腸のケアを行うことが非常に重要になってきます。
コンビニで食べ物を買うときは、必ずサラダなどの食物繊維も同時に食べるようにしましょう。
うつになりにくいコンビニ食はどれ?
ここまでは、うつになりやすいコンビニ食の例を解説してきました。では、逆にうつになりにくいコンビニ食はあるのでしょうか?
あまり選択肢は多くありませんが、選択によってはかなりマシな食生活をすることが可能です。
ここからは、うつになりにくい食事や、脳や腸の健康に配慮した食べ物をご紹介します。コンビニで食べ物を買うときは、次のような物を買って食べるようにしましょう。
ゆで卵
コンビニで食べ物を買うとき、一番オススメなのがゆで卵です。
ゆで卵は安くて美味しい割に、タンパク質や脂質、ビタミンやミネラル等がバランス良く含まれており、「完全栄養食」とも言われています。
食べられるなら生卵でも構いませんが、外出先で生卵を食べられるシーンは限られていますので、出来る方だけオススメします。
また、ゆで卵に限らず、味付け卵やおでんの煮卵でも構いません。
同じ味をずっと食べ続けると飽きてしまうので、これら味の付いた物をローテーションして食べるなどして、飽きない工夫も行っていきましょう。
ハンバーグやサラダチキン
ゆで卵が売られているコーナーのすぐ近くにあるのが、サラダチキンやハンバーグなどのレトルト食品です。
これらの食べ物はお弁当に比べて価格が安く、タンパク質や脂質を多く摂取することが出来ます。お弁当に変わる主食として、かなり重宝しますよ。
これを読んでいる方の中には「それだけでは量が足りない」と思われる方も多いと思いますが、ゆで卵やサラダチキン、ハンバーグなどを3つぐらい食べれば、かなりお腹いっぱいになります。
値段もお弁当と同じくらいに収まりますので、是非これらでお腹いっぱいにしてみて下さい。
おつまみコーナー
お酒を飲まない方にはなじみが無いかもしれませんが、お酒のおつまみ類も健康の面ではオススメの食べ物です。
これらは鮭やホタテ、昆布や牛肉などが主な原料となっており、糖質が少なくタンパク質や食物繊維が多く含まれています。
ですので、お菓子コーナーでお菓子を買うよりかは、おつまみコーナーに売られている物を買って食べた方が健康には配慮できると言えます。
小腹が空いたときや何かつまみたいときは、ぜひおつまみコーナーを利用しましょう。
フライドチキンや唐揚げ
コンビニのレジ横では、フライドチキンや唐揚げ、焼き鳥、フランクフルトなど、肉類のスナックを販売しているところが多いですよね。これら肉類のスナック系も、コンビニ食ではオススメです。
ただ、唐揚げやフライドチキンなどは、どのような油で揚げられているのかがよく分からないため、厳密に言えばあまり健康的な食べ物とは言えません。
前述したように、リノール酸が多い油や、酸化した油、トランス脂肪酸が多い油で揚げられている場合は、慢性炎症の原因にもなったりするので、食べ過ぎには注意が必要です。
ただ、それでもおにぎりやサンドイッチ、パンなどの炭水化物ででお腹いっぱいにするよりかはマシと言えます。
炭水化物だけを食べても健康にはなれませんが、タンパク質を摂取すれば血肉に変わるからです。
スナック類は安くて量が結構あるので、おにぎりやパンに変わる主食として、又は全体的なボリュームをかさ増しするのにオススメです。
サラダ類
コンビニで食べ物を買うときは、必ずサラダも追加するようにしましょう。
サラダには、腸内環境を良くしてくれる食物繊維や、ビタミンミネラル等が含まれています。タンパク質や脂質を有効利用するためには、ビタミンやミネラルが補酵素として必要になりますので、積極的に摂取したい1つです。
サラダには色々な種類が販売されていますが、パスタサラダやポテトサラダなどは炭水化物が多いのでNGです。
選ぶべきサラダとしては、レタスやキャベツがメインのものや、ワカメなどの海藻サラダがオススメです。これらは低糖質で食物繊維が多く、ビタミン、ミネラルも含まれています。
そして、コンビニ食をするときは、食べる順番も重要です。
先に消化のいいサラダを食べることによって血糖値の急激な上昇を防いでくれたり、お腹の調子を整えてくれたりします。
ですので、まずはサラダを完食した後、ゆで卵や唐揚げなどを食べるようにして下さい。
まとめ
以上が、コンビニ食とうつの関係、うつにならないコンビニ食の選び方、食べ方でした。
ここまでの流れをまとめると・・・
- うつは質的栄養失調が原因の1つ
- 糖質の取り過ぎもうつを引き起こす
- 悪い油の取り過ぎもうつ症状を引き起こす
- コンビニは炭水化物や糖質がいっぱい
- 意識して変えないとコンビニ食ではうつになる
- コンビニ食を買うときは、タンパク質と食物繊維を多めに
- サラダを先に食べると血糖値の急上昇を防いでくれる
- お菓子を買うときはおつまみに変えよう
という感じです。
このように、コンビニ食とうつ病には深い関係があるのが理解して頂けたかと思います。
特に、炭水化物の取り過ぎによる質的栄養失調は、生活習慣病にも密接に関係しているため、「うつ病は生活習慣病の1つ」とも言われるようになってきました。
普段何気なく買って食べている物でも、意識して変えてあげる事でうつ病は防ぐことが出来ます。
「食の楽しみが無くなってしまうのが嫌だ」という方もいると思いますが、うつ病になって人生を台無しにしてしまうよりかはマシです。
あなたが日頃行う選択にかかっていますので、うつ病になりたくない場合はこの記事で解説していることを実践してみて下さい。